転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 営業から商品企画やマーケに転身したいが、面接で落ちる
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(株)リクルートキャリア 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2015年1月21日

![]() 神岡優未さん |
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新卒でIT関連会社に入社し、現在までに業務用パッケージソフトの営業に6年間従事する。30歳を前に、興味を持っていた商品企画やマーケティング職にキャリアチェンジを目論み、転職活動をスタート。しかし、面接に進めても一次で落ちてしまう。 | |
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新卒で入社したIT関連会社で、6年以上営業を勤めています。30歳を前に商品企画かマーケティング職への転身を目指して転職活動をしていますが、書類選考は通っても面接が突破できなくて…。最近では、書類通過率も下がってきた気がします。
応募書類を拝見すると、営業成績はとてもいいのですね。ずっと目標を達成されているし…。なぜ転職を決意されたのですか?

現在扱っているのは、業務用のパッケージソフトなのですが、全然新製品が出ないんです。会社の経営状態が悪いので、開発予算が割けず、既存製品のバージョンアップで食いつないでいる状況。新製品は私が入社して以来、発売されていません。取り引き先にも「こんな機能が欲しいのにおたくにはないよね」「他社からはもっといいものが出ているよ」などと言われる始末で…。取引先との信頼関係で、どうにか継続購入いただいていますが、そろそろ限界を感じています。せめて顧客の声を製品開発に反映できるぐらいの体力のある会社でないと、勤め続けられないと思うようになったのです。
経験を活かして営業職へ転身するのではなく、商品企画、マーケティングへの転身を目指しているのはなぜ?
営業として「製品がもっとよくなれば、ここまで営業に苦労することはないのに」と思うにつれ、顧客ニーズを一番知っている自分が商品企画に携わりたいと思うようになったのです。2年ほど前、製品のバージョンアップのタイミングで顧客から多く挙がっていた要望を提案して、機能が追加されたという経験をしたこともキャリアチェンジを目指す大きな理由です。小さなことではありましたが、自分の提案が製品に反映され、世に出る喜びと楽しさを実感することができました。
なるほど。面接で落ちることが多いということですが、面接ではどういうことを聞かれるのですか?
通り一遍のことばかりなのですよね…。今までの経歴や、今の会社を選んだ理由などを一通り聞かれるぐらいで終わってしまいます。もちろん、その中に営業として感じていた課題や、お客様の意見を商品に反映したいという想いは盛り込むようにしているのですが、あまりいい反応をもらえませんね。
うーん…。落ちる理由はなんとなくピンと来るんですよね。書類ではおそらくポテンシャルを感じたのでしょうが、会って話を聞いてみて、考えが甘いという印象を受けたのではないかな。
え?どういう点が「甘い」と思われたのでしょう?!
いい新製品が発売されないから、営業として厳しいとおっしゃっていましたよね。確かにそうだと思うのですが、だから企画側に回りたい、自分のアイディアが反映される立場で仕事に喜びや感じたい…というのはいささか甘い動機です。商品企画は、すべてのクレームが集まる部署です。いい商品を作らないと営業は売ってくれない、何かトラブルがあったら企画部門が問題視される、売り上げ目標を達成できないと「売れないものを企画したのが悪い」と批判の矢面に立つ…そういう部署なんです。それだけ責任とこだわりが必要な部署なのに、憧れで目指す人がとても多いのも特徴。「またこのタイプが来た…」と思われ、落ちてしまっているのではないかな。

そんなつもりはないのですが…言い方が軽かったのでしょうか。
はい。また、神岡さんは商品企画とマーケティングを一緒に語ることが多いですが、この2つは全く別の役割です。両方の役割を兼務する募集だったらいいのですが、商品企画、マーケティングとわかれているならば、ごっちゃにしないことです。ちなみに、商品企画職よりもマーケティング職のほうが、営業出身者でも比較的通りやすいです。営業ならば普段から独自のマーケティングを行って売れる工夫をしているでしょう。「お客様のニーズを探り、より納得いただける提案をするために、このような方法で独自のマーケティングを行った」などと具体例を挙げられれば、経験はなくともポテンシャルが感じられるし、“売るためのマーケティング”ができそうだと評価されるケースはあります。
そういえば、面接に呼ばれたのはマーケティング職の募集が多かったですね。バージョンアップの際の機能追加の提案についても、興味を持って聞いてくれた気がします。…商品企画もマーケティングも、経験が少なからず活かせると思うのですが、どちらかというと、顧客の目線をいい商品開発に活かしたいという思いも活きると思うので、商品企画を目指したいです。自分の手で、より顧客ニーズに沿った新しい価値を生み出したいのです。
商品企画の部署へは、新卒入社してすぐには配属されませんよね?営業などほかの部署で、自社商品・サービスを知り尽くしてから、その経験を活かして配属されるケースが大半です。本来ならば、神岡さんも自社の商品企画部門に名乗りを上げるのが一番の近道なのですが、企画部門が機能していないのであれば他社で目指すしかありません。ただ、「商品・サービスを理解し切れていない他社」で商品企画に採用されるには、相当の努力と工夫が必要です。
どうすればいいのでしょう…?
ご自身の提案がバージョンアップ時に反映された経験を、しっかりアピールしましょう。顧客からのどんな要望が寄せられていて、何を一番の課題と感じていたのか、バージョンアップ時に反映してもらうためにどのように訴え、どうやって周りを巻き込んだのか、エピソードがあればぜひできるだけ具体的に伝えて、戦力となり得る素地があることをアピールしてください。できれば応募書類に書いたほうが、書類通過率が上がるし面接でのやり取りもスムーズになります。
わかりました。アイディアを提案する際に、取り引き先の生の声をまとめた企画書を作るなど、OKをもらうための工夫はしたので、具体例をアピールしたいと思います。

ただ、人気職種なだけに、商品企画へのキャリアチェンジは競争率も高く、難航が予想されます。その場合は、まずは「顧客の要望にこたえる姿勢がある会社」かつ「商品開発をする体力がある会社」に営業として転職し、そこで経験を積んで商品企画への異動を目指すという方法も検討してみてください。神岡さんは、営業としては申し分ないスキル。新製品が出てこない中で、どのように信頼関係を築き、どういう方法でハイ達成を続けてきたのかアピールしましょう。そのうえで、提案が反映されたエピソードも伝え、「御社の商品を知り尽くし、ゆくゆくは商品企画に」と伝えれば、ステップアップに対する意欲も伝えられます。
なるほど。そういう会社であれば、今のようにどう営業すればいいか悩むことも少なそうですね。もうちょっと楽に数字を挙げられそう(苦笑)。売りたいと思えるような魅力的な商品・サービスを作っている会社を、調べてみたいと思います。
経験が活かせるIT系か、ITと同様に無形のサービスであれば、より経験が活かせるでしょう。ぜひ視野を広く持って、検討してみてくださいね。
応募しては落ち、面接を受けては落ち…が続いていたので、疲れ果てていました。でも、課題が見えたことで希望の光が見えてきた気がします。今までの経験、特に新機能の提案についてのエピソードを整理し、前向きにアピールしてみます。営業職についても、改めて求人をチェックしてみたいと思います。(神岡さん)

- EDIT
- 伊藤理子
- DESIGN
- マグスター
- ILLUST
- もりいくすお
- PHOTO
- 平山諭