不況のなかで内定を勝ち取った!

35歳以上の転職成功リアル日記

未曾有の不景気の中、35歳以上で転職することは非常に困難な状況になっている。しかし、なかにはそんな逆風をものともせず、希望の会社に転職したツワモノもいる。彼らは、どうやって成功を手に入れたのか。実際の転職事例をもとに、「中高年の転職成功のポイント」を指南する。

取材対象者への配慮から、日記の日付を数日ずらしています。

<ADVISER>

ベルコリンズ研究所 代表 佐々木一美氏

大手建設会社の教育事業部長などを経て、中高年に特化した転職コンサルティング会社ベルコリンズ研究所を設立。「2カ月で転職成功させる」という独自の転職支援プログラムで、数多くの転職成功者を生み出してきた。著書に『驚異の「幸せ転職」術』。

CASE.1 35歳男性

応募総数140社。倒産、リストラで職を失った男性の
「不屈の転職先探し」

転職活動期間:2008年12月〜2009年4月(約5カ月間)
  • 応募:140社
  • 書類通過:5社
  • 内定:3社

<メーカー勤務Aさんプロフィール>

年齢 35歳 最終学歴 大学卒業
性別 男性 家族構成 妻と4歳になる子どもの3人暮らし
23歳 印刷会社に就職。営業部に配属になり、6年間従事
30歳 玩具メーカーに商品企画として転職
35歳 会社が倒産。当時の上司が設立した日用品メーカーに転職するも、8カ月で事業部解散、解雇となる。約5カ月にわたる転職活動の末、この春メーカーの営業企画に内定。

初めての転職は5年前。30歳のときだ。印刷会社の営業から夢だった玩具の商品企画に転職。このときは少し転職活動をしただけで、10社以上から内定が出たという。その後、会社は急成長するも、3年ほどして業績が悪化。民事再生法の適用を余儀なくされ、事実上の倒産に。このときは転職活動をせず、上司に誘われて新会社を設立するもリーマンショックの余波で事業部解散。2008年11月、大不況の中、失業者となる。

倒産、リストラで路頭に迷う

2008年3月19日
朝出社すると、会議室に集まるよう部長から通達が。「会社が民事再生法を適用した」と聞かされる。社員は全員解雇になるという。半年前から「もう危ない」という噂が社内で飛び交っていて覚悟はしていたものの、やはり頭が真っ白になった。専業主婦の妻になんて言おうか。
POINT1 転職活動は「在職中」から始めよう

「ボーナスが分割された」「給与が満額支払われなくなった」「経営陣の入れ替わった」など倒産の兆候は必ずある。倒産の場合、転職市場に同じようなスキルを持った人がいっせいに放出されることになり、優れたスキルを持った人でも市場価値が下がってしまう恐れがある。ほかの人と差をつける意味でも、職務経歴書作成や転職サイトへの登録など転職活動の準備は早めにしておこう

2008年3月25日
すぐに転職活動をしようと思ったら、倒産の噂を聞いた取引先の人から「よかったら自分の会社にこないか」とありがたい電話をもらった。結局、仕事関係6社からお誘いをいただいた。
2008年4月4日
考えた末、前の上司が代表となるベンチャー企業に就職を決めた。部下を大切にする優秀な人だから、ついていっても大丈夫だろう。

<半年後>

2008年10月25日
初年度で初期投資を回収できるくらい順調だった会社が、不景気の波にのまれ経営が悪化。経営権を持つ親会社から事業部解散を命じられる。上司も、そして私のように彼についていった部下も全員リストラだ。部下思いだった上司のためにも、最後まで残って会社整理に全力を注ごう
POINT2 倒産は、実は「責任感」をアピールするチャンス

「会社整理のために最後まで残っていた、という責任ある態度を人事は評価します」(佐々木氏)。協調性を重んじる日本企業は、「上司のため、会社のためを思ってする行動」に対し高く評価する傾向にある。倒産するまで会社に残っていた場合は、「責任感のある人物」だとアピールしよう。

いよいよ転職活動スタート

2008年12月1日
30歳で転職活動をしたときは、10社の内定がすぐに出た。今年の3月に会社が倒産したときにも、取引先など6社から誘いがあった。それなのに、今回はどこからも声がかからない。なぜだろう。取引先と接する機会もほとんどなかったから、しょうがないか。まあ、オレは大丈夫。転職活動はそれほど苦労しないだろう。
2008年12月4日
まずは「リクナビNEXT」に登録。職務経歴書作成に予想以上に手間がかかる。結局、数日費やしてしまった。うかうかしていると年内に内定もらえないぞ。ちょっと焦ってきた。
POINT3 職務経歴書は「3枚以内」に収めよう

最初の転職で、職務経歴書を作成した経験があったAさん。しかし今回はキャリアが長く、まとめるのに非常に時間がかかってしまったとか。早めに取りかかろう。また、中高年の応募書類で気をつけたいのは「職務経歴書の枚数が多くなり過ぎる」こと。Aさんは、「年代順にまとめた職務経歴」「箇条書きに示したスキル」「取得資格」「10行ほどの簡単な自己PR文」と、この4つの要素をA4用紙2枚でまとめた。職務経歴書はA4用紙3枚が限度。長くなり過ぎると読んでもらえなくなるので注意しよう。

