面接担当者は何を見ている?採否決定のポイントは?

面接後の選考現場をのぞき見!

応募者の面接を終えた後、選考を行う人たちはどんなことを話し合っているのだろうか?2社の選考現場をのぞき、応募者のどんなポイントに注目しているか、何を決め手に採否の結果を下しているのかを探ってみた。

2008年6月30日

面接担当者たちはどこに注目する?

ITエンジニアへの転身を希望する教職員&アパレル副店長

(株)エムトラッド

【事業内容】Webデザインからシステム開発、構築、保守運用までトータルサービスを手掛ける。大手ITベンダー、プロバイダー、官公庁ほか直取引先企業も多数。
【募集職種】ITエンジニア。ネットワークやサーバのサポート・運用・監視からスタートし、いずれ設計・構築、リーダーへのステップアップを期待。
【募集背景】2008年6月で、株式会社化して3年目に突入。従業員数は23名。仕事の依頼が増えていることから、人員を増強したい。ここ1〜2年に未経験から入社したエンジニアたちが順調に成長していることから、後に続く人材を採用・育成し、着実な組織成長を図る。
【募集対象】未経験者を歓迎。
【求める人材像】成長意欲のある人、何かに本気で取り組んだ経験がある人、ITのプロに本気でなりたい人。

選考の流れ

1次面接は人事担当者が行い、2次面接は社長が行う。1次・2次いずれかに現場責任者が加わることもある。今回は2次面接後、社長、人事担当者、現場責任者が意見を交わす場をのぞかせていただいた。

今回選考した応募者

Aさん(20代後半)

塾講師を務めた後、教員免許を取得し、現在は非常勤講師

Bさん(20代半ば)

運送会社勤務を経て、現在はアパレル店の副店長

※プロフィールは、選考内容の再現に影響のない範囲で一部加工しています。

あいさつから受け答えまで、全体の印象は?

  1. 人事担当者:
    AさんもBさんもあいさつや立ち居振る舞いがしっかりしていてよかったですね。Aさんは緊張していたみたいで最初ちょっと硬い感じでしたけど、ハキハキと話そうとする姿勢は好感持てました。
  2. 社長:
    Bさんは笑顔がいいよね。アパレルで接客やっているだけあって。面倒見がよさそうな、「兄貴分」的な感じがする。
  3. 現場責任者:
    うん、堂々としていて安心感がある。任せても大丈夫だな、っていう。
  4. 人事担当者:
    Aさんは、頭の回転が速いですよね。
  5. 現場責任者:
    教員の経験が長いからか、質問に対する回答が早かったね。ただ、聞かれたことに対してパッと喋り出しちゃって、いつのまにか話が質問と違うほうに行っちゃうことがあったけど。「すぐに答えなくちゃいけない」と思ってたのかな。
  6. 人事担当者:
    自分の中で答えがまとまってないのに話し始めた、って感じでしたね。そこはちょっと引っかかりました。でも、マナーやメールの文章はほかの応募者よりしっかりしてましたよ。

ポイント!

第一印象は、評価に強く影響する。特にあいさつはしっかりチェックされている

ポイント!

コミュニケーション力が見られている。スラスラ話そうとして先走るのではなく、質問の意図をつかみ、伝えるべきことを整理してから話し始めたい

ITエンジニアとしてやっていけそうか?

  1. 社長:
    Aさん、意志の強さは感じたね。教員免許取得の勉強、よく頑張ったと思うよ。
  2. 現場責任者:
    継続的に学習することに慣れてるだろうから、そこは(ITエンジニアとしての学習も)心配ないんじゃない。ただ、Bさんは、その点はちょっと不安。アパレルの販売とは環境が違い過ぎるからなぁ。
  3. 人事担当者:
    社内にいる分には楽しくワイワイやれるから、そういう雰囲気には合っていると思いますけど、(顧客先の)現場に行くとギャップを感じるでしょうね。それに、わからないことを資料や文献で徹底的に調べる、っていうのは、慣れてないと耐えられない人もいますからね…。
  4. 社長:
    Bさん、副店長でしょ。シフト組んで、売り上げ管理してって、一通りのこと任されてきてるし、自信持ってると思うんだよね。一から始めるのはキツイかも。前職とギャップがあるだけに、壁にぶつかったら「やっぱりこの業界向いてない」って思う可能性はある。ただ、ストレスをうまく発散できそうなタイプだから、大丈夫という気はする。
  5. 人事担当者:
    あぁ、友達とカラオケ行ったりして騒ぐのが好きだって言ってましたね。
  6. 現場責任者:
    内に溜め込ないで、外に発散する方法を持っていれば、まぁ心配ないか。

ポイント!

この仕事に伴う苦難やぶつかる壁に対応できそうかどうかが見られている。ITエンジニアにとって、根気強い学習継続力、ストレスコントロール力は欠かせないポイント

「志望動機」に納得感はあるか?

