ノミネート企業
「地域に飛び出し、地域の課題を知った上で、業務に取り組む職員を増やしたい」との思いから、全国に先駆けて、2017年より市職員の副業を解禁。副業参加の条件は、人事考課で一定基準をクリアしていることが条件だが、ほぼすべての職員がクリアできる水準にしている。
従来は、「公務員として報酬を得る副業には参加できない」という縛りから、地域活動への参加を制限していた職員も、本格的に副業に取り組めるようになった。外の世界とつながることによる、職員のモチベーション維持や、取材してもらうことによる、シティプロモーション効果につながっている。採用においても、「副業OK」「テレワークもOK」を打ち出しており、それを応募動機にしてくれている人も多い。民間の人材を副業職員・テレワーク勤務で迎え入れる取り組みも進め、多様な人材の交流が生まれている。
「会社を作り上げていくメンバーであるという当事者意識を、新卒社員にも持って欲しい」という思いから、新卒入社の社員が社内制度を提案するコンテスト「せどつく」を、2011年より開始。新卒社員が、職種・部署混合の複数チームに分かれ、先輩社員へのヒアリングやチーム内での議論を通じて、会社に必要な制度を考案する。アイデアは、経営陣にプレゼンテーション大会で発表し、優勝チームと制度化する案が決定し、実際に社内制度として施行される。すでに9つの制度が誕生しており、2020年にはコロナ禍の運動不足解消を目指す「歩いてQ」制度が生まれた。会社のことを深く考え、同期の結束も深まる機会になっている。
ひとりのゲームプランナーが、社内でAI施策を推進したことがきっかけとなり、全社横断のAI研修・開発プロジェクト「AI WORKING GROUP」が発足。AIの研究開発や、事業における実装を通じて、サービス品質を向上させている。こうした活動に経営陣が関心を寄せ、2020年には全社員を対象とした「AI基礎研修」がスタート。技術職だけでなく、非エンジニアも含めた766名の必須受講者に対して、計約50時間(必須10時間、任意40時間)の研修を行い、AIを活用した新たな事業開発につながっている。
家庭の事情で仕事を諦めるのはおかしい、という問題意識を抱き、まずは目の前から変えていこうという思いで、「働くのに場所も時間も関係ない」という会社の意思に基づくNLTP制度を2017年に発足。NLTP制度では、決まった出勤日を設けない「完全テレワーク制度」、勤務日数や出勤有無を問わない「フリー正社員制度」、階層や組織がなく誰でもリーダーになれる「プロジェクトリーダー制度」、クライアントからの喜びの度合いで給与が決まる「D-LIGHT制度」を運用。社員がお互いを助け合う風土が醸成され、かつてはフルタイム社員のみだった社内は、フルタイム・週3日勤務・時短勤務が1:1:1で混在する組織となった。
母親だけでなく家族、社会全体で育児を行う、「コペアレンティング」社会の実現を目指し、子育てソーシャルアクション「Co(こ)育てPROJECT(プロジェクト)」を展開。
その中の社内向け取り組みとして、「グリコのCo(こ)育て」を実施。子の出生後6カ月以内に1カ月の有給休暇「Co育てMonth(マンス)」取得を必須化した。対象者は、休暇前に業務の棚卸しや引き継ぎを進め、休暇期間中は業務PCやスマホの使用を禁止。1カ月間、育児に徹底的に向き合うことで、働き方への意識と行動を変えるきっかけとしている。そのほか上司をはじめ周囲のメンバーの理解促進や、経験者の声を広く広報するなどの、様々な取り組みによって従業員の意識変革を図り、男性育休取得率100%を実現した。
「社員に絶対に残業させない」「仕事と家庭を両立させられる職場」であることを堅持するために、会社が開いている時間であれば、1日何回でも自由に出退勤できる「自由出勤制度」を実施。一つの業務を複数人で担当できるよう、情報共有とワークシェアリングを進め、この働き方を可能としている。また、従業員の間で不平等が生じないよう、正社員・パートといった、雇用形態の区別をなくし、定量的な評価と360度評価を組み合わせて給与を決定する、「全員時間給制度」を導入。子育て中の人や高齢者、障がい者など、さまざまな立場の人が働ける会社となった。
