転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 25歳で4社を経験。人材コーディネーター志望だが、面接で落ちる
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(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2012年9月5日

![]() 吉川浩美さん |
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大学卒業後、システム開発会社に就職するが5カ月で退職。その後、カフェアルバイト、アパレル会社の契約社員を経て、現在は量販店で販売の仕事に就く。人材採用業務に興味を持ち、人材コーディネーター職に応募しているが、面接段階で落ちるケースが多い。 | |
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派遣会社の人材コーディネーター職を目指して転職活動をしています。でも、せっかく書類は通っても、面接ですべて落ちてしまうんです。転職回数が多いので、それが嫌がられているのでしょうか?
吉川さんは、すでに4つの職場を経験されているのですね。確かに、少し多いという印象ですね。何か原因があるのですか?

就職したのは、システム開発会社です。SEとして入社したのですが、3カ月の研修が終わったら、いきなり営業部に配属されまして…。でも、気持ちを入れ替えて頑張ったのですが…上司が毎日「なんで全然数字が上がらないんだ!」と怒鳴るんです。営業先でお客様と話すのは楽しく、やりがいもあったのですが、毎日の罵倒が本当につらくて…。わずか5カ月で退職しました。その後、カフェのアルバイトを経て、アパレルチェーンに販売職として入社したのですが、そこでは店長からセクハラを受けまして…。ここも1年半で辞めました。
そうだったのですか…それは辛い経験をされましたね。
実は、カフェのアルバイトも、店長の店舗運営方法があまりにずさんで、スタッフみんなで意見を言っても全く受け入れてもらえず、辞めたという経緯があります。周りには「吉川さんは頑張っているのに、上司に恵まれないね…」と言われますね(苦笑)。現在は、量販店でパートとして婦人服の販売をしていますが、そろそろ腰を据えて「本当にやりたい仕事」に就きたいと思って、転職活動をしています。
なぜ、派遣会社の人材コーディネーター職に就きたいの?
就職活動のときに、さまざまな企業で人事担当者の働きぶりを見て、たくさんの人と触れ合える人材採用業務に興味を持ったんです。でも、そのときは「興味」止まりでした。社会に出て、図らずもいろいろな仕事を経験し、これからの自分のキャリアを考えたときに、「人材採用関連の仕事に就いてみたい」という思いが再び沸き起こりまして…。未経験で企業の人事職に就くのはさすがにハードルが高いですが、派遣会社の人材コーディネーターであれば未経験歓迎の求人が多いし、接客経験が活かせそうなので、私にもチャレンジできると思いまして。派遣希望者は私と同世代の人が多いと思うし、転職経験も多いのでいいアドバイスができるんじゃないかもと思うんです。
面接では、どのように伝えていますか?
そこが悩みどころでして…。経験がないので、うまい言葉が見つからずいつも困っていますが、「就活時代にさまざまな企業の人事担当者に触れ、たくさんの人と触れ合える人材系の仕事に興味を持った」ことと、「接客の仕事が長いので、経験が少なからず活かせると思う。未経験だがチャレンジしてみたい」という思いを伝えています。
うーん…。動機が浅すぎますね。憧れだけで応募しているという印象しか受けません。人事や人材コーディネーターの仕事の大変さ、苦労を理解したうえで、「それでもやりたいし、自分ならできる」と伝えられるだけの動機づけが必要です。
そうですか…。

転職回数の多さは、不採用の理由ではありません。それが理由なのであれば、書類の段階でわかっているのだから面接には呼びません。「面接で落ちる」場合、原因の多くは「適性がないと判断された」か、「熱意不足と判断された」かのどちらか。吉川さんは、接客経験が長いだけあって、人当たりがよく、会話のキャッチボールもうまいので好印象です。人材コーディネーターは、求職者の話をじっくり聞き、アドバイスをする必要があるので、「未経験でも十分に適正がある」と判断されるでしょう。25歳という若さも、ポテンシャルの高さが感じられ、魅力的です。ただ、圧倒的に「熱意」の伝え方が弱いから、「憧れだけの甘い考えで応募しているな。たとえ入社しても、ギャップを感じてすぐに辞めてしまうだろう」と思われてしまっているのでしょう。
うーん…。「この経験が活かせるから人材コーディネーターに就きたい!」と明確に言えるものもないし、人事系の業務に興味を惹かれた理由にウソはないから、別の表現も思い浮かびません。何と伝えれば、人事の心に響くのでしょう…。
先ほど、「上司に恵まれなかった」とおっしゃっていましたね?いろいろな職場で上司の存在に苦労して、転職回数を重ねてしまったと。
その通りです。もちろんその都度、「この状況を何とか打破しよう」と自分なりに頑張りましたが、どうしても解決の糸口が見えなくて…。結果的に逃げたのでは?と言われれば、反論できないのですが…。
今までの吉川さんのお話を踏まえれば、私ならばこのように言うかな。「すでに3回の転職を経験しています。転職活動のたびに、『この会社ならば、自分の力が最大限発揮できる』と確信できるところに転職してきましたが、結果的に企業研究が足りず、ギャップに悩む結果になりました。現状を打開しようと自分なりに努力はしたものの、勤務先にとっても私にとっても、残念ながらいいマッチングとはなりませんでした。この点は、深く反省しています。だからこそ、今度は私が求職者と企業の間に立ち、互いの思いや希望を理解したうえで、マッチングを図る仕事がしたいと思うようになったのです。自分が失敗し続けてきたからこそ、求職者の想いに親身になれるし、反面教師としてアドバイスできることも多いと確信しています」…このように、転職経験の多さを自分でいったん受け止め、過去の経験がどのように次の仕事に活かせるかをじっくり考えれば、それが志望動機につながり、一本「筋」が通ります。

なるほど…!実際、本当にこのように思っています。いろいろな職場で、悩み抜いてきたからこそ、仕事のことで困ったり悩んでいる人の気持ちをちゃんと理解したいと思うし、その人が気持ちよく働ける場まで導いてあげたいと心から思います。
いいですね。その思いこそ、面接で伝えるべきですよ。吉川さんは、確かに仕事を転々とされていますが、さまざまな職場を経験したからこそ、いろいろな仕事の事例を求職者に話せるでしょうし、苦労をしてきたからこそ親身になれるはず。転職回数の多さを否定的にとらえた瞬間、自分で自分の価値を落としてしまいます。逆に前向きに捉えれば、「次の仕事で活かせるものは何か?」が見えてきますよ。
「やりたい」というだけでは弱いとは思いつつも、うまい言葉が見つからずにいました。Dr.門野に「浅い」とハッキリ言われたことで、なぜその仕事がしたいのか、自分ならば何ができるのか、深く掘り下げて考えていなかったことに気づけました。新たな気持ちで転職活動に臨めそうです。(吉川さん)

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