  1. 人事担当者:
    それにBさん、ちゃんと覚悟がありますよ。彼の志望動機、うちの求人広告に載っているメンバーを見て「異分野から転職した人たちがエンジニアとして活躍していてかっこいい。僕もそうなりたい」ってことだったので、最初は憧れやイメージだけで来てるんじゃないかと思ったんですけど、友人がIT業界に勤めてて、ちゃんとヒアリングかけてるんです。残業とか徹夜とか、ツラい部分も理解してるんで、それでも応募してきたってことは本当に興味があるんだと思いますよ。Aさんのほうは、1次面接の時点で業界への理解がちょっと足りないと感じましたけど。
  2. 現場責任者:
    Aさんはほかにもいろいろな業界を受けてるんだよね。それは構わないんだけど、中途半端な気持ちではね…好きじゃないと成長できないし…。
  3. 社長:
    いや、Aさんは腹はくくれてると思う。教員免許を取ったけど、教員採用試験に受からない、正規雇用のチャンスを待ちながら非常勤を続けていくには年齢的に限界を感じる、新しい道を見つけなくちゃいけない。その「必死感」は伝わってきたからね。 でも、教育が好きで、こだわりを持ってるわけでしょ。僕が思うには、これからの学校ではIT関連の科目増える可能性もあるし、うちで3年間IT知識を身につけて、3年間戦力として活躍してもらって、その後、IT知識を活かして教師に戻るという選択肢もあるんじゃないかと思うんだよね。そうした目標が持てれば、十分やっていけると思うよ。
  4. 人事担当者:
    …。社長、私がAさんから聞いた志望動機、ちょっと違います…。私も聞いたんですよ。「教師の経験を長く積んできて、なぜIT業界なのか?」って。「これまでにも、非常勤講師をしながら教員を目指してきたけど、いつなれるかわからず、不安定な生活を続けられないという理由でうちに面接に来た人、何人かいるんですよ」って、言ったんですけど…。でも、「自分はそうじゃない」って。「教職も楽しいし、続けていってもいいけれど、もっと広い世界を見たいから」って話してましたよ。広い世界を見たいならITじゃなくてもいいんじゃないかと思ったんですけど、最後まで納得のいく答えは聞けませんでしたね…。

ポイント!

漠然とした興味やイメージだけでなく、業界・仕事・企業を研究し、理解した上で応募しているか、入社後の目標や将来ビジョンがあるかどうかが見られている

ポイント!

転職理由〜志望動機に一貫性が見られないと、不信感を抱かれる。自己分析を行い、失敗や弱点は素直に認め、今後の目標を素直に伝えるほうが好印象

  1. 現場責任者:
    う〜ん、ちょっと格好つけちゃったのかな。社長には見破られたから素直に話したとか?
  2. 社長:
    僕も教員免許持ってるから。事前に「あぁ、正規採用の見通しが立たなくて方向転換を迫られてるのかな」と思って、それを前提に話進めたから、ついつい認めたってことかな。
  3. 人事担当者:
    「ウソをついた」というほどでもないと思いますが…ポジティブな印象を与えたかったんでしょうかね。でも、本音を言わずに表面をとりつくろおうとする人は、一緒に働いていくのはちょっと不安。
  4. 現場責任者:
    現場でやられると、ほんと困るからな〜、不都合なことを隠すっていうのは。ミスを隠すのはもちろんだけど、自分自身に何か問題を抱えているときとか、同僚や上司に素直に話せる人でないと、続けていけないよ、この仕事は。
  5. 社長:
    孤立してしまうからね。それ以前に、最初の導入研修をするK(人事担当者)が不信感を持ってしまったんでは、コミュニケーション上、ちょっと厳しいかな。
  6. 人事担当者:
    礼儀正しくて実直な人という印象が強いだけに、裏表があるのがわかると、う〜〜〜んという感じですね。

社風・組織に溶け込んでいけるか?

  1. 現場責任者:
    そういう部分を見ると、Aさんはうちの社風には合わないような気がする。今いるメンバーのキャラクターとはちょっと違うし。
  2. 人事担当者:
    まっすぐな人が多いですからねー。天真爛漫だし(笑)。うちの雰囲気には、Bさんのほうが違和感なくなじめそうですね。私、Bさんは、Sさんのチームに入るといいと思うんですよ。人間性の面から見てリーダーの支えになれるかな、と。Sさんの下には、T君がいるじゃないですか。SさんとT君の間に入るとちょうどバランスが取れると思うんですけど。
  3. 社長:
    なるほどね。SとTはキャラが全く違うから、うまく中和するかもね(笑)。

ポイント!

採否の決定は、単なる評価の良し悪しだけでなく、組織に入ったときのポジションのバランスが考慮されることもある

結論

Aさん…不採用

Bさん…採用!

採否の決め手は「社風との相性」「業界・仕事への興味の強さ」

経験も素養も高評価だったAさんだが、1次面接と2次面接で話した内容が一貫していなかったことが印象を左右したようだ。同社はメンバー同士のコミュニケーションが活発な社風。自分の気持ちを素直に伝えようとする姿勢がなければ、仲間になじめない可能性があるという不安を残し、惜しいところで採用を見送られることになった。
Bさんは人柄の良さに加え、未経験職種に挑戦するにあたって業界や仕事を自分で調べて理解しようとしていた自主的な姿勢が評価された。

EDIT
あおきのりこ
DESIGN
YDA Co.,Ltd.
PHOTO
平山 諭

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