■「自分らしさ」を磨こう。それが自分ならではの「価値」になる

「10年後、20年後に残る仕事、なくなる仕事」などという記事が、最近メディアを賑わせていますね。実際、将来的に見れば、「人手で行う必要がある仕事」しか残らないと考えられます。事務などのルーティン業務だけでなく、プログラマーなど合理的な判断が求められる業務も将来的には機械やネットに置き換わるでしょう。ネットを通じた商品、サービスの販売がさらに増えれば、営業職すら存在が危ぶまれます。

一方で、例えば配慮、気配り、先読み、もてなし…などといった「人間にしかできないもの」は価値として残り続けます。

では、これから日本において長く活躍し続けるには、どうすればいいのでしょうか？ 私は、どんな仕事においても「自分らしさ」にこだわり、磨き続けることが大切だと考えています。それが、機械やネットには置き換えられない「価値」だからです。

どんな人でも、自分の仕事において「こだわっていること」「これだけは負けないと思っていること」はあるはずです。
どんなことでもいいのです。例えば、ミスが嫌いだから業務が終わっても必ず見返してチェックする、グループメンバーと一致団結したいから報告・連絡・相談は絶対にしているしみんなにも働きかけている、効率よく働きたいからスケジューリングは緻密に練る、みんなに気持ち良く働いてほしいから朝オフィスをピカピカに掃除するのが私のこだわり…などなど。これらはすべて、「自分らしさ」であり、あなたならではの「価値」です。ぜひ、自分ならではのこだわりを追求して、価値を磨き続けて続けてほしいですね。

■自分で自分の可能性に、限界を決めないこと

こうお話しすると、「私の仕事はルーティン業務しかないから、仕事にこだわりなんて持てない」という人がいますが、本当にそうでしょうか？

今のやり方で本当にいいのか？もっとよくできないのか？と問題意識を持って考えてみてください。毎日のルーティン業務に、改善の余地は見えてきませんか？もっとスピードアップするために、もしくはもっとミスをなくすために、できることがきっとあるはず。自分で自分に限界を決めないでください。

ピンとこない場合は、「現状の仕事への不満」から考えてもいいでしょう。それを解消するために、何をすればいいのか、だれを巻き込み、だれに働きかければいいのか、考え行動してみてください。例えば、あなたが営業事務で、営業担当者がスケジュール通りに伝票を持ってきてくれないことに不満を持っているのであれば、営業の業務フローを考えてスケジューリングし、それを守ってもらうよう働きかけてみてはどうでしょうか。

このような意識を持つだけで、視野はぐんと広がります。そして、気付いたことを実践して現状を改善、効率化すれば、それがあなたの「価値」になります。単にルーティン業務をこなしている人ではない、その中でも課題を見つけ、改善に動ける人という評価につながります。
転職活動においても、もちろんアピール材料になります。「うちに来ても現状に満足せず、常によりよい環境を目指して尽力してくれそうだ」と思ってもらえるでしょう。

■景気のいい今だからこそ、自分らしさの追求を忘れないで

先に挙げたように、目の前の仕事をただこなしているだけの人には、厳しいようですが未来はありません。早晩、ネットや機械に仕事を奪われてしまう恐れがあります。半年前、1年前と今を比較してみたときに、以前と同じ仕事を、同じボリュームでこなしている人は、もっと現状に焦りを持ったほうがいいでしょう。

2020年に東京オリンピックの開催が決まり、日経平均株価が2万円台を一時回復し、日本景気は上り調子にあります。企業の業績も上向きつつあり、売り上げも伸びているので、仕事がどんどん忙しくなってきた…という人は多いでしょう。
そんな今だからこそ、「自分らしさを追求し、価値を磨く」ことを忘れないでください。目の前の仕事に忙殺されていると、なんとなく頑張っている感が得られ、成長しているような気分になってしまうからです。
「自分らしさ」は将来、景気が落ち込み、例えば勤務先が傾いだとしても、自分に合う会社に出会える「筋力」になります。ぜひ普段の仕事の中で、磨き、鍛える努力を続けてください。必ずやあなたの自信になるはずですよ。