「お互い別々の仕事に励んでいた時期。
週末のみ2人で過ごしていました」

東京にいたころは、外資系コンサルティング会社で、テクノロジーやメディアに関する事業戦略を考えたり、事業の立ち上げに従事していたんです。昼も夜もなくいつも全速力で走っているような毎日でしたが、仕事のやりがいや達成感はかなりあり、今とは違う形ですが、充実していました。そんな時に山梨で親戚の会社の事業再生を任されることになって、急遽山梨県富士吉田市に移住。それから3年間は、週末のみ2人で暮らす別居婚の形をとりながら、民事再生法を活用して事業を再建。翌年は黒字化を果たしました。振り返ってみるとあの時の山梨への単身移住が、すべてのきっかけですね。（藤田さん）

就職した当初は、大手都市銀行で主に投資専門の窓口業務を担当。働き始めて5年目くらいの時に、知り合いに「女性向けのマーケティング会社を作りたいので、一緒にやってほしい」と声をかけられて。当時は新しいことに挑戦してみたいという気持ちがあったので、思い切って転職することにしたんです。ベンチャー企業の立ち上げという全く新しい世界でしたが、結婚して生活が安定していたことも転職を決意できた理由の一つでした。それからは社長と2人で奔走する毎日。主な仕事はコンテンツを作るにあたって、今の流行や話題のスポットなどをリサーチをすること。人脈作りも大切でしたね。かなり忙しい日々でしたが、毎週金曜には早めに仕事を切り上げて、最終の高速バスで山梨へ。月曜の朝まで山梨で過ごしていました。今思えば雄大な自然あふれる地での週末婚は、その時の私にとってかなりのリフレッシュ。めまぐるしい日々とのバランスをここでとっていたと思います。（鷲野さん）

「“牛や馬を飼いたい”から出発した
手作り牧場をオープン！」

マーケティング会社の立ち上げが一段落して、そろそろ山梨で2人で暮らすことにしようとこちらへ移住したのが、ちょうど3年前のこと。ここでどんな仕事ができるかなって考えた時に、もともとあった別荘を改築して宿泊施設にすることを思いついたんです。2人がかりでだいたい半年くらいかけて内装に手を加えて、2006年の8月に「やすらぎの別邸 四季亭」をオープンしました。でも、山梨での宿って冬が長いこともあってけっこうオフ期間が長いんですよね。東京へは戻らずしばらく山梨で暮らしたい、と思うくらいにこちらの自然に包まれた環境が気に入っていたので、何か別のことも始めようかという話も2人でしていました。
　それで考えたのは、「ここで家畜を飼えないかな？」ということ。牛や馬とのふれあいができれば、「やすらぎの別邸 四季亭」に来てくださったお客様にも喜んでもらえる！そう思って、さっそく県の畜産課に聞いてみたんです。その時に参考になる牧場として教えてもらったのが、三重県のモクモク手作りファーム。勉強会へ参加した後、その取り組みに感動して、昨年3月に牧場を作ることを決意しました。それからは山の伐採など自分たちの手で行い、8月に「ふじさん牧場」をオープン。まだ飼育に慣れていないので、子牛や乳牛、羊や馬などの動物は、ほかの牧場からお借りしました。これまでペットも飼ったことのない私たちが、一番最初に飼った動物って牛なんですよ（笑）。牧場作りはまだまだ途中ですが、これからも夢を忘れずに、できることからやっていきたいと思っています。（藤田さん&鷲野さん）