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(株)リクルートキャリア 門野友彦

1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。

2014年6月25日

今週の相談者

公益法人や独立行政法人などに転職したいが、自己PRに悩む遠藤さんの場合

遠藤那津子さん
(仮名・26歳)

プロフィール
大学卒業後、大手メーカーに入社し4年間勤務。残業が常態化している職場環境に問題意識を持ち、仕事とプライベートを両立できる環境で働きたいと5月末で退職。公益法人や独立行政法人などを志望しているが、自己PRが甘いのか書類か一次面接で落ちてしまう。
現状
  • ・前職を辞めた理由は、残業が嫌だったせいではなく、「月60時間程度の残業なら当たり前」とする社風で残業が常態化していることに疑問を感じたため。個人がいくら業務効率化を行っても、仕事を増やされるだけ。現状を変えるには環境を変えるしかないと考えた。
  • ・民間企業以外を狙っているのは、オンオフのメリハリのある働き方ができそうだから。しかし、何をアピールすればいいのかわからず、書類選考で落ちる機会が多い。
相談者:遠藤さんDr.門野

診断スタート

残業が常態化している事実に疑問を感じ、前職を退職。メリハリある環境を求めたいが…

遠藤さんはこの5月まで、大手メーカーにお勤めだったのですね。何でお辞めになったのですか?

はい。人事部門で、主に教育・研修を担当していました。仕事自体はやりがいがあったのですが、会社の体制に疑問を感じ、退職を選びました。もともと体育会系の社風なのですが、残業が常態化していて、感覚値としては「月に60時間は残業の範ちゅうにあらず」という状態。退社するのは、早くても20時。定時で帰るなんてありえません。

常に定時で帰れる環境を探したい、ということでしょうか?

いえ、決してそういうわけではありません。時期によって忙しさの波はあると思いますし、トラブルなど突発的な事項が発生したら徹夜だって辞しません。しかし、前職は毎日の残業が当然のようになっていた。そういう状態をよしとする会社側に、共感できなかったというのが一番の理由です。忙しい時期は仕事に一生懸命取り組み、そうでないときはやるべきことはしっかりとこなしたうえでプライベートも充実させる。こういうメリハリのある働き方をしたいと思っています。

なるほど、その気持ちはとてもよくわかります。ただ、できれば退職する前に転職活動することをお勧めしたかったですが…。いま、どんなところに応募しているのですか?

これは個人的な意見ですが、希望に沿った働き方ができる可能性は、民間企業よりも公益法人や独立行政法人などのほうが高いと感じており、こういう団体の事務部門に応募しています。ただ、団体数自体は縮小傾向にあると思いますので、社会において重要な役割を担っていたり、将来的に見ても残っていきそうなところを選んで応募しています。しかし、20団体ほどに応募して、面接に進んだのは5団体。そして一次面接で全て落ちてしまいました。民間企業と違い、今までの経験をストレートにアピールしても、評価してもらえないような気がしています。どうやって自分を売り込めばいいのでしょう?

どんなことをアピールしているのですか?

研修講師として、人前に立って話す機会が多かったので、「人に伝えるのが得意」と話しています。伝えたいことを、きちんと相手に伝わるように話すことを心掛けてきたので、そこには自信を持っています。

うーん…それだけだと何が言いたいのかわからないし、力を発揮してくれそうというイメージも湧きにくいですね。それに、遠藤さんからはどちらかというと、頭の回転は速いものの真面目でおとなしい印象も受けます。一つひとつの物事を真摯に伝えるというのならわかりますが、「伝えるのが得意」と言われると少々違和感を持ちます。相手の気持ちに立って、アピール方法を練り直したほうがいいと思います。

相手の気持ち、ですか…。

これが原因!