横須賀市役所の職員が、地域の課題を解決する取り組みに、持続性を持たせるために一般社団法人KAKEHASHIを設立。市内で暮らし、働く現役世代の声を聞き、地元野菜の販売を拡大するための事業立ち上げなど、様々な活動を進めている。また、同法人の活動によって、市民からの市役所に対するイメージ向上といった副次的な効果も得られている。KAKEHASHIの活動をSNSで発信することで、「職員の立場を超えて地元に関わりたい」と考える、他自治体職員からのアクションにもつながり、現在ではKAKEHASHIの活動を参考にした、3つの法人が立ち上がっている。
情報の透明性を保ち、メンバーが自ら意思決定に参加できるよう、経営の課題を社内にフルオープンにする、「経営issueボード」を運用。社内共有ツール上で経営課題を公開し、社員は自由に、「意思決定に参加するメンバー」や「意思決定プロセスの情報を見られるフォロワー」になれる。社外向けには、「採用ウィッシュリスト」として、自社の課題を公開。外部の求職者に、向き合いたい課題を自ら選択して応募してもらうことで、自社にマッチした人材の採用を可能としている。
長時間労働が常態化し、かつて社員に、「もう社長にはついていけない」とまで言われた状態から、大規模な業務改革を実施。「一人ひとりの幸せを実現した先に会社の成長がある」という考え方を徹底し、各社員の夢や目標を共有する、「10年年表」を作成。個々の思いを共有し、若手からベテランまで、全員がいきいきと働ける環境を実現した。かつては倒産の危機に陥っていた、岩手県一関市の企業の新卒採用に、今では全国から50名が応募してくれるようになった。
2018年度に過去最大の赤字による経営危機に見舞われた千代田化工建設では、若手・中堅社員を中心に、先行きの見えない将来への漠然とした不安感が広がっていた。
そんな中、「ボトムアップで何かできることはないか」と考えた有志社員が中心となり、様々な経営課題に対する解決策を経営陣に提案し実行していく有志組織「次世代DIGGING LAB.(略称:DIGLAB/ディグラボ)」を設立。
5つのテーマ(「プロジェクトマネジメント」「新規事業」「ライフワークバランス」「人財育成・組織開発」「ESG・SDGs」)について経営陣との対話を重ねて各種提案を行った結果、トップマネジメントの全面的な支援を獲得。
実際に社内恒常組織と連携しつつ、新規事業や社内コミュニケーション改善施策の実現に向けて動き出している。
髙い離職率と、採用未充足により、人材不足が深刻化する介護事業。スタッフの負担軽減や、モチベーション向上に向けた取り組みを実施した。無資格の高校生アルバイトを受け入れる「高校生ケアサポーター」や、複数の事業形態を行き来して、仕事のマンネリ化を防ぐ「ACT」(Area Crossing Tsukui-crew)、介護スタッフによるスマホ教室「寿まほくらぶ(すまほくらぶ)」を通じて、離職率を改善。新卒採用100名という、目標達成にもつながっている。
町工場や商店街など地域企業の課題を解決するために、大田区と外部人材が連携。地方共創やふるさと兼業の取り組みのノウハウを持つONE Xと共同で、「大田区SDGs副業」の募集を開始したところ、さまざまな専門性を持つ外部人材、延べ450名のエントリーがあった。蒲田東口商店街では、遊休スペースを活用して、新たに広告事業を推進。また町工場プロジェクトでは、大田区製造業の特性を活かした、新たなビジネスモデルを検討するなど、合計6名の専門人材がそれぞれの強みを活かして活躍している。こうした取り組みは、大田区の職員にも刺激を与え、前例にとらわれず新たな挑戦を始めようとする風土を生み出しつつある。
