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(株)リクルートキャリア 門野友彦

1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。

2014年8月6日

今週の相談者

異業界から内定が出たものの、飛び込むことに不安を感じる桑原さんの場合

桑原結衣さん
(仮名・32歳)

プロフィール
金融会社で資産運用を担当した後、証券会社に転職しアナリストアシスタント職に就く。アナリストへのステップアップを目指していたが、現在の職場では叶いそうになく、転職を決意。メーカーのリサーチ部門で内定を得たが、異業界への転身に不安を感じている。
現状
  • ・証券アナリストのアシスタント歴は丸6年。経済動向調査や企業業績数字の分析など、アシスタントとしての職域を超えた役割をこなしていたが、評価されることはなかった。
  • ・初めは同業他社のアナリストに応募していたが、書類落ちが続いたため、異業界に手を広げ経験が活かせるリサーチ、分析業務に応募したところ、メーカーからすんなり内定を得た。役割、給与ともに申し分ない条件だが、異業界に飛び込むことに不安を感じている。
相談者:桑原さんDr.門野

診断スタート

金融からメーカーへ転身。勝手がつかめるか、思うキャリアが築けるのか、不安…

桑原さんは現在、証券会社にお勤めなのですね?

はい。6年間、証券アナリストのアシスタントとして働いてきました。担当業界の経済動向調査や企業業績分析、国内のマクロ経済分析など、アシスタント業務の枠を超えた働きをしてきたと自負しています。入社以来、アナリストへのステップアップを目指していたからなのですが、最近になって「業績不振が続いているから当面アシスタントからのステップアップは難しい」と言われてしまい、転職を決意しました。

どういうところに応募しているのですか?

初めは、同業他社で考えていました。証券会社だけでなく、投資信託や投資顧問など、アナリストアシスタントとしての経験がダイレクトに活かせそうな求人を見つけたら積極的に応募しましたが、ほとんどが書類落ちで…。そこで、物は試しと異業界に手を広げてみたら、すんなり数社から内定が出て驚きました。

すごいじゃないですか!どんな仕事内容なのですか?

あるメーカーの、リサーチ職です。リサーチ部門を新設するにあたっての募集で、調査や分析の経験が活かせそうだと思い応募したところ、予想以上に高く評価していただけたんです。社風もよさそうだし、女性も多数活躍しているし、そこの内定をお受けしようと思っているのですが、でも…。

不安な点があるのですか?

今までずっと、金融業界にいたので、メーカーで果たして活躍できるのか不安なんです。同じ金融業界であれば、会社が変わっても勝手がつかめるところがあります。前回の転職も、生保から証券でしたが、すんなりなじむことができました。しかし、今回はメーカーという、全くの未知の分野です。私に務まるのか、新しい環境で思うようなキャリアが積めるのかと考えると、不安に押し潰されそうになります。もう今の会社には退職願を出してしまったし、後戻りはできないのですが、この気持ちを何とかしたくて…。

なるほど。私から見れば、何の不安も抱く必要はなさそうですが…。ただ、新天地を前に、気持ちが揺れているのであれば、ご自身がどんなキャリアを成し遂げたいのか、今一度自分に問うてみることが大切ですよ。

キャリア、ですか…。

これが原因!

キャリアに迷ったり、不安を感じたら、「将来どんな自分でありたいか」を問うてみよう。進もうとしている方向の延長線上に、思う将来像が見えそうであれば、迷うことはない

5年後、10年後は、どんな自分でありたいと思っていますか?どんなことでもいいですから、ざっくばらんに話してみてください。

そうですね…やっぱり、責任のある仕事を任されるようになっていたいですね。今の職場では、アシスタントは庶務的な役割をこなせばいいと思われていますが、私はステップアップをしたかったから、自ら担当するアナリストに申し出て、経済動向調査や企業数字の分析などの業務も手掛けていました。しかし、ほかの人は、領域外のことに取り組むことをあまりよろしく思っていないようで、「桑原は出しゃばりすぎだ」などと言われることも多かったんです。私はただ、経験を積みたかっただけなのに…。なので、そんなことを言われない環境でステップアップをして、誰にも文句を言わせない活躍をしたいと思っています。

なるほど。ならば、今回の異業界転身は、いい選択なのではないかな。金融業界がすべて同じとは思いませんが、同業他社に移っても比較的似た社風である可能性は高く、抜本的な変化は望めないかもしれません。一方で、内定をもらっているメーカーは私も名前を知っていますが、自由な社風として知られていますね。ましてや、桑原さんが採用された部署は新設部門とのこと。調査、リサーチ経験が長い桑原さんが主導権を握れる可能性は高そうですし、ステップアップも早いでしょう。

確かに…おっしゃる通りですね。次のステップの延長線上に、私が目指す将来像があると感じます。実際、今まではアシスタントだったのに、新しい職場ではマネージャーの右腕として働く、チームリーダー的な立場を担ってほしいと言われていますし、給与額も今よりかなり上がることになります。ただ、条件が良すぎることにも不安を感じています。金融業界への応募では、ほぼ門前払いだったのに、なぜこのメーカーはこんなに評価してくれるのだろうと…。

同じ業界は、やはり考え方が似ているのかもしれません。そして、アナリストなどの特殊な役割は厳選採用であるはずで、かなりの狭き門だったはずです。落ちたことを気にし過ぎる必要はありませんよ。異業界に目を向けたことで、「経験やスキルがある桑原さんに、新風を巻き込んでほしい」と思ってくれる企業に出会えたのです。もっと前向きに捉えて飛び込んでみてもいいのではないかな、「私の価値を認めてくれた。ラッキー!」ぐらいに(笑)。あとは新しい環境で、「認めてもらえる仕事をする」こと、そして「自分の頑張りを、周りに理解してもらう努力をする」ことにまい進しましょう。…これはあくまで私の推察ですが、今の職場では頑張りを認めてもらえなかったということですが、「第三者に物事をわかりやすく説明し、理解させる力」があれば、もしかしたら周りを巻き込み、味方にできる可能性も少なからずあったのでは?新しい職場でリーダーとしてメンバーを束ねるならば、このスキルは必須になります。ここを補完する努力をすることで、さらにビジネスパーソンとしてステップアップできるのではないかな。

「周りに理解させる力」は、確かに足りなかったかもしれません。会社の体制が悪いんだと思っていたし、陰口や嫌味を言う人は放って置くしかないとも考えていました。新しい職場では、できるだけ周りとコミュニケーションを取り、意見や思いをぶつけ合い、価値あるものを生み出していこうと思います。

表情が明るくなりましたね(笑)。ぜひ肩の力を抜いて、新しい環境を楽しんでみてください。

診断を終えて…

内定をいただいたにも関わらず、異業界であることを必要以上に不安に思っていましたし、過大評価されているのでは?とも感じていました。でも、自身を評価してくれる環境に出会えたのだと言われ、視界が開けました。新しい会社は女性がイキイキ活躍していると聞いていますし、男社会だった今の会社より肩の力を抜いて自分らしく頑張れそう。期待にこたえるべく、新しい環境で価値を生み出す努力をしたいと思います。(桑原さん)

EDIT
伊藤理子
DESIGN
マグスター
ILLUST
もりいくすお
PHOTO
平山諭

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