仕事においての「こだわり」は最大のアピール材料。面接官に人柄が伝わり、ともに活躍してくれそうだとのイメージも湧く。面接の場では、そのこだわりに関して実践してきたエピソードを語れると、より入職後の姿が具体化できる

公益法人や独立行政法人とひとくちに言っても、その役割や業務内容はさまざまです。それに、民間企業に比べると規模が大きいとはいえません。民間企業における教育・研修担当としての経験がストレートに活かせる場面も、そう多くはないかもれません。そんなとき、力を入れてアピールすべきなのは「遠藤さんの仕事に対するこだわり」です。

こだわりですか??実績でなくてもいいのでしょうか?

数字で示せる実績は伝わりやすいですが、実績のアピールばかりだと「前職のことだからウチで同じような成果が出せるかわからないし、それに民間企業での実績だし…」と受け取られる恐れがあります。一方で、こだわりをアピールされたら「ウチに入ったらこういう姿勢で仕事に取り組んでくれそうだ」と入職後の姿をリアルに想像することができます。遠藤さんは、どんなことにこだわって仕事に取り組んできましたか?

業務において「ムリ、ムラ、ムダをなくす」にこだわってきました。事務方でムリ、ムラ、ムダをなくせば、その時間を本業であるモノづくりに費やすことができ、結果としてお客様への介在価値につながると思っているからです。また、先ほどは「伝えるのが得意」と話しましたが、どちらかというと「相手の気持ちに立ち、どのように伝えるのが有効かどうか」を考えることにこだわっていたと思います。…今までの自己PRでは、それができていませんでしたが…。

いずれも、非常に大切なことですね。ぜひ、そのこだわりを自己PRとして応募書類に書いておきましょう。学校法人や独立行政法人などは、これから淘汰の時代がやってきます。自団体の役割を真剣に考えているところであれば、今後の運営に対して危機感を持っているはず。ムリ、ムダ、ムラをなくすために尽力し、相手の視野に立つ努力を続けてきた遠藤さんに、業務の効率化、改革・改善を任せたいと考えるところはあるはずですよ。それに、書類に書いておけば、「ウチはそこまでやってくれなくていいんだけれど…」と改革・改善に消極的な団体をターゲットから外すことも可能です。おそらく、そういう団体は面接に呼ばないでしょうからね。

書類ではどうアピールすればいいでしょうか?

遠藤さんのこだわりは、「ムリ、ムダ、ムラをなくす」「相手の視野に立って考える」の2つ。そして、そのこだわりの原動力になっているのが「介在価値を感じたい」という想いではないですか?先の2つを自己PRとして項目立てて記した上で、想いについても触れておくと、遠藤さんの人柄が伝わりますよ。

なるほど…。

面接では、可能であれば「ムリ、ムダ、ムラをなくした」具体的なエピソードを語れるといいでしょう。どういう場面でムリ、ムダ、ムラを感じ、どのような方法を取ってそれをなくしたのかを語れれば、さらに入職後のイメージが湧きますよ。ぜひ“相手の視野に立って”効果的なエピソードを語ってください。

エピソードは、いくつか頭に思い浮かびます。より私のこだわりが伝わるエピソードを選んで、面接の場でアピールしたいと思います!

そして、希望通りメリハリのある環境かどうかを確認することも忘れずにね。遠藤さんのこだわりが伝われば、「月60時間もの残業が常態化している事実に疑問を感じた」という退職理由にも一本筋が通ります。単に「残業が嫌だから辞めた」という印象には、ならないはずですよ。

診断を終えて…

前職で特筆すべき成果を挙げたわけではないので、書類落ちのたびに「自分は今まで大した仕事をしてこなかったのではないか」と自信を失っていました。今回、私がこだわってきたことこそがアピールポイントになると気付かされ、視界が開けました。想いも整理できたので、新たな気持ちで第一歩を踏み出したいと思います。(遠藤さん)

EDIT
伊藤理子
DESIGN
マグスター
ILLUST
もりいくすお
PHOTO
平山諭

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