転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 営業アシスタントから営業に移りたいが、経験が浅く二の足を踏む
![]() |
(株)リクルートキャリア 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2012年12月26日

![]() 加賀洋治さん |
![]() |
---|---|
新卒でIT関連会社に就職し、2年間新規開拓営業を担当。その後、大手システム会社の営業部に出向、営業アシスタント業務に就いて丸5年が経つ。将来を考え営業職に移りたいと思っているが、経験が浅いため受け入れてもらえないのではと二の足を踏んでいる。 | |
![]() |
|
|
新卒でIT関連企業に就職。現在は大手システム会社の営業部に出向し、営業アシスタントをしています。でも、もともとは営業職志望。現在の仕事に異動してもう5年以上になるので、そろそろ営業職に戻りたいのですが、今の会社では異動が叶いそうにありません。でも、転職するにも、営業経験は新卒入社後の2年間だけであるうえ、ブランクも長いので、明らかに経験不足。受け入れてくれる企業があるとは思えません。私は一体、どうすればいいでしょうか?
何で「受け入れてくれる企業がない」と思うの?
転職エージェント経由で、試しに1社応募してみたんです。でも、面接が全然盛り上がらなくて…。開口一番、「営業経験は2年だけ?」と言われた後は、当たり障りのない質問をされて、ものの10分程度で終了。そして、不採用の通知が来ました…。
なるほど…。では、そもそもなぜ営業職に戻りたいのですか?

新卒で今の会社に入社し、初めの2年間は新規開拓の法人営業を担当していました。体力的にきつい仕事ではありましたが、お客様と少しずつ信頼関係を築いて、ようやく当社のITサービスを購入いただき、導入後に「加賀さんの勧め通りにしてよかったよ」といわれたとき、この上ない喜びを感じたんです。今の仕事にももちろんやりがいは感じていますが、出向先の営業担当者のフォローがメインなので、お客様と直接やり取りする機会はありません。営業からの受注フィードバックも特になく、お客様との関わりを実感できない寂しさを感じています。また、今年子どもが生まれたことも大きいですね。今の勤務先は企業規模がそれほど大きくなく、健全経営とも言い切れません。もし将来的に会社の経営が危うくなったら、自分のスキルでは行き先がないのでは?と不安で…。営業としてバリバリ稼げるようになっていれば、30代後半になっても何らかの道があると思うんです。
先ほどから、ご自身の役割を「営業アシスタント」と言っていますが、具体的にはどんな仕事をしているのですか?応募書類を拝見しましたが、詳しく書いていないので…。
私が所属しているチームは、法人向けの業務用システム営業部隊で、私の役割は、システム構成と見積もり作成です。具体的には、営業担当者の商談に役立つように、顧客のニーズや規模、予算に合わせた業務システムの構成を考え、見積もりを立てたうえで、顧客に伝わりやすいようグラフなどを交えながらプレゼン資料にまとめています。実際に商談が成立した後は、契約書類の作成や事務手続きなどを担当します。同じ仕事を担当しているメンバーは部長以下6人で、私はサブリーダーの役割。小さいチームではありますが、若手への業務指導やマネジメントなども行っています。
ん?それって営業アシスタントというよりも、「営業支援」じゃない?
どうなんでしょう…。でも、特に売り上げ目標を持っているわけではないですし、受注が取れたからといっても、私個人への評価にはつながらないですし…。
いやいや、加賀さんの働きぶりから考えると、この応募書類はいただけません。全面的に修正することをお勧めします。そして、もっと自分の経験、スキルに自信を持つべきだと思いますよ。
そ、そうでしょうか…?
話を少しうかがっただけですが、加賀さんはとても貴重な経験をされていると思いますよ。出向先の営業部で、本来ならば各営業担当者がやらねばならない「顧客のニーズや規模、予算に合わせた業務システムの構成を考えて、見積もりを立てる」作業をすべて引き受けているのですよね?しかも、営業が商談で勝てるように、わかりやすいプレゼン資料にまで落としこんでいる。ましてや、加賀さんが出向している大手システム会社は、求める業務レベルが非常に高い会社。かなり鍛えられたのでは?

