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(株)リクルートキャリア 門野友彦

1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。

2014年1月29日

今週の相談者

実績があるのに落ち続ける、45歳クリエイティブ・ディレクターの下山さんの場合

下山伸彦さん
(仮名・45歳)

プロフィール
広告代理店数社などでクリエイティブ・ディレクターとして活躍。2年前に独立し、会社を立ち上げたものの、「自分には経営は不向き」と気付き、再び企業に属して働くことを決意する。しかし、書類選考になかなか通らない上、面接に進んでも一次で落ちてしまう。
現状
  • ・今まで、誰もが知っているメーカーなど、大手企業、有名企業の広告をいくつも手掛けてきた。実績はあるし、どこに行っても力を発揮できる自信もある。しかし面接では「うちにはオーバースペック」と言われ、落ちてしまった。
  • ・40代半ばという年齢、転職回数の多さがネックだと自己分析している。「オーバースペック」というのは体のいい断り文句なのだろうか。
相談者:下山さんDr.門野

診断スタート

クリエイターとして実績も自信もあるのに、落とされるのはなぜ?

下山さんはクリエイティブ・ディレクターとして長らく活躍されて、現在は自分の会社をお持ちなのですね。でも、就職したいと。

はい。2年前に独立したのですが、経営数字の管理がどうも苦手で…。自分で営業して売り込むのもそんなに得意ではありません。どちらも会社を経営していたら絶対にやらねばならないことですが、得意ではないだけに時間がやたらかかってしまい、「ああ、この時間をクリエイティブに充てたい」という気持ちがどんどん膨らんだんです。

なるほど。でも、クリエイターと言っても、会社勤務時代はきっと営業と一緒にクライアント先を訪ねて要望を聞き出したり、ご自身のプランをプレゼンしたりしていたのですよね?営業の素地はお持ちなのではないかな。

クリエイティブのことならば要望も聞けるし意見も主張できるのですが、個人だとどうしても「仕事を取る」ことにガツガツしなければならない。それが嫌で…。これではいけないと思ってはいるのですが。

そういうお気持ちもわかりますよ。現在はどんな方法で、どんな企業に応募しているのですか?

転職エージェントや、求人サイトを利用しています。でも、クリエイティブ・ディレクターの募集自体があまりないうえに、応募しても書類で落ちてしまうことが多いのです。先日、求人サイトで社員数50人程度の広告代理店の募集を見つけて応募したら、久々に面接に呼ばれたのですが、少しやり取りしたら「うちにはオーバースペックだ」と言われてしまいました。今回は退職するクリエイターの欠員募集であり、そこまで高いキャリアは求めていないと。その人が手掛けていた仕事内容も聞いたのですが、それぐらいならば僕は朝飯前でできるんですけどねえ…。

うーん…そこがどんな広告代理店かはわかりませんが、下山さんの経歴はそれは見事なものです。(書類を見ながら)数多くの大手メーカー、有名商品の広告を手掛けておられるし、この自動車メーカーの広告なんて私もよく覚えています。そんな方が、社員数50人の会社の欠員募集に応募してきたら…私が社長だったら腰が引けてしまいます。「うちでは彼を活かせない」と思うでしょう。

そうですか…。ならば一体、どうすればいいのでしょう?

下山さんの場合は間違いなく、「当たり先を間違えているだけ」だと思います。転職エージェントや求人サイト以外の方法で、求人を見つけることをお勧めします。

え?どうやってですか?

これが原因!

自分のスペックと合わない会社に応募し続けても、マッチングは図れない。下山さんの「クリエイターとしての総合力」を知っている過去の人脈をしらみつぶしに当たるほうが、経験がフルに活かせる環境に出会える可能性は高い

下山さんはクリエイティブ・ディレクターとして20年のキャリアをお持ちですよね。そして、数々の輝かしい実績をお持ちです。今まで手掛けたプロジェクトの中で、一緒に働いた広告代理店の方、同じクリエイター仲間、メーカーの広告宣伝担当者など、たくさんの人脈ができたのでは?

はい。人脈は各方面にあります。会社も何度も変わっているので、多方面に広がっていますね。

ならば、言葉は少し悪いですが、その人脈を最大限使い倒しましょう。片っ端から連絡を取って、「また就職したいと思っているんだけど、どこかいいところないかな?」と聞いて回りましょう。下山さんの働きぶりを知っている人ならば、下山さんの「実績」だけでなく、作品を生み出すまでの「プロセス」も理解しているはず。応募書類だけでは伝わらない「クリエイターとしての総合力」を買ってくれ、売り込んでくれる可能性があります。

確かに…。でも、クリエイターってある意味ライバルですから、自社に呼び入れてくれる人はいないんじゃないかな。この年齢になると「下山を入社させることで、自分の仕事が減ったり、追いだされる羽目に陥りたくない」って考えると思うんですよ。

確かにそう考える人もいるかもしれませんね。でも、クリエイターは横のつながりも強いですよね?自社ではなくとも、他社の情報を耳にしている可能性もあるのでは?「知り合いの、さらにその先」にも、頑張って手を伸ばすのです。かつての盟友に下山さんの本気度が伝われば、「どこかなかったかな…」と頭を巡らせてくれるだろうし、後日そういうニュースを耳にしたときに真っ先に下山さんを思い出すでしょう。

なるほど…。

クリエイターの求人は、そう多くはありませんが確実に存在しますし、クリエイターに強みを持つ転職エージェントもあります。ただ、下山さんほどのご経験をお持ちのプロフェッショナルになると、下山さんの人柄や仕事ぶりも含めた実績を知っている人に間に入ってもらうのが近道です。ぜひ、人脈を一から思い出して、アタックしてみてください。

わかりました。心機一転、頑張ってみます。

万が一ですが、いよいよ就職先が決まらず困り果てたら、「発注側に回る」という手もあります。メーカーの広告宣伝・販促部門などにアプローチして、「クリエイターとしての実績を活かして、御社の広告のクオリティーを今までよりぐっと高めてみせます。しかも、私ならば制作サイドの事情をよくわかっているので、うまくコントロールしてクリエイティブ料金を1割は抑えてみせます」などと言えれば、筋が通るし、応募先企業も心を動かされるでしょう。それに、下山さんは英語も堪能とのこと。日本企業の多くは、海外に目を向けた広告展開を強化していますから、その点もウリになるでしょう。

確かにそういうアプローチも可能ですね。まずは人脈を当たりまくり、いよいよ難しそうだったらその手も検討したいと思います。

診断を終えて…

今までは、声をかけてもらって転職することがほとんどだったので、自発的に転職活動するのは今回が初めて。だからノウハウも何もわからず、求人があれば片っ端から応募して、落ちて、自信を失う…の悪循環を繰り返していました。「自分の働きぶりを知っている人に当たる」…基本的なことですが、気づけなかった部分でした。自分に自信を持って、人脈を当たってみます。(下山さん)

EDIT
伊藤理子
DESIGN
マグスター
ILLUST
もりいくすお
PHOTO
平山論

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