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(株)リクルート 門野友彦

1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。

2012年9月19日

今週の相談者

総務の仕事に戻りたくて転職活動。しかし、面接通過ゼロに悩む内野さんの場合

内野洋平さん
(仮名・31歳)

プロフィール
大学卒業後、食品会社にて半年間営業を経験した後、化学品メーカーに転職。総務を6年間経験し、1年前から品質管理担当となるが、総務の仕事に戻りたくて7年ぶりに転職活動をスタート。しかし、書類通過率は1〜2割、面接はすべて一次で落ちてしまう。
現状
  • ・会社全体を支える、総務の仕事にやりがいを持っていた。ただ、社内ではすぐに戻れそうにない。年齢も年齢なので、転職に踏み切った。
  • ・書類通過率1〜2割は、低いとは思うものの今のご時世では仕方ないかもと思っている。ただ、面接が全く突破できないのが辛い。少ないチャンスをものにするにはどうすればいいのだろう?
相談者:内野さんDr.門野

診断スタート

貴重な面接のチャンスを、全く活かせていない。どうすればいい?

化学品メーカーに7年間勤めています。総務を6年間経験し、1年前からは品質管理の部署で働いています。でも、総務の仕事に戻りたくて…。あと数年我慢すれば、戻れる可能性もあるのでしょうが、その確証はなく、待っていても年齢を重ねてしまうだけなので、転職活動に踏み切りました。しかし、一次面接が全く突破できないんです。

書類通過率はどれぐらいですか?

だいたい1〜2割といったところでしょうか。高くはありませんが、30代で、このご時世ですし、こんなものかと思います。でも、1〜2割の面接の機会を、全く活かせていないんですよね…一体何が悪いのか…。

なるほど。では原因を探っていきましょうか。面接の中で、返答に困った質問などはありますか?

「今まで経験した業務の中で、特に力を入れたものは何ですか?」という質問ですね。どの仕事も手を抜いていたわけではないので、答えに詰まってしまいました。あとは、「長所と短所は?」という質問もよく聞かれて困っています。「自分の意見ばかりを通すのではなく、周りの意見も取り入れ、協調しながら仕事を進められるのが長所ですが、自己主張に欠けるのは短所かもしれない」などと答えていますが、これでいいのか…(悩)。

そもそもなぜ、総務の仕事に戻りたいの?

いろいろな部署と関わらねば進められない仕事ですし、経営者視点でモノを見ながら考える必要もあります。このように、会社全体をバックアップする仕事に、やりがいを感じています。今の品質管理の仕事も重要だとは思うのですが、ほかの部署と関わる機会は以前に比べて少なく、そのせいか自分の働きが会社にどんな影響を与えているかピンときません。加えて、品質管理畑をずっと歩んできた上司がいて、折が合わなくて…。仕事の進め方などで、新しい提案を持って行っても、全く聞く耳を持たず、いつも突っ返されるんです。

面接でも、そのように伝えているの?

「品質管理が嫌」とはさすがに言っていませんが、長年携わってきた総務の仕事にやりがいを感じていて、戻りたいからとは伝えています。あとは、応募先企業に合わせて志望動機を作っています。

うーん、動機が弱いなあ。「総務以外の部署に異動になったから、転職して戻りたい」というのは、転職の理由にするにはあまりに弱いですよ。

そ、そうですか…。とはいえ、これが正直な今の気持ちなのですが…。

これが原因!

「総務が好きだから、戻りたい」は転職理由にならない。仕事へのこだわりや、大事にしていることは何か、改めて考えてみよう。それが軸となり、志望動機に筋が通る。

正社員であったら、ジョブローテーションがあるのが普通です。小規模の会社である場合や、よほどのその道のスキルがある場合は別かもしれませんが、基本的には同じ部門で業務にずっと携わり続けられることは稀です。「総務に戻りたいから」という思いばかりが伝わると、「うちに入社しても、将来別の部署に異動になったら、また辞めてしまうのか」と思われてしまいます。「総務でこんなこだわりを持って仕事に取り組み、こんなことを成し遂げてきた。この経験を御社で活かしたいから応募した」と言えないことには、志望動機にはなりません。

うーん、言われてみれば理由がイマイチですね…。今の環境から逃げたいように感じる。

そうなると、先ほどおっしゃっていた「長所」も、微妙ですね。「協調性の高さが長所」って、学生のような答えですし、あくまで「協調性」は仕事を進めるうえでの手段でしかありません。社会人歴も長いのですから、「仕事へのこだわり」や「仕事上で譲れないもの、大事にしていること」など、仕事へのスタンスを長所として伝えるべきです。

仕事へのこだわりですか…(熟考)。会社のルールを確実に守り、「いい加減な仕事の仕方をしない」ことですね。仕事の進め方、稟議の通し方、各種申請の出し方、伝票の申請方法など、会社の運営には必ずルールがありますが、それを守らない人が何と多いことか。みんながルールを守らなくなると、会社の業務がスムーズに回らなくなり、ひいては会社自体もバラバラになってしまいます。「カタい」と思われるかもしれませんが、ルール徹底を訴え、率先して遂行することが総務の役割だと思うし、私がこだわってきた部分でもあります。

内野さんらしいですね。会社のことを考えているからこそ、いい加減な仕事の進め方はしたくないし、ルールも徹底したい。「総務として、会社全体を支えたい」というそもそもの思いともつながる、いい長所だと思いますよ。「ただ自分がルールを徹底するだけでなく、協調性を持って会社全体にも働きかけ、よりよい組織をつくるために尽力してきた。その経験を、他社でも活かし、会社をよりよくするために力を注ぎ続けたいと思っている」と言われたら、どうでしょう?筋が通りますし、逃げの印象もなくなりますよね。そして、これを書類の段階でも書いておけば、もう少し書類通過率も高まるはずですよ。

なるほど、確かに。

そして…これは内野さんの今後のキャリアのためにお勧めしたいのですが、今の品質管理の仕事、あと1〜2年は続けてみてはいかがですか?おっしゃるように、総務の仕事は社内のあらゆる部署と関わりのある仕事です。だからこそ、ずっと総務のままだと、独りよがりの仕事になってしまう可能性がある。ほかの部門の仕事を経験することで、「総務に期待されていること、総務がやらねばならないこと」の本質が見えてきます。

おっしゃる通りだと思うのですが、上司が…。

その「頑固な今の上司」だって、内野さんが本気で考え、魂を込めた提案だったら、きっと検討してくれるはず。「逃げずに頑張り抜いた人の言葉」には、魂が乗ります。「品質管理の仕事に打ち込んでみて初めて、今まで気づけなかったこんなことに気づけた。今まで以上に、現場の声を活かした組織作りに貢献することができる」と言えたら、総務としての市場価値はさらに高まると思いますよ。

診断を終えて…

総務に戻りたいという思いばかりで、企業がそれをどう思うか、どう伝えれば納得してもらえるのかという視点が薄かったと思います。今回、仕事へのこだわりを志望動機につなげられたので、これからはもう少しスムーズにやりとりできそうです。今の仕事への姿勢も、考え直してみます。(内野さん)

EDIT
伊藤理子
DESIGN
マグスター
ILLUST
もりいくすお
PHOTO
TAKE

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