転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 研究開発職に就きたいが、社会人1年目で転職していいものか迷う
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(株)リクルートキャリア 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2013年2月13日

![]() 杉山幸恵さん |
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大学工学部卒業後、電子部品メーカーに就職。技術営業として1年近く勤務したが、大学時代の知識を活かせる「研究開発職」に就きたいと考えるように。しかし、社会人1年目で転職していいものかどうか、悩んでいる。 | |
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大学で材料科学を学び、就職活動でも研究開発職を希望して、化粧品メーカーや化学メーカーなどに応募しました。しかしうまくいかず、技術営業職を募集していた今の会社に就職しました。1年近く頑張ってきましたが、やはりメーカーでの研究開発職に就きたいという気持ちが強まってきてしまって…。ただ、社会人歴わずか1年で、転職していいものかどうか、悩んでいます。

営業は向いていないと思ったの?
そうですね…。お客様が喜びそうな情報を収集して、営業の際に持っていくなど、自分なりに努力はしたのですが、思うような成果が挙げられないでいます。加えて、今の会社の営業体制に不信感も持っています。小さな会社なのですが、大口顧客を何社か持っているのでそれにみんな甘えてしまって遅刻も容認するような雰囲気なんです。こんな状態が嫌で、周りに刺激を与えるために新規開拓をしてみようと考えたこともあるのですが、ノウハウもわからず、やりかたを聞ける人もおらず…。もう限界です。
なるほど、それは厳しい環境ですね。「もっと真剣に仕事に取り組める環境で、もともとやりたかった研究開発系の仕事に就きたい」という思いは非常に筋が通っているので、転職活動にチャレンジしてもいいと思いますよ。社会に出てまだ1年以内なので、未経験でも、まだ「大学時代の知識が活かせる」と思ってもらえるでしょう。
でも、何をアピールすればいいのでしょう?営業として高い成果を挙げているわけではないし…。何を記せば、企業の目に留まるでしょうか?
営業実績を無理にアピールする必要はありません。どの企業も、社会人1年未満の人に高いスキルや実績を求めていないからです。逆に、1年未満にもかかわらず実績を強くアピールされるほうが、異和感がありますよ。新卒者と同様、若さとポテンシャルが最大の武器になります。ただ、「1年で辞める」ことの説明はしたほうがいいでしょう。

どのように説明すればいいのでしょう?研究開発職に就きたいという思いは強いですが、1年足らずで営業を辞めようとしていることや、今の会社の体制が嫌で辞めようとしていることなど、ストレートに説明したらマイナスに取られないか心配です。
営業を辞めたい、会社が嫌だというマイナスの思いの裏には、必ず「こうしたい」というプラスの思いが隠れています。それが叶えられないから、転職するのですよね?杉山さんの場合は、「営業として1年間努力を続けてきたものの、やはりかねてから希望していた研究開発への思いが強くなった」こと、その背景として「営業としてもう少し頑張ることも考えたが、今の会社の営業体制の中では頑張り切れないと思った」ことを説明し、「もっと真剣に仕事に取り組める環境で、研究開発の仕事に打ち込みたい」と伝えるといいでしょう。
…会社のことに触れても大丈夫でしょうか…?
1年で辞めるのですから、多少本音を交えたほうが真実味があります。「きっかけは会社の体制だが、それにより、やはり研究開発職に就きたいという思いを再確認した」と、前向きな思いにつなげてください。加えて、「研究開発者としての信条」や「大事にしているスタンス」なども伝えられるといいでしょう。大学時代、実験や研究に取り組んでいたときに、気を配っていたことはありますか?
そうですね…。実は私、基本的には大ざっぱなタイプなんです。でも、材料の基礎研究の際に「大ざっぱ」は厳禁。自分の性格を理解していたので、より「細かさ、丁寧さ」を心がけました。量はグラム単位まできっちり測る、手順も変えないなど、実験結果にブレが出ないように細かなチェックを徹底しました。…でも、これぐらいかなあ。
いえいえ、いいお話ですよ!自分の大ざっぱさを理解しているうえ、それを解消するための努力を怠っていない。こういう人は信用されます。「うちに入社したら、こういう丁寧な仕事をしてくれそうだ」と企業側にイメージさせることもできます。ぜひ自己PRとして加えてください。
なるほど…わかりました!

そして、さらにその「細かさ、丁寧さ」を、今の仕事で活かした経験を語れるとなおいいでしょう。先ほどおっしゃっていた「お客様が喜びそうな情報を収集して、営業の際に持っていく」などが当てはまりそうかなと思うのですが、どうでしょう?
電子部品に関する情報収集には力を入れました。そして、「あのお客様ならこんな情報が喜ばれそうだ」などと考え、訪問の際に持って行ったり、メールでお送りしました。まだ1年目なので、お客様から質問を受けてもその場で答えられないことも多かったのですが、帰社したらすぐに調べ、できるだけその日じゅうにご連絡するように心がけました。
いいですね!こういう形で営業経験をアピールすると自然ですし、仕事に対するブレない姿勢が伝わります。営業を経験したからこそ気づけた研究開発職に就きたいという強い思い、仕事に対する姿勢と自分の強み、信条を、自信を持ってアピールしてください。杉山さんの真面目な考えに惹かれる企業は、少なくないはずですよ。
今の会社でやっていく自信はとうになくなっていたのですが、こんなに早く辞めていいものか?という思いと常に葛藤していました。Dr.門野と話したことで、研究開発職に対する思いの強さを再確認できました。営業経験のアピール方法もわかったので、自信を持って転職活動に臨めそうです。(杉山さん)

- EDIT
- 伊藤理子
- DESIGN
- マグスター
- ILLUST
- もりいくすお
- PHOTO
- 平山 諭