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冬の沖縄サイコー!旅するように働き、暮らした15泊16日記

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暑い季節は涼しいところへ、寒い季節は暖かいところへ。快適な環境を求めて移動しながら、どこでも同じように働けることをめざす「渡り鳥プロジェクト」。

行ってきました、そして帰ってきました沖縄から。前回の予告通り、暖を求めて初の「渡り鳥」を決行しましたよ。滞在したのは沖縄本島の北谷(ちゃたん)と石垣島。竹富島にも行きました。15泊16日という期間中、合流した友人や両親と観光した日もありましたが、基本的には都内の自宅で過ごすように、妻と子と「ふつうに」暮らしていました。

渡り鳥プロジェクトがめざすものは日常であり、非日常の旅とは異なります。もちろん非日常感がまったくなかったかと言えば嘘になりますが、心構えとしては努めて「変わらない日常」を送るようにしていました。たとえばご飯は外食ばかりでなく、近くのスーパーで食材を買って調理したりして。そしてもちろん、仕事をしていました。

そこで今回は、どんな仕事を、どんな風にしていたのかをレポートします。長文になりますので、先にまとめを書いておきますね。詳細は各エピソードをご覧ください!

<まとめ>

  • ネットさえつながっていれば、宿、カフェ、公園、ビーチでも仕事は可能。
  • リュックひとつで仕事道具一式の持ち運びも可能。
  • 宿のWi-Fiは容量制限があることも。モバイルルーターは持参した方が安心。
  • 創作活動にはプリンターが必要。
  • 15泊16日だとメンタル的には「旅気分」の延長に。
  • 冬の沖縄はサイコー!

  

沖縄でどんな仕事をしていたか

デザイン会社経営とライターの二足のわらじを履く僕ですが、主な仕事は「自社商品の販売」と「原稿執筆」のふたつです。

前者は取引先や一般客から注文を受け、商品を届けるまでの処理がメイン。具体的には納品書を作り、出荷業務を委託している物流センターに指示を出し、商品が出荷されたことをお客様に伝え、同時に在庫の補充や販売サイトの更新なども行います。デザイン会社というよりはメーカーのお仕事ですね。

後者は文字通り、原稿を書くお仕事。人物を取材してインタビュー記事を書くこともあれば、無記名で広告記事を書くこともあれば、本コラムのように記名原稿を発表することもあります。

そうした業務を、沖縄滞在中も行いました。Airbnbで借りたオーシャンビューのマンションで頭上を飛び交う米軍機の轟音をBGMにしながら、という環境でしたが、パソコンに向かう姿勢はいつもと同じでした。

 

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▲半袖で過ごせるほど気持ちのいい海風が吹いていました

 

商品の注文処理はビーチでもできた

商品の注文処理は通常、ノートパソコンひとつで完結します。

BtoB取引の場合はEvernoteに転送されるFAXの注文書を受け取って、クラウドストレージ(OneDrive)のデータと同期しながらExcelで納品書を作成。納品先や日時を指示するメールに添付して物流センターに送ります。

BtoC取引の場合は注文が入ったらメールで通知を受け、ショッピングカートの管理画面にアクセス。自動生成される納品書データをダウンロードして、同じく物流センターにメールで出荷指示をします。

要はネットにさえつながっていれば、どこにいてもできる業務です。ですから宿はもちろん、カフェ、公園、ビーチなどでもできました。

 

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▲わが子もシャベルで砂を運搬する業務に就いていました

 

離島の桟橋でも電話に対応できた

注文処理以外の業務で言えば、たとえば「商品を雑誌に掲載したいのでサンプルを貸してほしい」といった問い合わせのメールや電話に対応していました。メールを受信できるのはもちろん、電話についても転送設定をしているため、都内の事務所宛にかかってきた電話がiPhoneに転送されていました。

竹富島の西桟橋というところで記念撮影をしていたときも、ある雑誌社から電話がかかってきたことがありました。沖縄本島よりも、石垣島よりもさらに西の離島の、しかも海に突き出た桟橋の先端で、問題なく通話できたのは驚きでした。

iPhoneで契約しているのはドコモ系の回線なのですが、こんなところまで電波が届くのですね。まさか先方も「ほとんど海の上」にいる人と会話しているとは思わなかったことでしょう。

 

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▲記念撮影用のレンズカメラをiPhoneに取りつけたまま慌てて通話

 

原稿を書いたり、イラストを描いたり、Skypeしたり

原稿執筆もはかどりまして、今回手掛けた案件は主にふたつ。ひとつはリクナビNEXTジャーナルで執筆している映画コラムです。内容の記憶違いがないようにNetflixで作品(今回は「ザ・エージェント」)を再生し、セリフを確認しながら執筆していきました。

