面接担当者は何を見ている?採否決定のポイントは?

面接後の選考現場をのぞき見!

応募者の面接を終えた後、選考を行う人たちはどんなことを話し合っているのだろうか?2社の選考現場をのぞき、応募者のどんなポイントに注目しているか、何を決め手に採否の結果を下しているのかを探ってみた。

2008年6月30日

面接担当者たちはどこに注目する?

営業職を希望する社会経験のない20代&異業界出身の30代

(株)エスコ

【事業内容】省エネ法、温暖化対策法に対応する企業の定期報告書作成、エネルギー改善計画などを、自社開発ソフト「ESCO2」を活用してサポート。電力の分析、受変電設備の監視、各種制御機器の販売も行う。
【募集職種】コンサルティング営業。法律にもとづき、企業に対しエコ対策を提案。中小企業または大手企業を担当し、チーム体制で活動する。
【募集背景】2008年3月の省エネ法、温暖化対策法改定に伴い、日本にある企業のうち約50%に温室効果ガス削減対策(報告書提出、改善計画の立案)の義務が課せられた。技術とノウハウを持つ同社への引き合いは急増。ニーズに対応し、事業を拡大するために人材を強化。
【募集対象】学歴不問。業界問わず営業経験者・未経験者を歓迎。
【求める人材像】コミュニケーション能力のある人、コンサルティングに興味のある人、エコビジネスに興味がある人、成長意欲の高い人。

選考の流れ

1次面接は人事担当者が行い、2次面接は現場責任者が行う。のぞいたのは、2次面接終了後の最終議論の場。役員が1次・2次それぞれの面接担当者から報告を受け、手ごたえを確認した。

今回選考した応募者

Aさん(20代前半)

大学卒業後、海外に半年滞在。帰国後、就職活動を開始

Bさん(30代後半)

運輸会社、通信機器会社など複数回の転職を経験

※プロフィールは、選考内容の再現に影響のない範囲で一部加工しています。

社会人経験なし。教育に時間と手間を要する?

  1. 人事担当者:
    A君の印象としては、素直で物怖じしないけれど、喋りはうまくないといった感じですね。会話のキャッチボールがスムーズじゃないというか。社会人経験がないせいでしょうけど、教育に時間がかかりそうということで、ちょっと厳しいかな、と思ったんです。
  2. 役員:
    それでも、2次面接に進めたのはどうして?
  3. 現場責任者(1):
    僕は会ってみたいと思ったんです。素直で物怖じしないのであれば、中小企業向けの営業にはいいんじゃないかと。中小企業の経営者が相手だと、喋りがうますぎるのはかえって警戒されることもありますから。口下手なのはたいして問題じゃなくて、素直な人物であればかわいがられるし、信頼される。そのメリットのほうが大きいだろうと思ったんです。
  4. 役員:
    素直さがあれば、新しいことを学んでもスッと吸収しやすいしな。物怖じしないってのも大事だよ。逃げずに向かっていく姿勢があれば、壁にぶつかっても何とかしようと思うから。
  5. 現場責任者(1):
    実際に会ってみたら、確かに喋りはうまくないけど、一生懸命に話そうとする姿勢があってよかったです。

ポイント!

未経験者の場合、新しいことをスムーズに吸収できるかどうかが見られている。「能力」以上に「ものごとに向かう姿勢」が重視される

気にかかる「就職せずに海外へ」の理由

  1. 役員:
    ただ、大学卒業後、就職せずに海外に行ってたっていう点が引っかかるなぁ。これまで海外留学経験者は大勢見てきたけど、プラス面・マイナス面があるんだよな。やりたいことが明確で行動力があるのはいいんだけど、自分のビジョンから少しでも外れたときに悩むんだよ。「これは自分の生き方じゃない」って思い込んで、柔軟に対応ができない。もしくは、「現実逃避」するタイプかもしれない。その点はどうなんだろう?
  2. 人事担当者:
    あ、それは1次面接で確認しました。就職しなかったのは、やりたいことが見つからなかったからだそうです。日常を離れて、海外で人生についてじっくり考えたかった、と。そこで見つけた答えが「人とコミュニケーションをとることが好き、だから営業がやりたい」ということでした。世界に視野を広げてみて、環境にも興味を持ったようですね。環境対策の必要性を感じていて「誇りを持てる仕事がしたい」と言ってました。
  3. 役員:
    今後の目標が明確になっていて、素直な吸収力があるなら、早く成長できるかもしれないね。

ポイント!

