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(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2012年8月22日

![]() 布施久志さん |
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食品輸入会社、化学品メーカー、工作機械商社の3社でいずれも海外営業職として勤務。海外に支社を持ち、海外赴任のチャンスがある会社に転職したいと思い、在職しながら活動を続けているが、書類は高確率で通過するものの面接ですべて落ちてしまっている。 | |
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大学卒業後、3社で海外営業を経験しました。現在は、工作機械を取り扱う専門商社で働いています。次のキャリアステップとして、同じ海外営業職でも海外赴任のチャンスがある会社に転職したいと思い、業務の合間に転職活動を続けているのですが、書類はある程度通過するものの、面接でことごとく落ちてしまっています。
なぜ面接で落ちてしまっているのか、思い当たる理由はありますか?

いえ、実はさっぱり…。あまりに結果が出ないので、何か理由があるのだとは思うのですが、自分では見当がつきません。
面接では、どんなことを聞かれますか?
志望動機と、退職理由ですね。志望動機は、事前に個社ごとに強みを調べて、「そこに魅力を感じた」と伝えています。退職理由は、海外の顧客と近い距離で働きたいので、海外支社を持ち、ゆくゆく赴任の可能性もある会社に移りたいと思ったから…と伝えています。
海外に行きたいのは、なぜ?
今の会社では欧州を担当しているので、時差が大きいんです。深夜のやり取りが多いから、肉体的にしんどいし、顧客の要望やトラブルにスピーディーにこたえられないのも辛いですね。電話やメールだけでなく、顔を合わせて話し合うことで、顧客のニーズがもっと正確につかめるとも思うんです。それに、異文化に触れることが以前から好きで。言葉や文化の異なる人とコミュニケーションを取ることは、自分の成長につながると感じています。だから、できれば一つの国だけでなく、いろいろな国で営業を経験してみたいと思っています。
うーん、もし人事担当者として今の発言を聞いたら、ちょっと引いてしまうなあ。「異文化に触れるのが好き」って、まるで学生みたい。海外生活に憧れている人という印象を受けます。海外で勝負したいという熱意や覚悟が見えてこないのが、落ちている要因ではないかな。
そ、そうですか…。
今の布施さんに足りないのは、明確な転職理由と、海外という厳しい環境でも頑張り続けるという覚悟と自信。この2つがあれば、一本筋が通ります。

うーん…なんと答えればいいのか…海外で働くことに対する想いはすごくあるんですけど、言葉にできなくて…。
例えばですが、私が人事だったら、こんな言い方をされたら納得感がありますね。…長く海外営業を経験し、日本の技術を世界に広めるのが私の使命だと思ってやってきました。でも、残念ながら日本製品が負けているエリアがある。それは、営業力が弱いからだと思っています。現地で各国の文化やニーズをしっかりつかみ、それを日本の優秀なエンジニアに伝え、世界に評価される製品を作り出せるよう尽力したい。だから敢えて自分は海外に出て、世界市場を開拓していきたいんです…とかね。
そうです!まさにそういう思いです!顧客のニーズを正確につかんで、製品に反映させることができたら、もっと売れるのにってずっと思っていました。…確かに、今のように言われたら、すごく納得感がありますね。何でこう言えなかったんだろう…。
それはよかった。先ほど、布施さんがおっしゃっていたことから、裏にこういう思いがおありなのではないかなと推測したんですよ。顧客の要望にこたえたいとか、さまざまな国を経験したいとかね。転職に対する自分の想いを、もっともっと掘り下げれば気づけたと思いますよ。加えて、「時差があって肉体的に辛いし、スピーディーに対応できないから、顧客の近くで働きたい」というのも、少し言い方を考えたほうがいいですね。確かにその通りなのでしょうが、時差があり、要望にスピーディーに対応できない中でも、顧客のためにどんな工夫を凝らしたのかが全く見えてきません。
そうですね…(熟考)。常に、顧客の「真の要求を探る」ように心がけています。その結果、中国の競合会社にコンペで買ったことがあります。競合のほうが圧倒的に価格は安いのですが、仕様や納期などについて顧客からの要望をそのまま受け入れるのではなく、顧客の競合会社も調べたうえで「もっとこういう仕様も加えたほうが競合優位性が上がるのでは?」などと提案した結果、当社を評価してくださり、大型受注につながりました。
いいエピソードじゃないですか!顧客のことだけでなく、競合会社のことまで調べて顧客の「真の要望」を探り、それに沿って提案するなんて、なかなかできることではありませんよ。こういうことをアピールしないと!

…志望動機だけでなく、自分の強みもうまくつかめていませんでした。
今からでも遅くありませんよ。まずは、今の志望動機と強みの部分を、きちんと書類の段階で伝えてください。今よりもさらに書類通過率が上がるはずですし、面接でもこの志望動機、強みを中心に質問されますから、布施さんの想いも伝えられるでしょう。今の会社を辞めていないのも、「厳しい環境下で、顧客の真の要望をつかむために頑張り続けているんだな」と好印象を与えますよ。自信を持って、転職活動に臨んでくださいね!
うまくまとまっていなかった転職に対する想いを、言語化できました。自分の想いをもっと掘り下げるべきでしたね。面接ではいつも、通り一遍のことだけ聞かれて、大して盛り上がることなく終わってしまっていましたが、今後は書類の段階からしっかり想いを伝えたいと思います。(布施さん)

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