コラムに添えるイラストはいつもMazzo Kattusi(マッツォ・カットゥーシ)さんに描いてもらっているのですが、ここだけの話、わたくし松岡厚志(まつおかあつし)と同一人物でして、イラストも沖縄滞在中に描きました。ここだけの話なので、ここだけにしておいてください。

もうひとつは今春の刊行を予定している書籍の執筆です。ある方にSkypeのビデオ通話で取材させていただき、その内容をライティングするお仕事です。昨年から取り組み始めて半分くらいは進んでいたのですが、残り半分は沖縄で進めました。

持参した仕事道具は次の通りです。

 

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左上から耐水性のあるメモ帳、iPhoneと連携させるレンズカメラ、モバイルバッテリー、iPhone(録音用)、USBメモリ(コンビニでPDFをプリントする際に必要)、iPad(映画の再生やイラスト作成用)、ノートパソコン、Apple Pencil、3色ボールペン、名刺ケース、マウス、マウスパッド。

気分を変えて移動する際は、これらをすべてリュックひとつで持ち運ぶことができました。

 

宿のWi-Fiに容量制限が発覚してピンチ

仕事はすべて順調でした。と言いたいところなのですが、のっけから思わぬ誤算がありました。なんと、北谷で泊まった宿のWi-Fiに容量制限があることが分かったのです。宿の利用者向けに設置してあるルーターに「Limited 500MB」と書かれたシールが貼ってあって、見つけたときはぎょっとしました。

というのも、容量の大きな画像データをやり取りしたら500MBなどあっという間にオーバーしてしまいますし、映画コラム用に映画をストリーミング再生できるかどうかも怪しいところだからです。

宿の予約者のみが閲覧できるハウスルールを旅立つ前に確認すると、ルーターのIDとパスワードは記載されていましたが、制限があるとは一言も書かれていませんでした。これは盲点でした。たしかに一時的な旅行者であれば500MBもハードにネットを使うことはないでしょうから、わざわざ伝えるほどのことではなかったのかもしれません。でも僕は違います。ここでバリバリに仕事をするつもりで来たのです。

慌ててホストにメールで確認すると、やはり制限はあるとのこと。正確には一日につき500MBまでで、深夜0時をまわるとリセットされる。また制限を超えても接続自体はできるけれど、通信速度が極端に落ちるのだとか。メールの文面に「映画を観てるとぷつぷつ途切れます」とあって、顔から血の気が一気に引きました。

最悪、映画については記憶を引っ張り出せば何とか執筆できます。問題はSkypeを用いた遠隔取材。音声だけならまだ何とかなりそうですが、今回はビデオ通話が不可欠な事情がありまして。安定した会話を行うためにも、容量や速度が不足していては取材自体が成り立ちません。しかも取材は期間中、4回も行うスケジュールをすでに組んである。さあ、どうする。

 

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▲とりあえず沖縄そばでも食べますか・・・

 

モバイルルーターを手にした女神あらわる

宿に着いてから、ずっとWi-Fiのことを考えていました。今すぐ那覇まで足を運んで電気屋さんを探して、モバイル回線を契約すべきだろうか。この2週間のためだけに? だったらフリーWi-Fiを開放しているカフェを探そうか。いやいや、店内でビデオ通話はできないでしょう。

頭を抱えて一日が過ぎようとしていたところ、都内に住む友人が一日遅れで宿に合流しました。フリーランスで働いている彼女も意気投合して、数日間「プチ渡り鳥」をしに来たのです。そんな到着したばかりの旅人に「Wi-Fiがやばい」と伝えると、彼女はこんなことを言いました。

「わたし、モバイルルーター持ってるよ」

普段からモバイル回線を契約しており、しかも容量無制限のプランなのだとか。そして次の言葉に、僕はわが耳を疑いました。

「わたしが帰ったあともずっと貸してあげる。弟のルーターが家にあるから、しばらく無くてもわたしは大丈夫」

ああ、捨てる神あれば拾う神あり。まさに救世主でした。正直、滞在していたエリアは電波があまり強くなく、通信会社が宣伝しているほどの速度は得られなかったのですが、それでもビデオ通話は問題なくできました。一度回線が不調になった瞬間もありましたが、プランBとして取っておいた容量制限ありの室内Wi-Fiでしのいで、なんとか乗り切ることができました。

 

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▲Wi-Fi問題も解決して、みんなで楽しく合宿状態に

 

ネット環境は自前で確保しておこう

ただ、次に移動した石垣島では頼みのモバイル回線は圏外でした。ホテルが提供しているフリーWi-Fiにも接続してみましたが、速度がかなり遅く、何度試してみても断続的に切断してしまうため、とてもビデオ通話ができる環境にはありませんでした。

