どう違う?20代、30代女性の「仕事やキャリアアップのためにかける時間や費用」

女性の役職登用に力を入れる企業が増える中、キャリアアップに意欲を持つ若い女性が徐々に増えつつあるようだ。一方で、現在「管理職」として活躍している女性は、若手時代にどのように仕事やキャリアを考え、どんな努力や工夫をしてきたのだろうか?リクナビNEXT編集部では20代、30代の女性ビジネスパーソン559名にアンケートを実施。女性管理職の30代と、非管理職の30代、そして非管理職の20代とのビジネスに関わる時間と費用を比較し、意識の差を検証した。

2014年7月16日

(調査概要)
調査方法:「女性ビジネスパーソンの20代と30代でのビジネスに関わる時間と費用の変化」インターネット上で実施
実施期間:2014年6月14日〜6月18日
調査対象:25〜39歳の女性ビジネスパーソン559名(30代管理職75名、30代非管理職265名、20代非管理職219名)

■30代女性管理職は、社内外の人脈形成に時間をかけている

まずは、30代女性全員に仕事に対する意識の変化をたずねたところ、特に差が大きかったのは、「スキルアップを意識するようになった」という答え。30代管理職が80.9%に対し、30代非管理職は59.0%だった。また、「仕事に対する意欲が上がった」という答えは、それぞれ78.7%、57.1%、「自身の成長を感じるようになった」は74.5%、59.0%、「昇進を意識するようになった」は57.4%、42.3%となった。

30代管理職のほうが、仕事やキャリアに対する“意識”が20代の頃より高まっていることがわかる。

一方で、「勤務時間が長くなった」と答えた人は、30代管理職が66.0%、30代非管理職が44.9%。管理職のほうが業務量が多く、勤務時間も長くなるという傾向は、どうしてもあるようだ。

■仕事に対する意識の変化の内容(20代から仕事に対する意識の変化があったと回答した人のみ)

そこで次は「時間」に焦点を当て、質問を投げかけてみた。
先の質問で「20代に比べ、勤務時間が増えた」と答えた30代管理職は多かったものの、実際のところ、「勤務時間」「残業時間」を問う質問では、30代管理職、30代非管理職では回答に差はなかった。
ただ、勤務時間以外で「社内の人との付き合いにかける時間」「社外の人との付き合いにかける時間」において、大きな差が見られた。

■社内の人との付き合いにかける時間(週)

■社外の人との付き合いにかける時間(週)

「社内の人との付き合いにかける時間」は、30代管理職が週に2.88時間であるのに対し、30代非管理職は1.25時間、20代は1.73時間と、1時間以上の開きが見られた。「社外の人との付き合いにかける時間」も、それぞれ3.20時間、1.73時間、1.73時間と、倍近い差が付いた。

しかも、30代管理職は「20代のうちに、もっと社内外の人との付き合いに時間をかければよかった」と思っている人も多いことがわかった。

■20代で社内の人との付き合いにかけた
 時間を振り返っての考え

■20代で社外の人との付き合いにかけた
 時間を振り返っての考え

■社内の人との付き合いに「もっと時間をかければよかった」と思う理由
 〈30代管理職〉※参考値
 〈30代非管理職〉

「社内の人との付き合いにもっと時間をかければよかった」と答えた30代管理職は20.0%。理由も併せて聞いたところ、実に全員が「信頼関係を築きやすくなると思うから」と回答した。その他、「仕事の悩みに思いもよらないアドバイスがもらえたと思うから」、「仕事がやりやすくなったと思うから」などの回答も上位に上り、いずれも30代非管理職と比較して高い数値となった。30代で管理職となった今、社内の人間関係が仕事に及ぼす影響力の大きさを、日々実感している人が多いようだ。

■社外の人との付き合いに「もっと時間をかければよかった」と思う理由
 〈30代管理職〉※参考値
 〈30代非管理職〉

「社外の人との付き合いにもっと時間をかければよかった」と答えた30代管理職は28.0%、30代非管理職は21.1%だった。その理由として、30代管理職が多く挙げたものは、「20代の頃築いた関係が今も続いているから」71.4%(30代非管理職は55.4%)、「仕事がやりやすくなったと思うから」71.5%(30代非管理職は51.7%)だった。前者に関しては、プライベートな付き合いに対する回答も含まれると思われるが、30代管理職は総じて仕事に関する回答が多いことを踏まえると、「20代のうちから築いた社外の人脈が今の仕事の成果につながっていると感じている人が多い」と推察される。

なお、「20代の頃は社内外の付き合いにどれぐらいの時間をかけていたか」と聞いてみたところ、30代管理職は社内4.65時間、社外3.64時間、30代非管理職は社内3.42時間、社外2.42時間だった。

■社内の人との付き合いにかける時間(週)

 ※20代のころかけた時間と、現在かけている時間


■社外の人との付き合いにかける時間(週)

 ※20代のころかけた時間と、現在かけている時間


管理職、非管理職とも、30代の現在よりも20代の頃のほうが多く時間を割いているが、30代管理職のほうが30代非管理職よりもさらに1時間多く時間を割いており、「20代のうちに、仕事だけでなく社内外の人脈を築くことにも時間を割いた人は、30代でキャリアアップしている割合が高い」ことがわかった。

■管理職はビジネススクール、ビジネス本、社内外の人脈構築にお金をかける傾向

今度は、「仕事やキャリアアップのためにかけるお金」についての回答を比較してみた(以下、回答はすべて月単位の額)。


■仕事に関わることについて、かけている費用(月)

ビジネススクールへの参加にかけているお金は、30代管理職が9,900円であるのに対し、30代非管理職は700円、20代は1,200円と大差が付いた。また、ビジネス書籍購入費は、それぞれ6,000円、1,100円、1,200円と、これも大きな差が出た。社内外と人との付き合いにかける費用も、30代管理職は総じて高かった。仕事やキャリアアップのためのお金、社内外の人脈構築にかけるお金も、惜しまない傾向があるようだ。

先の質問に合わせ、30代に「もし20代に戻れるとしたら、今の自分の仕事のために何に時間をかけたいか」と聞いてみたところ、興味深い結果が出た。

■20代に戻れるとしたら、今の自分の仕事のために最も時間をかけたいこと

30代非管理職の回答で一番多かったのは、「映画鑑賞や旅行など、仕事と関わりのないことにかける」というプライベートに関する答えだったが、30代管理職は「ビジネススキルを上げるためにビジネススクールへ参加する」がトップだった。また、「社内の人との付き合いを深める」「ビジネススキルを上げるためにビジネス書を読む」「もっと仕事量を増やす」などの項目で30代非管理職よりも3ポイント以上の数値を示しており、「今の仕事に直結した項目に重要性を感じている」ことがわかる。

今回、アンケートに回答した30代女性管理職のうち、53.3%が「役職に満足している」、60.0%が「ポジションに満足している」と回答し、52.0%が「仕事が楽しい」と答えている。なお、「仕事が楽しい」と答えた30代非管理職は28.7%と管理職の約半分だった。

「満足のいく立場で楽しくイキイキ働く」ためにはいくつかの選択肢があるが、これらの回答から考えると「管理職になること」も選択肢の一つであり、若いうちからのスキルアップや人脈形成の努力がステップアップを実現するための一つの条件になると言えそうだ。

EDIT
伊藤理子
DESIGN
マグスター