人事部門が牽引するだけでなく、社員一人ひとりのアイデアや意志を尊重した働き方改革を進めていくため、社員参加型の「働き方改革Award」を実施。国内約100社のグループ企業、約7万人の社員を対象に、自薦・他薦で応募を集めた103の取り組みから、社員投票によって受賞案件を決定した。アワードの結果に関わらず、興味を持った取り組みについて、自部門でも取り入れようとする動きが増えている。
部署によっては不規則な勤務時間や残業が多い警察署で、働き方改革への意識を向上させ、署員同士のコミュニケーションを活性化させるために、副署長(当時)の発案による署内広報物「週刊副署長」を全36号まで発行。縦社会の風土が強い警察組織でユーモアあふれる紙面づくりを行い、署員一人ひとりが働き方への意識を変えられるよう働きかけた。また、定時退庁と月1回の有給休暇取得をポイント化してゲーム性を持たせる「マイテージポイント」を実施し、勤務時間の見える化を通じて長時間労働の是正につなげた。
慢性的なドライバー不足や、長時間労働の常態化、高齢化の加速など、問題が山積する物流業界。課題の根底には、「社員の健康」があると考え、健康経営の実践とコンプライアンス遵守を、強く推進している。その前提として、取引先(荷主)との条件交渉を長年継続し、単価向上や不採算ルートの見直し、無駄な業務の削減を実現。売り上げを減らしながら、経常利益を大幅に高め、ドライバーが無理なく働き、健康を維持できる体制を整えた。現在は、健康診断受診の徹底をはじめ、各種検診費用の会社負担、禁煙プログラム実施、ストレスチェックの実施など、さまざまな健康経営施策を進めている。
「未来の学校の教員は、社会を広く知る人物であってほしい」という思いから、現職の教員が外部で副業に就いたり、民間人材を副業教員として迎え入れたりする、「学校ダイバーシティ」を進めている。教員の副業推進に向けては、チーム担任制を導入し、ひとりでクラス運営を抱え込むことなく、残業削減にもつながる体制を整備。社会人による授業の導入では、「Happiness Bridge」というオンライン環境も生かしたプログラムを導入し、多様な人材が教壇に立っている。
悩んでいる人が多いにも関わらず、当事者からは打ち明けづらく、職場単位での配慮も進んでいない「片頭痛」。この症状についての理解を深め、悩みを共有しながら働きやすい環境づくりを目指していく、「ヘンズツウ部」を有志メンバーで立ち上げた。7名で立ち上げたヘンズツウ部には、現在110名が参加。その半数は、片頭痛持ちではない「非当事者」である。この取り組みによって、社内では片頭痛への理解が広がるとともに、腰痛や女性特有の症状など「みえない多様性」についての関心が高まり、マネジメントや職場環境に好影響をもたらしている。さらにこの取り組みは社外へも拡大し、企業や医療機関、自治体など9つの組織が参加する「みえない多様性に優しい職場づくりプロジェクト」へ発展している。
コロナ禍で、社員同士の懇親の機会や、大人数で集まる機会が減少している。感染症拡大を危惧して、「職場でも積極的に話しかけるべきではない」と、コミュニケーションを過度に自粛。そのため、在宅勤務をする人だけでなく、出社している社員の間でも、コミュニケーションの壁が生まれていた。解決策として、「コミュニケーション4」という会社主導の取り組み新設し、明確なガイドラインやマニュアルを配布して、職場でともに働く人の、考え方や人となりを知る機会を創出した。
コロナ禍でリモートワークが定着する一方で、社員の関係性の希薄化という、新しい組織課題が浮き彫りに。そこでパーソルキャリアでは、社員間のコミュニケーションの活性化を目的に、自社開発した他人に目標をたててもらうワークショップ、「タニモク」を社内で定期開催し、社員のつながりの場を創出。さらに、ワークショップで立てた目標と行動をサポートしあうコミュニティ、「モクサポ」を運営し、相互フィードバックの機会を増やして、キャリアを前向きに考えられるよう支え合っている。社員同士の支援の輪が広がることで、個人パフォーマンスが向上し、社内調査では、「はたらく幸福実感」も向上。職種・業種・地域を超えた、新たな関係性が生まれている。
