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クライアント企業と求職者の潜在的希望をマッチング双方のハッピーのためなら固定概念さえも覆す 株式会社クライス&カンパニー 岡田 麗

プロフィール

大学卒業後、大手クレジット会社スタッフ職から大手家電メーカー系会社へ営業職として転職。営業課長、営業部長を歴任した後、関連の人材斡旋会社の立ち上げを経て上場を経験。その後、クライス&カンパニーに入社。天性の明るさと前向きな性格が支持され、年齢・性別問わず内外にファン多数。キャリアだけではなく人物面にフォーカスしたマッチングが持ち味だ。

CLIENT

[C社]

ビジネススキル研修事業、アセスメント事業、教材開発・社内講師育成事業、経営・事業相談事業の4つのドメインでサービスを展開。ベンチャー企業から大企業まで幅広い業種の企業から高い評価を得て、実績を積み上げている。

CANDIDATE

[I氏]

36歳、男性。大手電機メーカーで中国やロシアなど複数国の駐在を経験し、海外事業企画や営業、マーケティングで活躍してきた。本社へ戻って数年が経った頃、会社での成長感が感じられないことから、転職を検討し始める。

「やりましょうよ!」求職者の希望に背中を押す

岡田とI氏の初めての面談は、歯切れの悪いスタートだった。36歳のI氏は、大手電機メーカーで長期に渡る複数国の駐在経験があり、日本の本社に戻ってから転職を検討し始めたという。そんな経歴を持つI氏から「次の可能性について、どう思いますか?」と聞かれた岡田は、海外経験を生かせる業種などをいくつか口にするが、どれもあいまいな反応しか得られなかった。

話を続けているうちに岡田は、一見物静かな印象のあるI氏から、沸々とした怒りの感情や、やるせなさのようなものを読み取った。「Iさん、何に怒っているのですか?溜め込んでいるものを感じますよ。」するとI氏は堰を切ったように、胸にあるものを吐き出し始めた。「日本企業が今後どのように世界と戦っていくか」ということに大きな思いを持つI氏は、駐在先で自力でがんばるしかない社員たちのことや、それに対して何も動こうとしない本社のこと、独自に寺子屋のような勉強会を開いて駐在社員の生き残りを図ろうとした自身のことなどをとうとうと語ってきたのだ。

その中で岡田に見えてきたことは、I氏が教育、とりわけ人材開発分野に強い興味を持っていること。その点を指摘すると、以前I氏は他の転職エージェントから「人材系の仕事は経験がないから無理。」と言われたことがあり、教育への興味を隠していたことが明らかとなった。しかしながら岡田は、ここまで聞いてきたI氏の思いや経験から、「行ける」と直感。「やりましょうよ!できますよ。」その言葉に、I氏の表情が変わった。

「本当の課題は何か」そこから繋がる企業と人材

一方で、岡田はC社から、「人材開発のための論理的、体系的プログラムを開発し、講師もできる人材」の採用について相談を受けていた。採用には、「コンサルタント出身者」「30代前半まで」という要件があった。採用戦略について社長に取材を行った際、C社はコンサルタント出身者ばかりであるがゆえ本当のグローバル戦略を分かる人間がおらず、グローバル化のための人材育成プログラムを構築できる人材が不足しているという課題が見えてきた。そこで繋がったのがI氏だ。

さっそく岡田はI氏にC社を含む複数社の応募案件を提案。I氏はそのうち3社を選び応募することになったが、その中にC社は入っていなかった。理由を聞くと、「優秀すぎる人材ばかりの会社ではないですか?」と尻込みしているのが分かった。すぐさまC社へ出向き、「こういう方に興味はないか?」と確認。中国の駐在経験に着目したC社から面接の確約をもらってI氏に伝えたところ、「挑戦してみます。」という答えが返ってきた。

初めての「36歳採用」でグローバル化の実現へ前進

だがその前に面接を受けた企業の1つからI氏はこんな評価を下されていた。「優秀な方だとは思うが、36歳にしてはエネルギー不足。」実力があるのに、それを伝えきれていないのだ。志望意欲や論理性などは問題なく、スキルの質にも確信がある。それが「エネルギー不足」という曖昧なことで断られるのはもったいない。岡田はこれを本人に伝えるべきかどうか悩んだが、今後講師などの仕事を希望するI氏にとって必要なフィードバックであると判断。また、自分が関与してI氏がよりよく変わることであれば伝えるべきだとも考えた。「伝えることで相手の将来に向けてハッピーになることなら伝えよう。」

「エネルギー不足って言ってましたよ!そういうこと信じられますか?情熱的な方なのに。」という岡田の率直なフィードバックは、結果的にI氏の心に火を着けた。自分がそのように見られていることに驚いたそうだ。駐在先で情熱たっぷりに寺子屋をした経験のあるI氏は、「かつてを思い出して行ってきます!」と、C社の面接とプレゼンテーション試験に全力で挑み、無事合格した。C社にとって、36歳のI氏を採用することは、年齢的にも経験的にも初めてのこととなったそうだ。

「わたしたちの使命は、キャリアチェンジを提案するだけでなく、そこに向かっていただく為の具体的なアドバイスをすることです。ご自身の能力以外で不採用になってしまったら、それはわたしたちの努力が不足していると思います。」

現在、I氏は海外を行き来し、グローバル人材の育成プログラム作成に貢献している。C社も仕事の幅が広がり、事業成長につながり喜んでいる。「岡田さんだけが、一人の人間として大切に向き合ってくれた。それがうれしかった。」と話すI氏は、新しい仕事に邁進している。

受賞ポイント

企業に気づきを与え、事業拡大に繋がる兆しを見せる

クライアント企業が出した「コンサルタント出身者」という採用要件に対し、グローバル戦略を担うという業務内容の観点から『海外駐在経験者』という新しい人材を提案。コンサルタント出身者であれば安心、という企業の思い込みを払拭し、新しい気づきをもたらすばかりでなく、事業拡大に繋がる兆しを見せることに成功した。

「35歳限界説」に一石を投じるコアなマッチングに成功

スキルマッチングや既成概念にとらわれやすい36歳という年齢の求職者に対し、心の奥にあった興味を引き出し、コアなマッチングに成功。結果として、まったく異なる分野へのキャリアチェンジとなり、日経産業新聞「30代後半ミドル層の採用・35歳限界説の嘘」という特集テーマで取り上げられ、35歳限界説への投石を実現した。

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