「これからどうしたいか」が明確になっていれば、過去の回り道はマイナス評価にならないことも

  1. 人事担当者:
    採用枠に余裕があれば、採用してもいいかと思います。ただ、今は組織を急拡大していく時期なので、即戦力になって、早い段階でリーダーになれそうな人を優先したいですね。その点、Bさんは期待できると思います。営業経験がありますし、一時期、電気関連の業界にいたこともあるので。
  2. 役員:
    (Bさんの職務経歴書に目を通す)

ポイント!

同職種でも組織の状況(拡大期・安定期・変革期など)によって求められる人材が変わる

これまでの経験は自社の仕事にマッチするか?

  1. 人事担当者:
    30代後半で、転職回数が多い(4回)のはちょっと気になるところなんですが…。
  2. 役員:
    まぁ、転職回数が多い人でも、うちのスタイルにうまくハマると大活躍できるからね。数カ月単位で転職を繰り返してきたわけじゃないし、1社あたり3、4年以上は続けてるから、それほど問題ないんじゃないかな。しかも、この人、X社で3年、Z社で5年勤まってるんだ。これはたいしたもんだよ。
  3. 現場責任者(2):
    どちらも営業がハードなので有名ですからね。実際に会ってみても、ガッツのある人だっていう印象を受けました。
  4. 人事担当者:
    そうですね。頑張ろうという前向きさはすごく感じました。X社とZ社で働いていたということは、きっとフットワークは軽いでしょうね。中小企業担当の営業も十分こなせると思います。
  5. 現場責任者(2):
    2次面接では社長も同席されたんですが、こちらでは「大手企業担当がいいんじゃないか」という話になりました。30代後半ってことで、年齢的な落ち着きが安心感を持たれるということもありますけど、営業力も高いと思いますよ。今まで自分がやってきたことに対して、ちゃんと自己分析ができてるんです。で、話の要点を整理してわかりやすく説明する力もある。大手相手の理論的な営業もスムーズにできるんじゃないかと思います。

ポイント!

対象顧客によって、活動スタイルや求められる要素は異なる。エスコには「中小企業担当チーム」「大手企業担当チーム」があり、どちらでより活躍できるかが注目された

30代後半、
社会人経験が長い人ならではの懸念は…

  1. 役員:
    法律をふまえた提案をするという点でも、相手に安心感を与えられる年齢であるっていうのはいいと思うんだけど…ただ、30代後半にもなると、これまでの経験に引きずられてしまう人も多いからね。「今まで自分はこうやってきたんだ」っていうこだわりが強いと、うちに入って新しいことを覚えようとするとき、うまく吸収できないこともある。その点はどう感じた?
  2. 現場責任者(2):
    これまでの経験や実績を自慢するような態度はありませんでしたし、自分の強み・弱みを掘り下げて冷静に自己分析されていたので、そういう不安は感じませんでしたけど。
  3. 人事担当者:
    僕が印象に残ってるのは、Bさんが話しているときの笑顔なんですよ。素直な笑顔だったんですよね。その印象では、新しいものを受け入れる姿勢はあるんじゃないかという気がします。

ポイント!

社会人歴が長い人は「前の業界・会社のカラーに染まっていたり、自分のやり方が確立されていて、新しいことを吸収しにくいケースがあることが懸念される。経験や実績を強調するより「学ぶ」意欲を見せることが大切

結論

Aさん…採用!

Bさん…採用!

採否の決め手は「吸収力」「取り組み姿勢」

2人とも採用となった決め手は「素直さ」。独自のこだわりや経験に固執しない素直さがあれば、未経験の仕事も吸収しやすいと判断された。
加えて、社会人経験のないAさんは、新しいことにチャレンジしようとする取り組み姿勢を評価。Bさんはこれまでの豊富なビジネス経験から、自社のビジネスの困難な部分にも対応でき、かつストレスへの耐性も強いだろうと期待された。

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