そうなんです!私の仕事においても常に精度が求められ、当初はかなりしごかれました…。でも、「営業から質問を受けたらすぐに回答するだけでなく、プラスアルファの情報も必ずフィードバックする」「速いだけでなく、正確さも追求する」の2点を徹底したら、徐々に営業の信頼を得られるようになりました。わかりやすいプレゼン資料作りも、本来ならばそこまでやらなくてもいいのですが、サービスマインドでついグラフやレイアウトに凝っちゃって(笑)。おかげさまで、今では「もし加賀さんが異動しちゃったら困っちゃうよ」なんて言われることもあって、喜びを感じますね。
素晴らしい!その仕事のどこが「アシスタント」なんですか!私は「営業」だと思いますよ。なぜなら、加賀さんがフォローしている営業担当者は、みんな加賀さんのクライアントですよね?クライアントである彼らの要望に沿って、彼らの仕事が円滑に進むようなサービスを提供しているのですから、これはもう立派な営業活動です。もっと自分のやっていることに自信を持つべきですよ。
そう言われてみると…。少し自信が出てきました。
なのに、応募書類を拝見すると、職務経歴欄には、「大手システム会社の営業部に出向していること」「営業アシスタントとして、システム構成や見積書作成を担当していること」そして「6人チームのサブリーダーをしていること」ぐらいしか書かれていません。自己PR欄を見ても、「営業の要望を聞き、正確かつ迅速にシステム構成案や見積書を作成する」などがアピールされているぐらい。これでは「アシスタント」という印象しか受けません。仕事内容、心がけていることなど、今お話しいただいた内容にすべて書き変えましょう。
でも、モノやサービスを売っていたわけではないし、営業経験として認められるものでしょうか?
営業は、モノ売りではありません。あくまで「問題解決」のために存在する役割です。自社の商品やサービスが、顧客の問題解決につながると理解してもらえて初めて、買っていただけるもの。加賀さんは、確かに直接的には売り上げを挙げていませんが、加賀さんのおかげでクライアント企業が「この会社のシステムは自社の問題解決につながる」と理解できているのですから、間接的には「売り上げを稼いでいる」のと同じこと。ぜひこの点を、営業スキルとしてアピールしてほしいですね。
わかりました!将来に希望が湧いてきました。…ちなみに、Dr.門野から見て、私は早く転職したほうがいいでしょうか?それとも今の環境でもう少し頑張ったほうがいいと思われますか?

私は、いますぐ転職するよりも、「今の環境で、できる限りスキルアップし尽くす」ことをお勧めしたいですね。先ほど、「営業からの受注フィードバックがない」とおっしゃっていましたが、自分から聞きに行ってはどうですか?「今まで以上に最適なシステム構成を考え、わかりやすい資料を作りたいから、ぜひ教えてください。商談の成功率を高めるお手伝いをしたいんです!」と言われれば、営業としては嬉しいでしょう?営業の精度を高める努力をとことん行って、出向先企業から「ウチに来ない?」と言われるぐらいまでご自身の営業スキルを高めれば、もうこわいものはありません。自信を持ってどこへでも、自分を売り込むことができるはずですよ。
正直、自分のやっていることに自信を持てずにいました。でも、Dr.門野と話す中で、「重要な役割を担っているのだ」と認識することができました。また、今の環境でもっとやれることはあるはずだとも気づけました。さらに自信を持って企業に自己アピールするためにも、まずは今の仕事でさらに高みを目指そうと思います。(加賀さん)

- EDIT
- 伊藤理子
- DESIGN
- マグスター
- ILLUST
- もりいくすお
- PHOTO
- TAKE