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(株)リクルートキャリア 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2014年6月11日

![]() 尾山雅人さん |
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システム開発会社2社でSEとして勤務。5年前から、大手金融機関に常駐している。ここにきて、SEとしての将来に不安を覚えるようになったが、今の職場に不満はなく、明確な志望動機が固まらずにいる。 | |
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システム開発会社2社を経験し、SEとしては10年のキャリアです。5年前に今の会社に転職し、すぐに大手金融機関に出向となりました。以来、業務システムの開発などに携わっていますが、丸7年が経ち、成長実感を得られないでいます。

それで、転職しようかどうか迷っているのですね?
はい。金融機関では、システムのトラブルは決して起こしてはいけないこと。緻密でクオリティの高い仕事が求められ、当初はついていくのがやっとでしたが、日々成長を感じることができました。給与に不満はないし、出向先の人間関係にも恵まれているのですが、業務内容は出向当初とほとんど変わらず、7年も経つと慣れてしまって…。出向先からは「ずっと尾山さんにいてほしい」と言われていますが、5年後、10年後、もし放り出されたときに、どこにも行けなくなるのでは?と不安で…。もっと別の業界を経験したほうがいいのではないかと。
今の会社は、金融機関以外の顧客は持っていないのですか?
金融機関がほとんどです。しかも、今の出向先がメイン顧客です。
なるほど。では選択肢は大きく2つですね。そのどちらを選ぶのか、ご自身の志向に合わせて判断するといいでしょう。
どんな選択肢ですか??
一つ目の選択肢は、「今の環境で頑張り続け、かつ10年先も求められる人材になる」、もう一つの選択肢は、「金融系の知識を活かして、『金融系以外にも幅広い顧客を持っているシステム開発会社』に転職する」です。
今の職場で、10年先も求められる人材に…ですか。

クライアント側から見て、「なくてはならない人」になるのです。今の尾山さんは、与えられた業務をソツなくきっちり、正確にこなしていらっしゃる。だからこそ評価されているのでしょうが、「使い勝手のいい人」になっているような印象を受けます。「7年間、業務内容が変わらない」のであれば、さらにその業務のクオリティを上げる、スピードを上げるなど、何らかの改善・改革を進めましょう。要求以上のクオリティを目指し、実現することで、同じ環境でもさらに力をつけることができるし、クライアント側の評価もさらに高まるはず。評価が上がれば、「この案件も、尾山さんに任せられるのでは?」など、より高度な案件が集まる可能性もあります。
確かに…。求められる水準は確実にクリアしてきましたが、さらに上の努力については考えたことがありませんでした。…ただ、金融に特化してしまい、ほかの業界を全く知らずに歳を重ねてしまうのは若干不安です。
ならば、二つ目の選択肢がいいかもしれませんね。尾山さんのウリは何といっても金融機関での経験。ほかの業界よりもより高い正確さ、精密さが求められる厳しい環境で7年間も働き、クライアントに評価されてきた経験は、ほかの業界でも評価されるはず。金融機関以外にも幅広い顧客を持つ開発会社に、まずは金融経験を武器に転職し、その後ほかの業界の仕事を任せてもらうよう掛け合ってはいかがでしょう?
そういう手がありましたね。二つ目の選択肢で、将来を考えてみようかな…。
尾山さんは、仕事において何にこだわり、何を強みに感じていますか?

与えられた仕事を確実にこなすことと、クライアントとコミュニケーションを密に取って、要望を正確に形にすることにこだわってきました。
なるほど。ならばもう一つ、「IT化が遅れている業界や企業の社内SE」も選択肢に加えられそうですね。例えばですが、業界でいえば介護や福祉業界、企業でいえば社員の平均年齢が高くなりIT化に着手できないでいる地場の老舗・中堅企業などです。そのような環境であれば、SEとしての経験を活かしてIT化の陣頭指揮を執ることができるでしょうし、「会社の要望を形にしてきた」経験もフルに活かせます。こういう環境で手腕を発揮するのも、幸せなのでは?
…考えてもいない選択肢でしたが、自分がより必要とされている環境で力を発揮したいという気持ちがずっとありました。この選択肢も、じっくり考えてみます。
ぜひ。尾山さんは金融系の知識、タフな環境で要望にこたえ続けてきた経験、要望をしっかり汲み取り仕様に落とすスキルなど、PRポイントがたくさんあります。あとはご自身の想いにあった環境を選び、そして真剣な想いを伝えてください。きっと企業にも伝わるはずですよ。
話しながら、「金融単体ではなく、さまざまな業界経験を積んでみたい」「自分がより必要とされる環境で、期待にこたえたい」という気持ちが強いことに改めて気づきました。選択肢を提示してもらったことで、整理がつきました。自分の経験に自信を持って、新たな一歩を踏み出したいです。(尾山さん)

- EDIT
- 伊藤理子
- DESIGN
- マグスター
- ILLUST
- もりいくすお
- PHOTO
- 平山諭