アスリートは、少ない収入により現役中から不安定な生活状況に置かれていたり、現役引退後のキャリア形成に、不安を抱いていたりするケースが少なくない。そこで、練習やトレーニング以外の時間に、ビジネスパーソンとして経験を積み、収入を得られるように、複業(デュアルキャリア)で勤務できる「デュアルキャリア採用」をスタート。採用面談時に、アスリートが希望する勤務形態や勤務地、勤務時間などをヒアリングし、双方合意の上で入社。練習時間に合わせた夕方までの勤務や、試合がある土日を除いた勤務など、柔軟な運用でアスリート生活を優先できるようにしている。現在はサッカーを中心に、バスケットボール、格闘技、ダンスなどさまざまな競技のアスリートが入社し、活躍している。
「もっといい会社になる可能性があるのに甘んじていないか?」と、問題意識を持ったことがきっかけで、年に一度、互いの「直してほしいところ=マイルド悪口」を面と向かって伝える、「年末お焚き上げ棚卸し会」を実施。参加メンバー全員で1人のことを話し合い、関係性を崩すことなく、改善に向けて意見を伝えるための、「お焚き上げ5か条」を設けている。
組織においては誰かの行動に対する批判が、いつしか「人格への批判」に発展しがちだが、Headsではこの取り組みを通じて、「行動への批判から改善につなげる」風土が生まれた。
ほめる文化が注目される中で、あえてマイルド悪口を伝える取り組みを行うことで、「互いをよく理解し、相手を傷つけないように直してほしいことを伝える」努力が生まれ、チーム力の向上につながっている。
佰食屋は「1日100食限定」のステーキ丼専門店。営業時間に縛られて、長時間労働を余儀なくされる、従来の飲食店経営の常識を覆した。人数(食数)を目標として掲げることで、全スタッフが残業せずに計画的に働ける環境を実現。同じメニューを提供し続けることで、業務ルールをシンプルにし、障害者や高齢者、子育て中の人など、多様な人材が活躍できるようにしている。
障害者と健常者を区別することなく、誰もがすべての仕事に就ける職場を実現するため、すべての人に開かれた採用活動を実施。USEN-NEXT HOLDINGSとアクティベートラボが共同開発した、「Career Opportunity For DIVERSITY」では、応募者が画面上で「身体」「精神」「知的」「発達」から障害の種類を選択し、「不自由な部位」や「必要な配慮」などの詳細情報を入力することができる。基礎情報入力後、応募者にはUSEN-NEXT GROUPの求人全体から応募可能なものをピックアップして提示。人事側には、その応募者に必要な配慮情報が提示され、その情報をもとに正しく応募者を理解して採用活動を進めることが可能。こうして、会社や人事が人を選ぶのではなく、働く当事者自身が活躍したい場所や適切な仕事を選ぶ採用活動へと大きく転換した。
女性活躍推進をきっかけに、ダイバーシティ&インクルージョンを推進する活動として、有志社員が参加するWILL(Woman in Lenovo Leadership)を実施。女性社員へのアンケートや、マネジメント層との意見交換、役員の仕事に同行するシャドウイングプログラム、仕事以外のテーマでオンラインで自由に話せるゆるcaféなどを実施。女性社員が働きやすい環境を整え、次世代リーダーを目指す人材の育成につなげている。
従来の、「仕事に人をあてはめる」考え方とは真逆の、「人の特性に仕事をフィットさせていく」組織作りを実行。メンバーそれぞれの、「得意なことや好きなこと」「希望する働き方」「キャリアへの期待」などをヒアリングし、一人ひとりが得意領域に集中できるよう、業務を割り振り。
その結果、かつては担当する仕事に納得感が持てず、転職を考えていたメンバーや、別部署で活躍できていなかったメンバーも輝くようになり、部署としても安定した成果を発揮している。