転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > アルバイトなどで5社を経験。正社員として事務職に就きたい
(株)リクルートキャリア 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2013年11月27日
高森洋一さん |
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大学卒業後、飲食チェーン、ドラッグストアのアルバイト、契約社員としてソフトウェア開発会社やタウン誌の編集部など5つの職場を経験。次は正社員として事務職に就きたいと考えているが、書類通過率は低く、面接に進んでも一次面接止まりが続いている。 | |
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大学卒業後は、大学時代から続けていた飲食チェーンのアルバイトをそのまま続け、6年間勤務。その後、Web制作会社やドラッグストア、タウン誌の編集部など、計5社を経験しました。やりたいことが見つからないまま今まで来てしまいましたが、32歳になり、そろそろ正社員として働きたいと思っています。
事務系職種を希望されているのですね。それはなぜですか?
接客業が長かったのに、違和感を覚えられるかもしれませんが…実は、不特定多数の人と触れ合う仕事はあまり得意ではないんです。基本的に人見知りであるうえに、外食チェーンやドラッグストアでクレーマーまがいのお客様に何度となく接し、疲れてしまったというのもあります。次を最後の転職にしたいので、社内で特定の人とコミュニケーションを取りつつ、腰を据えてじっくり働ける事務職、なかでも総務職を目指しています。
なるほど。何社か面接に進んだということですが、志望動機はどのように伝えていますか?
「接客サービス業の経験を活かし、社内の潤滑油として活躍したい」と伝えています。
うーん、ちょっとありきたりかな。もっと高森さんらしさを盛り込まないと、未経験分野への転職は難しいと思いますよ。…高森さんは、大学時代のアルバイトを、卒業後もずっと続けていたのですね。仕事は楽しかったですか?
はい。大学時代から数えて、計6年勤めました。後半は、アルバイトながら店長代理を任されるまでになり、売り上げ管理やスタッフのシフト管理、発注などを任されました。ただ、接客業務よりも、スタッフの育成にやりがいを感じていましたね。相手の立場に立ち、どうやって教わったらわかりやすいかを考えて指導したところ、定着率が上がったので、本部から名指しで褒められたほどです。また、みんなが気持ちよく働けるよう、誰もが苦手とする店内清掃やゴミ出しも率先して行っていました。
それは素晴らしいですね。その後のドラッグストアでも、2年近く働いていらっしゃいますね。そこではどんなご活躍をされていたのですか?
はい。都内の大規模な店舗でしたが、ポイントカードの入会数では店舗内でトップの実績を挙げていました。
ほう、どうやったら入会数を増やせるのですか?
私の場合は、お会計の始めにさらりと「ポイントカードをお持ちでないなら、いかがですか?このレジを済ませている間に登録できてしまいますよ」と言いながら書類をお出ししていました。「入会手続きに時間が取られるのは嫌だ」という相手の心理を考え「時間がかからない」を前面に伝えると、すんなり入会して下さるんです。なかなか成果が上がらないスタッフにこの方法を伝えたところ、勤務先店舗での新規入会数はさらに伸び、全社的に表彰されるまでになりました。
なるほど…。高森さんのアピールポイントが、だんだん見えてきました。
本当ですか?
お話しをうかがっていて、高森さんは外食チェーンでの店長代理で培った経験を軸に活躍してこられたのだと感じました。相手の立場に立ち、店舗全体も見渡しながら、「もっとこうしたらよくなる」と考え、新人育成や店舗清掃、接客においての改善を続けてきたのですよね?
…言われてみれば、確かにそうですね。ソフトウェア会社でも、誰にでもわかる操作マニュアルを自ら作成して、上司に褒められたことがあります。それまでのマニュアルがあまりにわかりにくくて、この分野に明るくないお客様には難しすぎると感じたので…。現在でもそのマニュアルが客先に配られていると聞いています(笑)。
いいエピソードですね。どんな仕事においても、相手の立場に立って何が求められているかを感じ取り、対応・改善する。店舗やチーム全体を見渡し、みんなが気持ちよく働けるようにほかの人が避けることも率先して行う。…いろいろな業界で、さまざまな仕事を経験されてきましたが、大事にしてきたこと、心がけてきたことは共通していますよね?これが高森さんの強みであり、異職種にも伝えられるアピール材料です。
総務職へのアピールにもなりますか?
十分なりますよ。未経験者が総務を希望する際、「楽そうな仕事だから」と捉えて応募する例が非常に多いんです。でも、総務の仕事は全社の「縁の下の力持ち」。各部署からあらゆる要望が集まる部署ですし、ときには無理難題を言われたり、他部署の尻拭い的な仕事も回ってくるという大変な役割です。だからこそ、「全体を見渡しつつも、常に目の前の相手の立場に立って考え、行動してきた」「みんなが避けることも率先してやってきた」経験は高く評価されます。「総務の仕事は、全社の要であり、非常に大変な仕事だと理解しています。だからこそ、私の今までの経験と強みが活かせると考えています」と言われたらどうでしょう?「未経験ながら、総務の仕事が何たるか理解しているし、すぐに力を発揮してくれそうだ」と思ってもらえる可能性は高いのではないかな。
なるほど…そういう言い方をすれば、わかってもらえそうですね。
比較的小規模の会社や、年齢層の高い老舗企業を狙うと、未経験者でも入り込みやすいですよ。今の志望動機を、応募書類の始めにサマリーとして記しておくと、人事の目に留まりやすいのでお勧めです。…ただ、今までの経験をドンピシャで活かせるのは、やはり接客サービス業だと思います。実際、高森さんもやりがいを感じていたから、長く働いてこられたのでしょう?唯一のネガティブ要素は「無茶を言う来店客への対応」なのだと思いますが、これもほかの人が嫌がることに率先して対応して来たからでは?そのスタンスこそが高森さんの強みですし、さらに経験を積めばそんな客も軽くいなせるようになってくるはず。総務職への応募が行き詰まったら、この選択肢も再考してみてください。
わかりました。ありがとうございます。
高森さんは、第一印象で真面目な印象を与えるし、会話のやりとりにも誠実さを感じます。応募書類の段階から、高森さんの強みや仕事に対する姿勢がきちんと伝われば、内定の可能性はグンと高まるはずですよ。
実際、面接で職歴に一貫性がないことを指摘されたことがあり、どうすればいいのかと悩んでいました。今回、どの仕事でもブレずに大切にしてきた「自分の軸」に気づけたのは大きな収穫です。前向きな気持ちになれ、行き詰まっていた転職活動もうまくいくような気がしてきました。(高森さん)
- EDIT
- 伊藤理子
- DESIGN
- マグスター
- ILLUST
- もりいくすお
- PHOTO
- 平山諭