連載化! Dr.門野の転活悩み相談 あなたが受からない理由、診断します

転職活動の悩み、何でも相談してください

(株)リクルートキャリア 門野友彦

1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。

2014年2月26日

今週の相談者

インフラエンジニアから社内SEに転職を目指すが、書類落ちが続く春日さんの場合

春日治樹さん
(仮名・38歳)

プロフィール
インフラエンジニアとして、SIerなど3社でサーバーの設計構築や企業システムのリプレイスなどを幅広く経験。現職の業務量が多く、腰を据えて働きたいという思いから、このほど社内SEへの転身を志す。しかし、書類選考の段階で落ちることが多く、悩んでいる。
現状
  • ・インフラエンジニアとしては15年のキャリア。リーダー経験もある。しかし、長年この仕事の業務量の多さを課題に感じていたが、現在の職場では業務改善をしてもすぐに仕事を増やされてしまうため、腰を据えて働けそうな社内SEへの転職を考えている。
  • ・しかし、社内SEではスキル不足と判断され、落ちることが多い。一方でインフラエンジニアとしてSIerからスカウトを受けることは多く、今後のキャリアに悩んでいる。
相談者:春日さんDr.門野

診断スタート

社内SEとしてはスキル不足と判断されるケースも。どう突破すればいい?

長年インフラエンジニアとして働いてきました。計3社に勤め、さまざまなクライアント先を経験しましたが、どの会社でも業務が忙しく、特に今の職場環境においてはいくら業務改善を続けても状況が変わらないので、社内SEへの転身を考え転職活動しています。しかし、情報セキュリティに関する知識やプログラミングのスキルが求められるケースが多く、スキル不足と判断されているようで、なかなか書類選考を突破できません。

今の職場はそんなに忙しいのですか?

はい。現在クライアント先に常駐しているのですが、非効率な業務が多すぎると感じています。トラブル対応などの業務は仕方ないと思っているのですが、たまたま今担当しているクライアントがややこしくて、ミーティングが多いとか、1日1時間以上も業務報告に時間を割かねばならないとか、やたら時間を割かれるんです。加えて、一緒に常駐しているメンバーがとにかくミスが多くて…。彼の尻拭いもしなければならず、毎日気持ちが休まりません。「こんな状況を打破するには、業務改善をして自分で時間を生み出すしかない」と頑張ったときもあったのですが、結果的に「春日にはまだ余力がある」と見なされ、せっかく生み出した時間が追加ミッションで埋まりました…。

なるほど、それはご苦労が多いですね。でも、社内SEも決してラクではないと思いますが。

それは承知しています。ただ、クライアント先ではなく社内での仕事なので、非効率だと感じた業務は自身の努力や工夫で改善できるはず。忙しさも限定的だと思っています。クライアント相手ですと、なかなか「その業務は非効率」とは言えませんし、仕事を増やされても文句は言えませんからね。それに、社内SEでは経験不足と言われることも確かに多いのですが、今までのスキルを活かせる部分もあるので、「早晩キャッチアップできる」と判断して面接に呼んで下さった会社もありました。当たり続けていれば、可能性はあるのではと感じていますが、確率を上げる方法を知りたいです。

なるほど。どんな会社の社内SEに応募しているのですか?

社内SEとしての求人案件がそんなに多くはないので、見つけたらどんなところにでも応募するようにしています。多いのは数十人から100人規模の比較的小規模なIT系企業ですね。手ごたえを感じた企業もありますが、現時点では内定はもらえていない状況です。…一方で、インフラエンジニアとしては、中堅SIerを中心にオファーをもらったり、転職エージェントから求人を紹介されることも多いんです。でも希望する仕事ではないし、そもそもSIerは忙しいので避けたくて…。なかなかうまくいかないものですね(苦笑)。

社内SEの求人が貴重だからと、片っ端から応募することが悪いとは思いませんが、ある程度当たり先を絞って応募したほうが、成功の確率が高いのではないかな。

え、なぜですか??

これが原因!

