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(株)リクルートキャリア 門野友彦

1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。

2015年4月1日

総集編

2008年秋にスタートしたこの連載、4月15日up分でいったんの区切りを迎えます。今まで長きにわたりご愛読いただき、ありがとうございました。

今までに150人以上の方の転職に関する相談をお受けしてきました。皆さんが置かれた境遇や悩みの内容はさまざまですが、紐解いてみると同じようなことでつまずいている方が多いと感じています。

ラスト3回は「総集編」として、皆さんにお伝えしたい「転職活動のポイント」をまとめさせていただきたいと思います。

Part.1 「書類選考に全然通過しない」と悩む人へ

Part.2 「志望動機がまとまらない、考え付かない」と悩む人へ

志望動機のまとめ方についても、多くの方が悩んでおられますね。特に多いのは、「いくつもの会社に応募しているから、1社1社に対する志望動機が思い浮かばない」という声です。


本当は、応募する会社の業務内容や仕事内容に沿った志望動機を書いたほうがいいと、皆さんわかっています。でも、考えても思いがまとまらず、結果「御社の企業理念に共感したから」「業務内容を拝見し、力を発揮できると思ったから」など、転職マニュアルに書いてありそうな当たり障りのない志望動機になってしまう。


無理に応募先企業と、自身の現職もしくは直近の業務経験とを結びつけようとするから、なかなか思い浮かばないのです。応募先企業の業務内容よりも、まずは「自分自身」を振り返る作業が必要です。

■3つのポイントで、まずは「自分自身」を掘り下げる

「この企業に合う志望動機を考えなきゃ!」と応募先企業の求人ページとひたすらにらめっこしていても、志望動機は浮かびません。どうにかつじつまを合わせたところで、読み手に違和感は伝わります。「思いつきで応募したのかな」「うちでなくてもよさそう」「単なる憧れ?」などと受け取られる恐れが大です。

無理に志望動機をひねり出す前に、やるべきなのは「自分自身を掘り下げる」こと。次の3つのポイントで、掘り下げてみてください。

1. なぜ「その会社」の「その仕事」がしたいのか?

→なぜほかの会社ではなく、その会社・その仕事がいいと思ったのか?も考える。数ある求人の中から、なぜその会社・仕事の求人に目が留まったのかを考えてみるとわかりやすい。

2. その仕事に就くことで、どんな価値が発揮できると思うか?

→自分はその会社・仕事で何ができるのか、過去にどんな経験をしたから価値を発揮できると思うのか?まで考える。

3. その仕事は、自分が将来やりたいこととどうつながっているのか?

→将来、どんな自分になりたいのか?「なりたい将来像」と応募先企業がどうつながっているのか考える。

転職は、なりたい自分になる、やりたいことをやるための一つの手段。従って、「今までの経歴」と「これから目指す将来像」の間に、「転職先」があるはず。
自分は何ができて、何がしたくて、将来どうなりたいのかを考えれば、ただやみくもに応募することはなくなり、自分の思いに沿った「応募するべき求人」がおのずと定まるはず。志望動機も、この3つのポイントでまとめれば説得力あるものになるでしょう。

■志望動機に「軸」を通すため、今までのキャリアすべてを振り返ってみる

一方で、「転職でこれを実現したい!」という思いが強く、志望動機でも本心を伝えているのに、なかなか書類選考に通過しない…と悩む人もいます。

そういう人の志望動機を拝見すると、今の仕事(もしくは直近の仕事)と応募先の仕事だけを見て、この2つを関連つけているだけ、というケースが実に多いのです。 もちろん、それでうまくつながる人もいますが、特に、すでに何度か転職経験のある人や、社歴の長いベテランは、足元だけではなく「これまでのキャリアすべて」を振り返ることをお勧めします。

以前、この「Dr.門野の転活悩み相談」にご登場くださった40代女性は、IT業界で長く営業として活躍し、トップ成績を収めてきた人。ご自身も営業の仕事が大好きで、自信を持っておられました。しかし、別部門への移動を打診されたことで、「今までの知識をリセットしたくない」と転職を決意。しかし、転職活動を開始したものの、書類選考すら通らない状態が続いている…と悩みを打ち明けてくれました。

彼女の志望動機を聞くと、「異動で経験をリセットしたくなかったので転職を決意しました。御社ならば、私の経験をフルに活かせ、必ず実績を挙げられると確信し、応募しました」という内容でした。
一見、問題がなさそうに見えるかもしれませんが、この志望動機からは、彼女の前向きな思いが全く伝わりません。「異動で経験をリセットしたくないから、逃げてきただけでは?」という印象を持つ人事も少なくないと思います。

そこで、彼女の今までの経験を一緒に振り返ったところ、今の勤務先の1つ前に務めていた別のIT企業で「まだ世にない新しい製品を、どう世の中に広めるかという仕組み作りから考え、それに沿って自ら拡販する」役割を任され、非常にやりがいを感じていたことがわかりました。今の会社での役割は、代理店を巻き込みながら既存商品を拡販するのがミッションであり、前職で感じたやりがいは感じられなかったとのこと。

これこそが、彼女の本当の志望理由です。彼女がやりたいのは、「仕組み作りから考えて、実際に売り込むところまで一気通貫で携わる」仕事。IT営業の求人に広く応募するのではなく、思いを叶えられる求人に応募すれば、志望動機が伝わらない…などと悩むことはなくなります。
また、今の会社ではやりたいことが叶えられなかったのですから、「今の会社を出る理由」も本当は異動だけが理由ではなく、「本当にやりたい仕事に就きたいから」という前向きなものであるはず。目先の「異動」という出来事に捉われていたから、志望動機もそれに引っ張られ、結果、「逃げ」「うちでなくてもいい」という印象を与えるものになっていたのだと思います。

ぜひ、過去をじっくり振り返りながら、「なぜ、今の自分があるのか。なぜ、新たに次のステップを目指したいと思っているのか」を考えてみてください。その中に、自分の「軸」が必ずあります。それに沿って応募先を選択すれば、「今までの経歴」と「退職理由」、そして「応募先企業でやりたいこと」に一本の軸が通り、あなたのストーリーが明確に見えてきます。人事担当者の納得度も、ぐんと上がるはずですよ。

EDIT
伊藤理子
DESIGN
マグスター
ILLUST
もりいくすお
PHOTO
平山諭

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