今回、渡り鳥になるにあたって「いつもの事務所にいないから」「遠方にいるから」を口実に普段の仕事ができなかったり、取引先や取材相手に迷惑をかけることだけはしたくなかったのですが、さすがにこのときばかりはお詫びの連絡を入れ、取材日を変更させてもらいました。

抜かりなく準備をしてきたつもりでしたが、仕事をする上でもっとも大事な「ネット環境の整備」を疎かにしてしまったのは大反省点。行ってみて、接続してみないと分からない宿のWi-Fiに依存してはいけませんね。ネット環境は自前でこしらえておくべきと、肝に銘じたいと思います。

ちなみにモバイル回線を現地で新規契約しようか本気で悩んでいたとき、参考にしたのはツイッター検索です。「(地名)(通信会社)」でキーワード検索すると、「全然つながらないんだけど」「回線死んだ」など、利用者の率直な意見が飛び交っていました。それを見て、今回は回線契約を諦めました。

たとえ通信会社の対象エリア内でも、実際の電波状況は現地に行かないと分かりかねます。国内の都市部はほとんど問題ないはずですが、今後も離島などで通信したい場合は事前にツイッターで検索して、電波の実情をキャッチしておこうと思いました。

 

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▲石垣島のはるか彼方に向かってお詫びの連絡を入れました

 

渡り鳥になってできたこと、できなかったこと

今後の課題としてWi-Fi問題が残ったものの、とにかく「どこでも仕事ができる」ことは身をもって経験できました。ただ、注文処理や問い合わせ対応といった受け身の仕事はできても、新商品の開発といった「腰を据えてクリエイトする業務」については正直、取り組むのが難しかったです。

理由のひとつは、ツールが足りなかったこと。たとえば紙製品を生み出すには、実際に紙や工具を使って試作したり、プリンターで何度も出力しながら精度を高めていく必要があります。パソコンのディスプレイだけでは限界があり、今回はそのためのツールが準備不足でした。

特に今回、必要だと思ったのはプリンターです。簡単な出力ならコンビニのコピー機でできますが、たとえば「この質感の紙にこの大きさで印刷するとどうなるか」といった試行錯誤を何度も繰り返すには「コンビニ通い」では限界があります。今後はハンディープリンターを導入するか、あらかじめ宿に宅急便で業務用プリンターを送っておくなどの対応が求められそうです。

あとはメンタルの問題。「せっかく遠方まで来たんだから」と、いろんな場所を訪れてインプットしようという思いが先行し、なかなか滞在中にアウトプットするまでは至りませんでした。それこそ冬の期間まるまる滞在していたら腰を落ち着けられるのかもしれませんが、今にして思うと2週間程度ではやはり「旅の延長」である感じが拭えなかったのが正直なところです。

できれば今後は滞在期間も伸ばして、「渡り鳥の最中に生まれた新商品」を引っ提げてみたいものです。それこそ全国ツアー中のアーティストが滞在先でインスピレーションを受けて「曲ができちゃった」みたいな。そこまでできて、初めて「渡り鳥プロジェクト」は成功したと言えそうです。

 

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▲復路の飛行機から見た八重山の空は一面、雲景色でした

 

暮らすなら冬の沖縄こそオンシーズン

最後に、一言だけ言わせてください。冬の沖縄、サイコーでした。

だって、オフシーズンだから人が少なくてお店は空いてるし、観光するにも当日予約で十分だし。宿代や飛行機代も高くないし、食事はどこに行っても、何を食べても美味しいし、何か不足があれば買いに行けるお店もあるし。

事前に調べていた通り、この時期は曇り空が多かったですが、終日雨ってことはほとんどないし、気温も快適。とくに今年は例年以上に気温が高くて、晴れた日は急きょ半袖のシャツを買いに行ったほどでした。

もちろん沖縄と言えば海、海と言えばマリンスポーツという人には物足りない時期ではあります。でも「冬の寒さを逃れて穏やかに暮らす」という点においては、少なくとも国内に限って言えば、沖縄以上の場所はないと思いました。個人的には冬の沖縄こそオンシーズンでした。

みなさんが渡り鳥になるとしたら、いつ、どこへ行きたいですか?

 

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文:松岡厚志
1978年生まれ、ライター。デザイン会社「ハイモジモジ」代表。主な移動手段は電車と自転車。バイク並にタイヤが太い「FAT BIKE」で保育園の送り迎えを担当し、通りすがりの小学生に「タイヤでっか!」と後ろ指をさされる日々。
イラスト:Mazzo Kattusi