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(株)リクルートキャリア 門野友彦

1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。

2014年7月9日

今週の相談者

今までに3つの業界を経験、退職理由をうまくまとめられず悩む佐藤さんの場合

佐藤崇夫さん
(仮名・33歳)

プロフィール
保険会社で営業を3年、小売りチェーンで販売を5年、そして物流会社で物流企画を3年間担当する。会社の体制変更に疑問を覚え、この1月に退職、物流会社を中心に応募しているが、書類選考は通るものの一次面接が突破できずにいる。
現状
  • ・過去勤めた3社は業界、職種ともバラバラ。その都度、想いを持って転職先を選んできたつもりだが、どのように面接の場で伝えればいいのかわからない。
  • ・中でも現職を辞めた理由をうまくまとめ切れない。なぜ、今の会社を辞めて、同業他社に転職するのか、ネガティブではない言い方を考えたいが、いつも「もっと幅広い仕事がしてみたい」などとあいまいな伝え方になってしまう。
相談者:佐藤さんDr.門野

診断スタート

今までの経験に一貫性がないことが、面接で落ちる原因?

佐藤さんは、3つの異なる業界、仕事を経験されているのですね。そして次は、前職と同じ、物流会社への転職を目指しておられると。

はい、そうです。物流企画として培った3年間の経験をアピールし、書類選考はそこそこ通過するのですが、一次面接でほとんど落ちてしまいます。

ご自身では、何が敗因だと思われますか?

やはり、バラバラな業界、仕事を経験してきたことではないかと思っています。経歴に一貫性がないことをマイナス評価されているのではないかと。また、前職の退職理由をうまく伝えきれていないのも、敗因だと思っています。ネガティブな理由による退職なので、そのまま伝えてしまってはマイナスだと思い、「もっと幅広い仕事がしたいから」などと前向きな動機に変えていますが、どこかで不自然な感じが伝わっているのではないかと…。

まず、前者はあまり関係ないと思いますよ。なぜなら、今までの経歴に一貫性がないことは、書類を見れば明らかです。面接に呼ばれているということは、経歴については問題視されていないということです。おそらく、後者の「退職理由」が原因ではないかな。…ネガティブな理由ということですが、どんな理由なのですか?

そもそも前職を選んだのは、クライアントに利益を返す仕事に就いて自分の介在価値を感じたかったから。求人広告の中で顧客本位を謳っていたので、異業界出身ではありますがチャレンジしてみたのです。実際、物流フローを見直し、コスト削減につなげることができ、顧客の信頼を得ることができました。しかし…今春、業務効率化による多量のリストラのため人員が整理され、一人当たりの担当顧客企業数が大幅に増え、1社当たりの接触時間を制限されるようになったんです。業務をさばくには、仕事を「こなす」しかなく、今まで懇意にしてくださっていたお客様に何とも申し訳なくて…、退職を選びました。

よくわかりました。1回目、2回目の転職のときはどういう理由で転職したのですか?

新卒で入社した保険会社では、厳しいノルマが課せられていたうえ、案内する商品も本部の意向で決められていました。お客様に合った商品は自分が一番わかっているのに、現場をわかっていない本部に従わなければならないフラストレーションに我慢できず、顧客に近い場所で働こうと小売りチェーンを選んだんです。小売りチェーンでは、売り場に立ってお客様の反応を見ながら働ける喜びを感じていました。しかし、間もなく価格競争に巻き込まれ、利益確保のために「安かろう悪かろう」の商品を置くことが増えてきたんです。そのような商品を提案している自分に耐えきれないし、そうなると売り上げもついてこなくて…前職への転職を選びました。

今教えていただいた退職理由、どれも本来はネガティブなものではないと思いますよ。

え?前職に不満を覚えて転職を選んできたので、自分ではネガティブだと思っているのですが…。

これが原因!

バラバラに見える経歴も、「想い」でつながっている可能性がある。辞めた理由に捉われすぎず、「新しい環境で何を実現したいのか?」に目を向けると、仕事に対する自身のこだわり、想い、スタンスに気づける

今までの転職理由をうかがうと、佐藤さんはとても明確な「軸」を持っていることが伝わってきました。すなわち「顧客に価値を返したい」という想いです。業界や職種は違っても、想いはずっと一貫していますよね?これをアピールすべきですよ。

言われてみれば…おっしゃる通りです。小売りチェーンでも、毎日来店下さるお客様に何とか価値を返したくて、仕入れ方法を見直したり、在庫管理を徹底したり、パートさんのシフトを見直すなどして効率化を進めたのですが、全社の流れには逆らえなくて…。そしてようやく想いを実現できる環境を見つけたのに、また退職を選ぶことになってしまって…。

なるほど。「顧客に価値を返したい」だけでなく、「改善、改革をして現状をよりよくしたい」という想いも軸になっているようですね。…顧客のことを第一に考え、現状を改善し、コスト改善にも取り組んで、顧客に価値を返す。これを大事にしてきたし、大事にするために今までのキャリアを選んできた。非常に筋が通っていますし、バラバラに見えた今までの転職ストーリーに一本の軸が通ります。「これらを大切にしたいから、退職を選んだ。そして、想いを実現できそうだと感じた御社にぜひ転職したいと思っています」と伝えれば、筋が通った前向きな志望動機になりますよ。

なるほど…言われてみれば、ずっとこの想いを抱いて仕事に取り組んできました。なぜ、気づかなかったのだろう…。

「3社を辞めた」という事実に捉われすぎてしまい、根底にある想いに目を向けられずにいたのではないかな。一見、ネガティブだと感じる退職理由にも、必ず前向きな気持ちが隠されています。「辞める理由」だけでなく、何を実現したいから新しい環境を目指すのか?という「次を目指す理由」にも目を向けると、自身の想いに気づけますよ。

なるほど…今まで面接で何を言えばいいのか悩んでいましたが、自分の軸に気づけてスッキリしました。

よかった!ではぜひその軸を、応募書類でもぜひアピールしてください。仕事に対するこだわりや想い、スタンスは、立派なアピール材料です。企業が知りたいのは、「この人はウチで頑張ってくれそうかどうか」。佐藤さんのこだわりや想い、スタンスが伝われば、企業側に「入社後の佐藤さんの活躍ぶり」をより明確にイメージさせることができます。それに、面接の場でも当然質問されることになるでしょう。そうなれば、こっちのもの。佐藤さんの並々ならぬ想いを、ぜひぶつけてください。想いがこもった言葉は、人の心を動かすものですよ。

診断を終えて…

前職では、コストを削減してお客様に喜んでいただけた瞬間に、何よりのやりがいを感じていました。しかし、会社の方針変更によりそれが実現できなくなったことに対する不満ばかりが大きくなり、根本の「想い」を見失いかけていたんですね。バラバラだと思っていた経歴にも軸があったことにも気づけたので、視界が開けました。自分の経歴に自信を持って転職活動に臨みたいと思います。(佐藤さん)

EDIT
伊藤理子
DESIGN
マグスター
ILLUST
もりいくすお
PHOTO
平山諭

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