転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 社団法人から一般企業の事務に転職を目指すが、応募先に悩む
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(株)リクルートキャリア 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2014年11月5日

![]() 坂上友利子さん |
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大学卒業後、社団法人に就職し事務職として1年半勤務。職場に活気がなく、自身の成長も感じられないため、一般企業の事務職への転職を目指している。しかし、どの業界に応募すればいいのかわからず、やみくもに応募しても書類選考で落ちることが多い。 | |
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ある社団法人の事務職に就いて、1年半になります。一般企業の事務職に転職したくて活動を始めたのですが、どういう業界、企業に応募していいのかわからず、悩んでいます。
なぜ転職したいと思ったのですか?
今の職場は年齢層が高く、私と同じ20代はほとんどいません。そのためか職場に活気がなく、いつも物足りなさを感じています。若い人が少ないせいか、私が先輩の愚痴の標的になってしまって…。「自分の仕事を全うしていれば何を言われても大丈夫」と大きく構え、やり過ごしてはいましたが、最近はパワハラめいた発言も多く、退職を考えるようになったのです。どうせ環境を変えるならばガラリと変えたいし、応募先の選択肢も多いので、一般企業を考えているのですが、逆に多すぎてわからなくて…。就職活動のときは公務員を目指していたので、求人サイトを見てもどこに応募していいか見当がつかないんです。名前を知っている企業にいくつか応募してみたものの、志望動機があやふやなためか、ほとんど書類選考で落ちてしまいました。このままどこへも行けないのではないかと落ち込んでいます。

そもそもなぜ、公務員を目指したの?
もともと公務員には興味を持っていたのですが、決定的になったのは、大学時代に経験した官公庁でのインターンシップです。ある省庁で事務のアシスタントをしたのですが、皆さんご自身の役割に責任と情熱を持って臨んでいて、朝から晩までバリバリ仕事をしている。「安定していて楽そう」なんていうイメージとは真逆で驚かされたんです。でも、仕事が終わった後、何度か私たちを飲みに連れて行ってくれたのですが、その場では皆さん明るくはっちゃけている。オンオフ両方の顔がそれぞれ魅力的で、「こんな魅力的な人たちの中で働きたい」と思えたんです。
今の環境とは、大きなギャップがありそうですね。そのギャップを紐解いていけば、坂上さんが目指す方向性が見えてきそうですね。
本当ですか!?
インターンシップで感じた官公庁の魅力は、普段は真面目で仕事内容もお堅いけれど、そこで働く職員は皆明るくフランクで、仕事もバリバリこなす人たちだった…という点でしょうか?

はい、その通りです。チームワークも非常によく、みんなで連携を取り合ってより良い成果を上げようという雰囲気がありました。…でも、今の職場は…。堅い仕事というのは同じなのですが、一人ひとりが独立していてみんなクールでドライ。職場でのコミュニケーションなどほとんどありません。そのうえ、先輩からの小言も増えて…毎日息が詰まりそうです。
なるほど。職場の雰囲気や人間関係は重要なポイントになりそうですね。
確かにそうですね。あと、成長を感じられない点にも不満を感じています。自分の業務が終わり、「何かお手伝いしましょうか?」と周りに声をかけても、「そんなものないよ」と言われてしまう。決まった業務を決まった分量、毎日やり続けるのが当たり前、という考え方なんです。もっと責任ある業務を任されステップアップしたいと思うのですが、そんなことを言える雰囲気ではありません。そもそも仕事量自体もそんなにありませんし…。
今の仕事で、楽しかったこと、やりがいを感じたことはありますか?
ほとんどないのですが、敢えて言うと…私の業務では、稀に取り引き先からの問い合わせを受ける機会があるのですが、その際に「ありがとう」と言われることがあり、喜びを感じます。私としては、問い合わせに真摯に対応しているだけなのですが、「丁寧に調べて下さり、助かりました」と言われると、嬉しく思いますね。
なるほど。今までのお話をうかがっていると、「責任を感じられ、かつありがとうがいただける仕事」かつ「職場に活気があり、互いにコミュニケーションを取りあって成長できるような雰囲気がある」ことが、次の職場に対する条件になりそうですね。「感謝される仕事」でいえば、社外の人だけでなく、社内の人とコミュニケーションを取る仕事でも、「ありがとう」がもらえそうですね。例えば、一般事務もそうですが、営業事務などもターゲットに入れてみては?営業担当者の要望に真摯に答え、資料や見積もり等を作成して、「ありがとう」をもらう…というのも、アリなのでは?
営業事務は今まで考えていませんでしたが、合いそうですね!選択肢に加えてみたいと思いますが、どんな業界、企業を選べばいいでしょうか?
「成長できる」「活気がある」というキーワードから考えると、業界問わず、今まさに成長中にある若い会社がよさそうですね。
実は、あまり体が丈夫なほうではなく、急成長中のベンチャーだとペースが合うか不安です。残業も多少ならば厭わないのですが、毎日終電なんていう環境だと辛いですね…。

なるほど、確かに。業務量だけでなく、設立間もないベンチャーだと会社の体制自体が整っていないケースが多く、社団法人からの転身だとギャップが大きすぎるかもしれません。かといって、歴史の長い老舗企業だと、すべてがそうとは言いませんが古い慣習が残っていたり考え方が堅いケースもあり、今の職場と大差ないかもしれません。狙うべきは、その中間。設立して10年以上経ち、創業事業が軌道に乗って組織も安定し、次の一手を打とうとしている企業。そういう企業を探して、求人広告やホームページを見て、社内の雰囲気がよさそうだと感じたら応募してみてはいかがでしょうか?
応募書類には、何と書けばいいのでしょうか?
今挙がったキーワードを、そのまま書けばいいのです。責任ある仕事に取り組みステップアップを目指せる、頑張った結果「ありがとう」の言葉がもらえる、そしてチームワークを大切に仕事ができる。そんな環境で働きたいと思い、転職先を探していました。御社の求人広告とホームページを拝見したところ、その想いが実現できる環境だと思えた…そう記せば、辞める理由と入る理由に一本筋が通ります。坂上さんはまだ24歳、職歴も1年半です。あまりひねりすぎず、自分の気持ちに正直に記すことが重要ですよ。そして、面接で志望動機を問われたら、「御社がこういう環境だと感じたので、応募しました。実際はいかがでしょう?どのように感じておられますか?」などと面接担当者に逆質問するのも一つの方法。仕事内容や社内の雰囲気の「本当のところ」が聞き出せる可能性が高いですよ。
なるほど。自分の想いを素直に伝えればいいのですね。応募書類をまとめ直してみます。
ぜひ。そして、条件に合う求人を見つけたら、たくさん応募してみてください。そして、いろいろな会社、いろいろな人に会ってみて、「しっくりくるところ」を探しましょう。転職活動は「相性」。もし選考に落ちることがあっても落ち込むことなく、単に「合わなかった」だけのことだと捉え、どんどん次を目指すことをお勧めします。
今の職場に不満はあるものの、どんなところに移ればいいのかわからず悶々としていましたが、自分の想いが整理できたうえ、視野も広がったのが収穫でした。想いを叶えられそうなところに応募すれば、それが志望動機になるということも発見でした。自分の想いに素直に、転職活動を進めたいと思います。(坂上さん)

- EDIT
- 伊藤理子
- DESIGN
- マグスター
- ILLUST
- もりいくすお
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- 平山諭