2008年12月7日
商品企画の仕事を「リクナビNEXT」で探す。企画職の募集は、20代もしくは同業同職種での募集がほとんどだったため、希望職種を営業職にも広げ、給与、待遇など条件が合いそうな会社10社に応募する。
POINT4 「営業職」が狙い目職種

2008年9月のリーマンショック以降、採用件数は減少している。そのなかでさほど影響が出ていない職種が営業職だ。「とにかく商品が売れないので、強い営業力を持った人物を企業は求めています。営業未経験者でも多くの採用事例がありますよ。その場合、コミュニケーション力、目標達成(ノルマ)に対する執着心といった営業の資質を積極的にアピールしていくのがコツです」(佐々木氏)。

2008年12月13日
応募した10社はすべて書類通過ならず。5年前とは全く状況が変わっている。今回の不景気は本当に深刻なのかもしれない。慌てていろんなところから求人情報をかき集める。情報は多いほうがいい
POINT5 異業種、異職種は「転職サイト」が有利

「人材紹介会社は、同業同職種の即戦力採用がメイン。異業種、異職種などの未経験応募は、企業の人事担当者が直接、応募書類に目を通す『公募』が有利です」と佐々木氏。公募のサイトを下記の表にまとめた。まずは、「媒体型求人広告サイト」への登録を手始めに、表にあるものすべてを活用するようにしよう。「不況下はひとつでも多くの情報を仕入れ、たくさん応募することが大切」(佐々木氏)なのだ。

1. 媒体型求人情報サイト
(例:『リクナビNEXT』)
雑誌や新聞など媒体がもととなっている求人サイト。
2. フリーペーパーの求人広告
(例:『タウンワーク社員版』)
駅などに置いてある無料求人誌。
3. 新聞の求人欄
すべてを購読するのは大変なので、図書館でまとめ読みをしよう。
4. 企業のHP
採用情報がなくとも、熱意あふれるあいさつ状(自己PR文)とともに応募書類を送ってみるのも手。
5. ポータルサイトの求人コーナー
(例:「Yahoo!の求人コーナー」)
さまざまな媒体の求人情報をまとめて見ることができる。
6. サーチ型求人情報サイト
(例:「ジョブダイレクト」)
媒体型求人サイトの採用情報や企業HPの採用情報をまとめて見ることができる。
2009年1月3日
求人情報を集めているだけで年内は動けず。不安なまま年を明けてしまった。初詣は家族で就職祈願。さい銭を奮発したいところだが、金銭的な不安が頭をよぎる。正月に顔を出した実家の親からも心配される。早く家族を安心させたい。選り好みをせずに内定をもらうことを優先させよう。
2009年1月7日
年明け早々に人材紹介会社に登録。コンサルタントと面接をし、持参した職務経歴書を添削してもらう。書類の書き方については特に指摘されなかった。本当にこれでいいのだろうか。
2009年1月11日
人材紹介会社から送られてきた企業20社のうち、条件の合う会社を10社選び応募。後日、1社書類が通過したとの連絡が入る。1社でも嬉しい。光が見えてきた。
2009年1月21日
介護用品メーカーA社の人事担当者との1次面接。メーカーの商品企画という希望通りの職種なのだが、扱う商品が介護用品だったため、いまひとつ興味が持てない。あまり乗り気ではなかったのだが、なぜか1次面接通過の知らせが。やはり介護は不人気業界なのか。
2009年1月23日
1社でも面接まで進んでいることで気持ちがかなり楽になった。妻も少し安心したようで家庭の雰囲気もぐっと明るくなった。これからは「1日3社」のノルマを決めて応募することにした。希望の業界じゃないものも多いが、これも社会勉強だ。いい経験になるだろう。
POINT6 まずは「計画」、そして「記録」を残す

「1日3社」のノルマを決めて応募を続けたAさん。最終的には140社応募をすることになったが、これは稀な例ではない。今の時代、内定を得るまでに100社以上応募したという人は少なくないのだ。不況の時代には、たくさん応募することが成功への道だ。その際、重要なのが「行動を記録する」こと。「すべき行動をピックアップし、スケジュールを立てる。その後、やったことをすべて記録していく。この作業が非常に有効です。行動を客観的にチェックすることで、転職活動期間中の作業量低下を防ぎます」(佐々木氏)。

2009年2月9日
介護用品メーカーA社の2次面接。現場の責任者との面接。やはり介護用品に興味が持てない。しかし面接はうまくいったようで、最終面接の案内がきた。同時に企画営業で応募していたビジネスソリューション会社B社からも書類通過のメールが。いい感じだ。やはり1社で進んでいると、ほかもうまくいくようだ。気持ちにゆとりが出るからだろうか。
2009年2月12日
ビジネスソリューション会社B社の1次面接。IT機器に特化した企画営業の募集だけに、「何かいいアイディアはありますか?」と聞かれる。事前に用意していたので、バッチリ答えられた。かなりの好印象。夜、1次面接通過の連絡あり。
2009年2月20日
ビジネスソリューション会社B社の2次面接。現場の責任者との面接。やはり企画を聞かれる。事前に考えていた別の事業アイディアを答える。すごくいい感触だ。思ったとおり、次の日最終面接の知らせがきた。まだ介護用品メーカーA社も残っているが、仕事内容に興味が持てるビジネスソリューション会社B社を本命にしよう。

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