得意分野である「業務効率化」「改善」を活かすならばメーカーがお勧め。メーカーに強みを持つSIerに転職して業界知識を積んでから、再度転職を狙っては?今の会社は辞めずに、マネジメントの修業を積みつつ、活躍できる環境を探そう

お話をうかがっていると、春日さんは「業務効率化」や「改善」が得意であり、強みであると感じます。業務フローにおける無駄を極力排除し、効率的に仕事を進めたいと考えておられますよね。そこから考えると、IT系やサービス系よりも、メーカーを狙ったほうが志向に合うと思われます。「生産性を○%高めた」とか、「廃棄率を○%に低下させた」など、効率化や改善の結果が数字に示せる分野のほうが達成感を憶え、モチベーションが高まるのでは?一方で、ITや情報通信系など無形商材を扱う分野では、このあたりがあいまいです。特に、今応募している中堅・中小やベンチャーのIT系だと、数字に表しにくいうえ、いくら業務改善をしても、今までのようになし崩し的に次の業務が課せられてしまう可能性が高そうです。

おっしゃる通り、業務フローの中の無駄を見つけて改善し、業務効率を上げるのは得意です。実を言うと、メーカーの社内SEに転職し、目に見える成果を上げてみたいという思いはあります。でも、メーカーに絞ると求人はさらに減ってしまうし、その業界の知識がないと務まらないとも言われます。

先ほど、SIerからはオファーが来るとおっしゃっていましたよね?これは一つの案ですが、メーカーに強みを持つSIerに今までのキャリアを活かして転職し、客先常駐して「業界の知識」を身につけ、その後、発注側に社内SEとして転職するというステップを踏むのはどうでしょう?いきなりメーカーの社内SEを目指すよりは、難易度が低いと思われます。「SIerは忙しい」とおっしゃいましたが、メーカー相手であれば忙しさも限定的ではないかな。それに今は、「少々できの悪いメンバー」に引きずられている部分も多いかと思います。転職でその点が解消されれば、SIerといえども今よりは少し楽になるのでは?

確かに…。

もう一つ、「IT化がそれほど進んでいない業界・企業の社内SE」を目指すという方法も考えられます。例えば、これからの成長業界である介護分野などは、まだまだ現場のIT化は進んでいるとは言えません。社員の平均年齢が高めの、老舗の中堅企業なども狙い目かもしれません。こういう業界や企業にとっては、春日さんの経歴はピカピカに輝いています。「今までの経験を活かしつつ、社内のIT部門丸ごと請け負ってくれそう」と評価してくれる可能性があります。

なるほど…そういう視点はありませんでした。

今の職場はなかなかタフな環境のようですが、どうか辞めずに転職活動をしてください。地に足がついた転職活動ができると思いますし、「ブランクを広げたくないから早く決めなきゃ」と焦る必要もなくなります。「少々できの悪いメンバー」も、「リーダーとして成長させてくれる教材」だと考えると、少し気が楽になりますよ。その彼をうまくコントロールすることができたら、マネージャーとしての自信にもつながるのではないかな?

確かに、そうかもしれませんね。少し前向きな気持ちになってきました(笑)。今の環境で頑張りつつ、次のステップを探したいと思います。

診断を終えて…

メーカーに強みを持つSIerという選択肢は、頭の片隅にはあったはずなのですが、「今の環境を変えたい!」という思いに隠れてしまっていました。おぼろげなものを、今回のカウンセリングで明確にしていただいた気がします。今の環境でリーダーとしての修業を積みつつ(笑)、広い視野で求人を見ていきたいです。(春日さん)

EDIT
伊藤理子
DESIGN
マグスター
ILLUST
もりいくすお
PHOTO
平山諭

会員登録がまだの方

会員登録(無料)

会員登録がお済みの方

「今すぐ転職」にも「いつかは転職」にも即・お役立ち!リクナビNEXTの会員限定サービスに今すぐ登録しておこう!

1転職に役立つノウハウ、年収・給与相場、有望業界などの市場動向レポートがメールで届きます

2転職活動をスムーズにする会員限定の便利な機能

・新着求人をメールでお届け

・希望の検索条件を保存

・企業とのやりとりを一元管理など

3匿名レジュメを登録しておくとあなたのスキル・経験を評価した企業からスカウトオファーが届きます

会員登録し、限定サービスを利用する

※このページへのリンクは、原則として自由です。(営利・勧誘目的やフレームつきなどの場合はリンクをお断りすることがあります)