転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 社会人4カ月目、自分のやりたいことが見えなくなっている
(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2012年8月1日
八代紗枝さん |
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大学で医療を学んだ後、この春に製薬会社にMRとして就職。しかし長時間労働に耐えきれず2カ月目に倒れ、退職を余儀なくされる。「体力勝負」ではなく、もっと頭を使う仕事に就きたいと考えているが、やりたいことが何なのかわからなくなっている。 | |
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大学で医療を学び、この春に製薬会社にMRとして就職しました。しかし、毎日長時間勤務で、ひどいときは20時間働くこともあり、2カ月で体を壊してしまったんです。休職期間が1カ月以上に及んだため、自主退職を余儀なくされました。今は体調も戻ったので、再就職に向けて活動しているのですが、なかなか内定が得られません。
1日20時間勤務ですか…ハードすぎる職場でしたね。次はどのような仕事に就きたいと思っているのですか?
前職を経験して、自分には「訪問回数がモノを言う体力勝負の仕事」ではなく、「もっと頭を使い、自分の知恵や工夫を活かせる仕事」が向いていると思ったんです。大学時代も研究に没頭していましたし、忙しくても頭を使う仕事だったら苦にはなりません。そこで今は、医療系の知識を活かせそうなマスコミの編集職や、大学時代に取得した簿記2級の資格を活かせる経理・財務職に応募しています。でも、あまり結果が芳しくなくて…。
どんな状況なの?
職歴が浅いうえに、体を壊して辞めているので、不利な状況だと自覚しています。そのため、企業規模などは問わず未経験を歓迎している求人には積極的に応募していますし、転職エージェントから紹介された求人にはあまり知らない業界、企業であっても応募しています。でも、書類は通過するのですが、「ポテンシャルが高いのに、なぜうちに応募するの?もったいない」などと言われてしまうんです。うまく返答できなくて、自信がなくなってきたし、だんだん何がやりたいのかもわからなくなってきました…。
なるほど。(応募書類を見ながら)八代さんはかなりの難関大学のご出身ですね。簿記2級など資格もいくつかお持ちで、英語力もTOEIC820となかなかのレベルです。確かに、「八代さんはポテンシャルが高すぎるから、うちに来てもギャップを感じてすぐに辞めてしまうのでは」と不安に思う企業も、多いかもしれませんね。
どうすればいいのでしょう…。
辛い経験をされた後だから仕方ないのかもしれませんが、転職先に対する視野が狭まりすぎているような印象を受けますね。今一度、自分が何をしたいのか、何に向いているのか、一緒に整理をしてみましょう。そうすれば解決の糸口が見えてくるかもしれません。
八代さんが「やってみたい仕事」「やりたくない仕事」はどんなものですか?「○○職」という言い方でなくて、漠然とした表現でいいですから、どんどん挙げてみてください。
ルーティンなのに長時間労働を強いられる仕事は避けたいですね。前職は、訪問回数をとにかく増やして、顧客に好かれないと成り立たない仕事でした。それも重要な仕事だとは理解しているのですが、自分には合わないと痛感しましたし、何より体を壊してしまったのでもうやれる自信がありません。ただ、だからといって「9時〜17時で帰りたい」わけではありません。頭を使って何かを生み出したり、PDSを回しながら周囲を巻き込み効率よく進められる仕事であれば、忙しくても耐えられると思っています。もともと、学生時代からリーダー気質で、自らアイディアを練って企画を立て、周りを動かしまとめ上げるのが得意でした。
「ルーティンではなく、自ら頭を使ったり、PDSを回す仕事がしたい」のであれば、いろいろな考え方ができます。比較論ですが、営業の仕事でいえば、扱う商材が有形商材だったり「営業の裁量では変えようがない商品」の場合は、比較的ルーティンになりやすいかもしれませんね。薬以外にも、不動産や金融商品などがそれに当てはまります。顧客のもとに通いつめ、信頼関係を構築しながらニーズを引き出し、それに合致する商品を営業するというスタイル。おそらく八代さんは、苦手意識が強いと思います。一方で、経営コンサルティングや、パッケージ化されていないITなど、形がなく、顧客の課題をじっくりヒアリングしてカスタマイズしなければ成り立たないモノの営業だったら、ありなのではないですか?
確かにおっしゃる通りです。営業自体は、嫌いではありませんから。
角度を変えればこんな見方もできます。物事を「上流〜下流」で考えると、「上流」にいるほうがより頭を使ったり、周りをまとめ、率いる役割になり、「下流」のほうが上流に左右されやすい傾向があります。どちらも産業構造では重要な役割を担っていますが、リーダー気質であり自ら頭を使って動きたいという八代さんが目指したいのは「より上流側」なのではないかと感じました。そう考えると、もっと応募する業界や職種の幅が、広がってきませんか?
なるほど…こう考えると、今まで視野が狭かったなと感じます。社会人になってすぐの挫折で、自分に自信が持てなくなっていたので、浅い経験でも活かせそうなところ…という視点だけで考えていました。
いえいえ、もっと自信を持ってください!八代さんはまだ24歳と若く、ポテンシャルが何よりの武器。会話のキャッチボールもうまく、話をしていて頭の回転のよさを感じますから、好感を持つ企業は多いはずです。まずは視野を広げて、自分に合うと思う企業、仕事にはどんどん応募してみてください。さまざまな企業と触れ合う中で「自分が活躍できる場」がきっと明確になってきますよ。焦らず、気負わず、自分のポテンシャルを信じて頑張ってください。
「こんな経歴でも活かせそうで、受け入れてくれそうなところ」という視点でしか見ていませんでした。大学の同期が各企業で頑張っているのに自分だけ…という思いもありました。でも今回のカウンセリングで視野が広がりました。もっと自分の可能性を信じて、前に進もうと思います。(八代さん)
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- 伊藤理子
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