転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 派遣社員から正社員への転身を目指すが、一次面接で落ちてしまう
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(株)リクルートキャリア 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2013年11月13日

![]() 逸見佳奈さん |
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新卒で制作会社に入社し、カタログ制作部門に1年間勤務。その後、派遣社員として出版社の編集アシスタント、メーカーの総務担当、アパレル会社のカタログ作成などを担当する。30歳を機に、正社員として就職し安定したいが、面接に至っても一次で落ちてしまう。 | |
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新卒で入社した制作会社を1年で辞めて以来、ずっと派遣社員として働いてきました。でも、5年間務めた直近の派遣先から、急に契約を打ち切られてしまって…。所属していた部署自体をすべて外注にすることになったための措置なのですが、あっけなく職を失うこわさを体感し、このまま派遣社員のままでいるのが不安になってしまいました。

仕方がないこととはいえ、5年もいた職場を急に離れるのは辛いことですね。どんなお仕事だったのですか?
アパレルメーカーのカタログ制作部門で5年間、制作進行を担当していました。外部のデザイン会社やカメラマン、ライターなどを手配し、希望を伝え、クオリティーチェックをして、進行スケジュールを管理するのが私の役割でした。仕事にはやりがいを持っており、契約もずっと延長していただけたので、このまま長く働きたいと思っていたのですが…仕方ありませんね。年齢ももう30歳だし、これを機に正社員に就こうと就職活動していますが、残念ながらなかなか決まりません。
どんな求人に応募しているのですか?
事務系全般に応募しています。人事や広報、総務、医療事務や学校職員など、安定して長く働けるイメージがあって。書類通過率は2割ほどなのですが、どこも一次面接で落ちてしまうのが悩みです。
ご自身では、落ちている理由はどこにあると思いますか?
志望動機で詰まってしまうのが原因だと思います。正直言って、次の仕事に求めているのは「安定」です。正社員として腰を据えて働けそうであれば、どこでもいい。だから可能性のありそうなところにどんどん応募しているのですが、どれも主体的に応募していないから、肝心の志望動機があいまいになってしまって…。
なるほど。落ちている原因は明白ですね。でも、「正社員になれればどこでもいい」ということはないはず。今は派遣先から契約終了を言い渡されたショックから、安定への思いが強まっているのだと思いますが、ご自身の仕事に対する「思い」を紐解いてみることが大切ですよ。
次の職場では、どんな環境で、どんなふうに働きたいと思っていますか?些細なことでもいいので、思いつくまま挙げてみてください。
そうですね…。あまり忙しすぎるところは避けたいと思っています。実は、就職時はモノづくりに携わりたくて制作会社を選んだのですが、あまりの忙しさに疲れ果ててしまって…。こだわりを持ったコピーライターとデザイナーとの板挟みにもなってしまい、最終的には体を壊して1年で退職しました。その時の経験がトラウマになり、自分のペースで働ける派遣社員の道を選んだ、という背景もあります。
モノづくり志望だったのですか。だから派遣社員でも編集や制作職を選んでいたのですね。

はい。次の就職先も編集や制作ならば経験が活かせ、力が発揮できるとは思うのですが、正社員となるとまた激務になってしまうのではとこわくて…。だから、業務量が安定していそうな事務系職種を中心に応募しているんです。
「安定」とはすなわち、「安心して働ける」ということですよね。そうなると、全く未経験の職種に飛び込み、一から仕事を覚えるよりも、経験のある業界や職種のほうが、仕事の進め方や業界の雰囲気がつかめているから、安心できるのではないかな。
編集や制作は…。人間関係が良く、雰囲気がいい職場ならば頑張れるかもしれませんが、最初の会社のように殺伐としている環境に飛び込むのはこわいです。でも事前にそれは図りにくいですよね。
でも、最初の会社をお辞めになってから、もう7年も経っていますよ。その間、さまざまな職場を経験して、スキルや知識、経験を身につけてきたはず。もし今、最初の会社に戻ったら、きっとうまく立ち回れるのでは?また、「人間関係がいい職場に行きたい」という発言には、甘えを感じてしまいますね。30歳、正社員であれば、「人間関係が良く雰囲気のいい組織を、自らの手で作り上げる覚悟」が問われます。
確かに、覚悟が必要ですね…。でも、経験、スキルと言っても、ずっと派遣社員でしたし、そこまで胸を張って言えるものがないんです。
直近の職場では、5年間、外部の発注先を取りまとめてきたのですよね?進行管理だけでなく、発注やクオリティーチェックも任されていた。カタログと言えば、企業の顔であり、売り上げに直結するもの。非常に責任ある役割を任されていたし、段取り力や調整力が磨かれたはずです。また、デザイン会社やカメラマン、ライターなど「その道のプロ」を取りまとめ、志高く仕事をしてもらうには、マネジメント力も必要だったことでしょう。このような力を総合的に持ち、個人プレーではなく周りと協同して高い成果物を生み出せる人材は、どの企業もほしいはずですよ。
なるほど…そう言われてみれば、派遣社員ながら私個人に任されていた仕事の範囲は結構大きかったです。でも、最終決定権はなく、最後には社員に判断を仰がねばならないのが残念でした。やはり派遣社員の責任範囲は狭いんだなって。

逸見さん、それこそ志望動機じゃないですか。「安定したい」という思いももちろん強いのでしょうが、その背景には「もっと任されたい。責任を持って働きたい」という思いもあったですよね?そもそもモノづくりに携わりたくて、正社員としても派遣社員としても制作の現場で長く働いてきたこと。前職で重要な役割を任され、やりがいを持ってはいたものの、最後の最後は社員が決めることに違和感を覚えていたこと。制作の仕事に自信を持てたので、契約終了を機に正社員として長く働ける場で責任ある立場を目指そうと思ったこと。これらを応募書類の段階から伝えておきましょう。1社目の経験から今につながっていることがわかり、「派遣を転々としている」感が薄れ、話に一本の筋が通ります。逸見さんの思いや覚悟も伝わりますよ。
自分の経験を客観的に振り替えることができて、自信が持てました。1社目の挫折経験を、意識しすぎていたようです。
逸見さんは明るい表情が印象的だし、話し方もハキハキとしていて好感が持てます。外部の方々をうまく調整し、導いてきた経験が自信になって表れているのだと感じましたよ。ぜひ前向きな気持ちで、転職活動に臨んでくださいね。
派遣社員が長かったということを、弱みに感じすぎていたのかもしれません。前職でせっかく、責任ある仕事を任されていたのに、自信を失っていました。もっと前向きになって、胸を張って転職活動を再開したいと思います。(逸見さん)

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