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(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2012年7月11日

![]() 白石玲菜さん |
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この春に大学を卒業し、化学品メーカーに就職。総務部門に配属されたが仕事にやりがいを見出せず、入社3カ月にしてすでに転職を考えている。しかし、社会人経験自体が浅いため、何をアピールしていいかわからず、書類や面接対策を練ることができない。 | |
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この春に大学を卒業し、化学品メーカーに就職しました。入社して、まだ3カ月ですが、もう辞めたいと思っています…。ただ、転職活動しようにも、アピールするものがなくて困っています。どうすればいいでしょうか?

そもそも、なぜそんなに短期間で会社を辞めたいと思ったの?
大学の専攻は英文科で、化学品は全くの畑違い。配属は総務とはいえ、全く興味が持てない分野の会社にいることが苦痛になってきたんです。自分の働きが、社会への貢献につながっているとも、どうしても思えなくて…。だから、公共団体に転職すれば、社会に貢献している実感が得られると思っています。
うーん。公共団体で働いているというだけで、社会貢献を実感できるとは思えないけどなあ…。
わかっています。今の会社で扱っている化学品だって、世の中になくてはならないものを生み出しているのだと思います。でも、どうしても興味が持てなくて…。だから社会貢献できている実感も湧かないんです。
では、そんなに興味が持てない分野に就職してしまったのはなぜ?
就職活動を始めたのが大学4年の12月とかなり遅かったので、応募できる会社が少なかったんです。内定をもらえたのは今の会社だけで、それも卒業式の直前にようやく決まったような状態でした。ちなみに12月までは、卒論に打ち込んでいました。4年間の勉強の集大成だから、どうしても納得のいくものにしたかったんです。でも、安易に就職先を決めてしまったことを、今では後悔しています。就職したばかりの会社を、こんなに短期間で辞めて転職しようとすること自体、企業としてはマイナスイメージを持ちますよね?
いえ、それよりも、転職理由が後ろ向きで、「次の環境では何がしたいのか」が見えてこないことのほうが気になりますね。
…そうですか…?

まず、心配されている「アピールできるものがない」ことについてですが、気にする必要は全くありません。どの企業も、社会に出てわずか3カ月の人に、スキルなどは求めていません。ほぼ新卒者と同じ評価で、若さとポテンシャルが最大の武器になります。ただ、「今の会社をわずか3カ月で辞めてまで、やりたいこととは何なのか?」を伝えることが大事です。しかし、そこで「社会貢献したいから、公共団体」と言うと、短絡的にモノを考え、行動するタイプに思われてしまう恐れがありますね。もっと自分の中で「やりたいこと」を整理する必要があると思います。公共団体以外に「こんな仕事だったらやってみたい」と思えるものはありませんか?
うーん…文化や芸術に興味があるので、それに関わる仕事だったら入れ込めると思います。あとは、調査や研究のような仕事も得意だし、やってみたいですね。卒業論文の制作では、過去の文献をいくつも調べて、ある作家について研究し尽くしたので、1つのテーマをコツコツ調べ上げるのは向いていると思うんです。
いいですね。先ほどよりも、具体的になってきました。その調子で、やってみたいことをじっくり考えてみてください。…ふと思ったのですが、先ほど「化学品は社会に貢献しているイメージが湧かないから、興味が湧かない」とおっしゃっていましたが、例えば扱っている商品が身近な一般消費財だったら、興味を持てるのではないかな?例えば、食品とか文房具とか、トイレタリー製品とか。
あ、そうかもしれません!そういう会社の事務職だったら、やりがいを持てそうな気がします。
やりたいことが、明確になってきましたね。文化・芸術関連の求人はそう多くないですから、一般消費財メーカーの事務系まで広げると、応募先が広がるでしょう。次は、「3カ月で会社を辞めてまで、その応募先企業を志望する理由」を考えましょう。いくら若くてポテンシャルがあるとはいえ、短期間で会社を辞める理由は、どの企業も気になるところです。
正直に「化学品は合わないと感じた」と伝えるわけにはいかないし…どうすればいいでしょうか?

「化学品が合わないと感じた」という思いは、言い換えれば「化学品の会社に勤めたからこそ、『自分が興味を持てる分野の会社で働きたい』という思いに気づいた」ということですよね?そして、白石さんの場合、安易に就職先を決めたのではなく、「就職先を選んでいられない状況だった」ことが明確です。4年の12月まで卒業論文に打ち込んでいて、就職活動の時間がほとんど取れなかったこと、その中でご縁があった会社に入社したものの、入ってみて「心から興味を持てる分野の会社で働きたい」「興味があるのは○○分野だった」と気づいたこと、早い段階でこの思いに気づけたからこそ、すぐに軌道修正しようと思ったこと…この一連の過程を、書類の中でも面接でも伝えましょう。短期間で辞める理由、新しい会社を目指す理由に1本の軸が通ります。
なるほど、確かにその通りですね。
白石さんは、会話のやり取りが的確で、頭の回転の速さとまじめな人柄が伝わります。「辞める理由」「次の職場を志す理由」を十分に整理できれば、内定はそう遠くないはずですよ。
自分の中であいまいだった「何を軸に次の仕事を選べばいいのか」が、Dr.門野と話す中で明確になりました。軸がクリアになったことで視野も広がりました。今日の発見を、応募先企業選びや書類、面接に活かしていきたいと思います。(白石さん)

- EDIT
- 伊藤理子
- DESIGN
- マグスター
- ILLUST
- もりいくすお
- PHOTO
- 平山諭