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(株)リクルートキャリア 門野友彦

1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。

2013年5月29日

今週の相談者

大学職員を辞め、一般企業に転職したいが、書類通過率が低く悩む里見さんの場合

里見奈々子さん
(仮名・33歳)

プロフィール
IT企業を経験した後、大学の研究室職員に。教授秘書として資料作成など研究アシスタント業務を行うほか、伝票処理や総務業務など事務部門すべてを担うが、研究室が閉鎖になり半年前に退職。一般企業への転職を目指し活動しているが、書類、面接とも通過率が低い。
現状
  • ・大学職員は5年経験。教授を始め約30人いる研究室に所属し、事務部門すべてを1人でこなしてきた。困ったときには頼りにされる存在で、仕事にやりがいを感じていた。
  • ・しかし、予算の縮小により半年前に研究室が閉鎖し、退職。一般企業の秘書職、事務職を目指して転職活動をしている。しかし、書類通過率が低く、面接に至っても話が盛り上がらず終わってしまうことが多い。
相談者:里見さんDr.門野

診断スタート

大学職員から一般企業に転職するのは、ハードルが高い?

半年前まで、大学の研究室で約5年間、働いていました。肩書は「教授秘書」ですが、業務内容は約30人いる研究員のサポート。資料作成や予算管理、研究スケジュール管理のほか、研究結果の英文翻訳、IT機器導入の際の責任者やネットワーク管理、ホームページ作成など、研究以外のことは何でもこなしてきました。しかし、予算の縮小で研究室が閉鎖となってしまって…。半年前に職を失い、転職活動を始めました。

閉鎖とは残念ですね。

はい…。この研究室が発足するときからのメンバーなので、思い入れもありました。事務部門の体制を一から作り上げるのは大変でしたが、何とか軌道に乗せ、「困ったときは里見さんに相談」と言われるまでになったんです。私にとっては最高の職場でした。なので、なかなか気持ちを切り替えられなくて。もう半年のブランクになるので、そろそろ転職先を決めたいのですが…。

なるほど…。どんな求人に応募しているのですか?

秘書や事務スタッフに応募していますが、なかなか書類が通過しません。面接まで進んだ企業もいくつかあったのですが、あまり盛り上がらなくて。面接担当者から「大学職員の経験は、一般企業の秘書や事務部門は活かせないのではないか?」という雰囲気を、感じてしまいました。そして…これは私の問題点なのですが、「他の企業でこれがやりたい!」という動機が弱いんです。正直「入社できるならばどこでもいいや」という気持ちでいるので、どこに応募しても薄っぺらい志望動機になってしまい、落ちているのかなとも思います。

本当に「どこでもいい」ということはないでしょう?職場に対して「これだけは譲れない」というものはありませんか?

うーん…。「人」ですかね…。ビジョンが明確で、意欲にあふれたトップがいて、それに賛同してともに突き進む仲間がいて。そんな職場で働きたいです。実際、前職の研究室もこのような雰囲気でした。でも、人や雰囲気なんて実際に入社してみないとわからないし、ましてや志望動機にするわけにもいきません。

いや、そんなことはありませんよ。魅力的なトップのもとで働きたいというのは、志望動機になり得ます。そして、里見さんの場合は、応募先企業の選び方と、書類のまとめ方、そこを見直すことが、転職成功のカギになりそうですね。

そうなんですか!?書類はどこを変えたらいいのでしょう?

これが原因!

組織の立ち上げを担った経験、自ら主体的に行動し事務部門すべてを支えてきた経験に、もっと自信を持つべき。経験をフルに活かすならば、秘書ではなく「管理部門の責任者」を目指しては?

秘書や一般事務に応募されているとのことですが、里見さんの仕事ぶりをうかがっていると、どうも「秘書」のイメージではないのですよね。秘書といってもいろいろな仕事がありますが、一般的なイメージで言うと、「経営陣を陰で支え、既存の仕事がスムーズに回るように手筈を整えるフォロー役」ですよね。

そう言われれば、そうですね。私はどちらかというと、事務方をすべて取りまとめたうえで、教授や研究員の「抜け」や「穴」を埋める仕事をしてきました。陰で支えるというよりは、「周囲に目を配り、教授や研究員に伴走しながらフォローする」というイメージでしょうか。

研究室の立ち上げの際に、事務方をすべて担い、0を1にする仕事をしてきた方ならではの、行動力とパワフルさを感じます。今の書類では、秘書向けに事務としての経験や、人をフォローすることに対するやりがいなどをアピールされていますが、「立ち上げ経験」や「どんな仕事も一人でこなし、自ら周囲の人の取りこぼしを見つけに行き、穴を埋めてきた事実」をもっとアピールしたほうが、里見さんの魅力が伝わります。そして、応募先も秘書ではなく、「管理部門のマネージャー候補」にしたほうが、力を発揮できるのではないかな?

管理部門ですか?!私に務まるかな…。

肩書は秘書ですが、実際にやってきたお仕事内容は「管理部門の仕事すべて」ですよね?大企業で、役割分担されてしまっている組織は向かないと思いますが、創業して間もないベンチャーなど、社員一人ひとりがあらゆることをこなさなければならない組織などは、里見さんのような人に来てほしいと思うはず。

確かに…。私もそういう環境で働いてみたいです。

創業まもないベンチャーは、目標に向かって突き進んでいる求心力のある経営者が多いはず。里見さんが譲れない条件として挙げていた「魅力あるトップと組織」に出会える可能性も高いと思うので、ぜひ応募先の候補に入れてみてください。また、例えばクリーンエネルギーや医療介護など、今伸び盛りにある分野で新しいビジネスにチャレンジしている企業なども、注目してみては?ホームページなどに、社長のコメントが載っていることが多いので、読んでみて魅力を感じたら応募してみてはどうかな。そして「実現したい未来に向かって突き進む、魅力ある社長のもとで働きたい。私は組織の立ち上げを担った経験がありますし、事務部門すべての仕事ができます」と堂々とアピールしてください。

なるほど…応募先がだんだん見えてきました。それに、今まで「何でもこなせるって、雑用係みたいでアピールしにくい」と思っていましたが、その考えも改めさせられました。

雑用係は、「言われたことをやる人」ですよね。里見さんは、使命感を持って、自らやるべきことを見つけ、主体的に行動して来た。それを雑用係とは言いません。ぜひ自分の経験に自信を持って、転職活動に臨んでください。

診断を終えて…

大学職員だったということに自分自身でとらわれ過ぎていて、「私の経験が活かせるところはあるのか?どこも評価してくれないのではないか?」と自信を失っていました。研究室という一つの組織の中で、責任ある立場を担ってきたことにもっと自信を持ってアピールしたいと思います。(里見さん)

EDIT
伊藤理子
DESIGN
マグスター
ILLUST
もりいくすお
PHOTO
平山諭

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