転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 運用・監視業務から上流工程に移りたいが、面接で落ちてしまう
![]() |
(株)リクルートキャリア 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2012年12月5日

![]() 大和田章雄さん |
![]() |
---|---|
新卒でシステム開発会社に就職し、サーバー、ネットワークの運用・監視業務に6年間携わる。ネットワークサーバーの構築に携わりたいとエンジニア派遣会社に転職するが、短期の案件が多く、先行き不透明感から転職を決意。しかし面接で落ちてしまうことが多い。 | |
![]() |
|
|
就職したシステム関連会社で、サーバー、ネットワークの運用・監視業務を6年間担当しました。ネットワークサーバーの構築を手掛けてみたくて、2年前に今の勤務先であるエンジニア派遣会社に転職。しかし、希望の仕事になかなか就けないばかりか、半年ぐらいの短期プロジェクトが多くて…。雇用形態も契約社員なので、プロジェクトが終わるたびに「次はあるのだろうか」という不安が強いうえ、月に1回しか自社に戻る機会がないので、横のつながりが薄いことにも不安を感じています。そのため、短期中心ではなく、長く安心して働ける環境があり、かつ社員同士のコミュニケーションが活発な会社に、正社員として移りたいと思っています。しかし、面接落ちが続き、落ち込んでいます。
今までに何社ぐらいに応募しましたか?
20社ほどに応募して、書類通過は10社ぐらいでしょうか。しかし、一次面接で全滅という状態です…。

書類通過率5割ですか!かなりの高確率ですね!
はい。ネットワークサーバー構築の仕事と、経験が活かせる運用・監視の仕事の両方に応募していますが、どちらにも面接に呼ばれているということは、経験やスキル面では問題ないのだろうと感じています。しかし、面接がどうにもうまくいかなくて。アガり症で、面接でも緊張してしまい、質問されると頭が真っ白になってしまうんです。用意していた答えを忘れてしまい、その場で一から考えて話すことが多いので、質問に対してずれた答えをしていたり、つじつまが合わないことを話していたりするのかなと…。
どんな質問をされたとき、詰まってしまうことが多いの?
志望動機ですら、詰まってしまいます。ホームページなどを見て、考えてから臨むのですが、すこーんと頭から抜けてしまって…。また、予想外の質問にも、詰まってしまうケースが多いですね。例えば「どんな環境で運用管理しているの?」という質問にとっさに答えられなかったり、「今後エンジニアとしてどんなキャリアを歩みたいの?」という質問にも、どう答えるのが正解なのかわからなくなり、しどろもどろになってしまいました。一応、ネットワークサーバー構築に応募している場合には「運用管理をメインにやってきたので、今度は上流工程でモノを生み出す仕事がしたい」と答えたのですが、「ではそのためにどんな努力をしていますか?」と聞かれて、撃沈してしまいました…。
なぜその質問に答えられなかったのかな?上流工程に移るための努力は、特にしていないの?
資格取得のための勉強は、遅まきながら始めました。ITパスポートの試験は受験し、おそらく合格点に達していると思います。でも、それ以外の勉強はまだ…。自信を持って「努力」といえるものはありません。
なるほど…。

大和田さんは運用管理が長かったとのことですが、それに関する資格も特に取っておられないようですね。資格はあくまで「資格」ではありますが、上流工程を目指す大和田さんの場合、資格の勉強は「本気度」を表すバロメーターになります。今現在、取るべきだと思う資格のリストアップはされていますか?
いえ、恥ずかしながら、特には…。
上流工程に本気で移りたいなら、せめてそれぐらいは準備しておくべきでしょう。ネットワークサーバーの構築に携わっている社内のエンジニアにアドバイスをもらうなど、すぐにできることはあるはずです。…先ほど大和田さんは、「努力していることを聞かれて言葉に詰まった」ということですが、実際に努力していれば、すんなり答えられた質問のはず。せめてリストアップして準備を進めていたのだったら、「遅まきながら、●●と▲▲の資格取得のために、勉強を始めようと思っています」と具体的な姿勢を見せることができたはずですよ。
確かに…おっしゃるとおりです。
また、先ほど「月に1回しか自社に戻れず、横のつながりも薄い」とおっしゃっていましたが、客先常駐型のエンジニアの場合、客先で築いたネットワークが財産になるケースは多いはず。そこでの人脈から新しいプロジェクトを受注して、自社の利益につなげるエンジニアは「できるエンジニア」として評価されます。そういうご努力はされましたか?
プロジェクトメンバーの一員としては、コミュニケーションを取っていましたが、積極的に人脈を広げる努力は特にしてきませんでした。
大和田さんは、経験、スキルは評価されているし、「契約社員でかつ短期のプロジェクトが多く、先行きに不安を感じたから、長く腰を据えて働ける環境に移りたい」という転職理由にも納得感があります。保守運用を長くやってきたから、上流工程に移りたいという思いも、エンジニアならば当然持つでしょう。考えられる「敗因」は、おそらく、大和田さんの言葉の端々から、「新しい仕事に対する努力」が見えてこず、その結果、「本気度」が伝わらなかったから。そのために、ほかの応募者に競り負けてしまったのだと思いますよ。
どのように「本気度」を伝えればいいのでしょう?

お勧めしたいのは、「資格の勉強を始めるなど、今からすぐ何らかの努力を始める」「面接では取り繕わず、現状について正直に話す」の2つです。今からでも少しずつ努力を始めれば、その姿は必ず相手に伝わります。そして「努力をしている事実」があれば、面接でもスムーズにアピールができるはずです。また、どうしても面接の場では、自分をうまく取り繕いたくなるものですが、企業は「ありのままの大和田さん」が知りたいんです。初めに「面接での切り返し方を知りたい」とおっしゃっていましたが、「切り返し」はテクニックであって、本当の大和田さんが見えてきません。「今までは目先の仕事に追われ、ブラッシュアップのための勉強を怠ってきました。今、気持ちを切り替えて、資格を取るために努力を始めているところです」と正直にさらけ出したほうが、「信頼できる人間だ」と評価されると思いますよ。
わかりました。考え方がいささか甘かったですね。今からでも努力を始めたいと思います。
面接ではどうにか自分をよく見せようと、取り繕うあまり、焦ってしまった面が大いにあると思います。自分に自信がないから、空回りしてしまったのですね。まずは資格の勉強に力を入れて、「努力している」という姿勢を企業に示したいと思います。(大和田さん)

- EDIT
- 伊藤理子
- DESIGN
- マグスター
- ILLUST
- もりいくすお
- PHOTO
- TAKE