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(株)リクルート 門野友彦

1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。

2012年5月23日

今週の相談者

イベント制作の仕事に就きたいが、一次面接が突破できない松島さんの場合

松島雄大さん
(仮名・34歳)

プロフィール
レコード会社や音楽制作会社数社に勤務。主にアーティストのプロモーション活動や音楽イベント制作に携わる。音楽以外のイベント全般に関わりたいと前職を退職し、転職活動をスタート。書類は高い確率で通過するが、一次面接が突破できない。
現状
  • ・イベント制作会社のディレクター職は、求人案件が少ないので、規模にこだわらず片っ端から応募している。しかし、一次面接以降に進めたのはゼロ。
  • ・音楽イベントはいくつも手掛けたが、それ以外のイベント制作に関わることで、さらにいろいろな人と関わりを持ち自分の世界を広げたいと考えた。しかし、やはり音楽イベントだけの経験ではスキル不足なのだろうか?
相談者:松島さんDr.門野

診断スタート

書類通過率は8割。しかし一次面接ですべて落ちてしまうのはなぜ?

長年、音楽制作会社に勤めてきました。アーティストのプロモーション活動がメイン業務ですが、その一環で音楽イベントを多数手掛けてきました。仕事にはとてもやりがいを持っていたのですが、今年に入って会社の事業方針が変わり、アーティストのマネジメント業務に専念することになってしまって。数年前から「音楽以外のイベント制作にも関わってみたい」という思いがあったので、これを機に退職してイベント会社に転職しようと決意。今年4月から本格的に転職活動を始めましたが、一次面接から先に進めません。

今までに何社ぐらいに応募しましたか?

10社ほどです。求人数自体があまり多くないので、転職サイトで見つけたイベント会社の求人にはほぼすべて応募しています。企業規模にも、手掛けるイベントのジャンルにもこだわりはありません。10社のうち、書類は8社通過したのですが、一次面接通過はゼロなんです…。

10社中8社も面接に進めるなんて、素晴らしい!しかし、その先に1社も進めないというのは残念ですね。その原因を、探っていきましょう。…面接では主に、どんな質問をされますか?

職務経歴と、志望動機、そして「イベント業界に関わった経験があるか?」が多いですね。職務経歴を聞かれたら、応募書類に書いたことをなぞる感じで話しています。志望動機は、「音楽や映像イベントを通して、イベント制作に興味を持ち、もっと違うジャンルのイベントを手掛けてみたいと思うようになった」というようなことを話しています。そして、イベント業界経験についてですが、これは素直に「ありません」と答えています。アーティストのプロモーション活動の一環として音楽イベントには関わりましたが、メイン業務ではありませんでしたし、数あるイベントのほんの1ジャンルに携わっただけです。一方の応募先はどこもイベント制作の専門会社で、私程度の経験値では胸を張って「経験があります」とはとても言えません。この質問の流れで、「イベント業界のことはわかる?」ともよく聞かれますが、「正直言ってわかりません。でも興味があるし、ゼロから学ぶ意欲はあります」と答えています。

うーん、それでは弱いなあ。憧れだけで応募している人のように見えてしまいますよ。

そうですか…。でも、胸を張って「業界のことはわかります」とは言えないし…。

これが原因!

「今まで何をやってきて、次は何に挑戦したいのか」の流れが見えず、「憧れ転職」に感じてしまう。新しい仕事に対する「想い」と「本気」を、整理して伝えよう

そもそもなぜイベント制作会社に転職したいと思ったのですか?長年、音楽業界にいらっしゃったんだし、「音楽イベント以外に関わってみたいから」という理由がどうしても腑に落ちないんですよね。「イベント制作ならばどんなジャンルでもいい」とおっしゃいますが、例えば学術的なイベントや企業イベントなどもありますよ。音楽とは全くタイプが違いますが。

イベント制作であれば、ジャンルは本当に何でも構いません。…音楽イベント制作は、とても好きな仕事でした。たくさんのお客様に楽しんでもらえているということを、肌で感じることができるからです。そのために、事前準備は入念に行いました。イベント制作は、その99%が準備で、当日の仕事は1%です。手掛ける音楽ジャンルに詳しい人、使用する会場でのイベント経験が多い人などにヒアリングを行って、演出方法を100は考え、それをアーティストの個性などに合わせて時間をかけて1に絞り込んでいくんです。その結果、たくさんの笑顔に出会えた時は、心から喜びを感じますね。でも、このまま音楽イベントだけを手掛けていたら、「音楽が好きな人」だけしか楽しませることができないじゃないですか。もっといろいろな人に、喜んでもらえるスキルを身につけたいんです。

なるほど、そう言われれば納得感がありますね。そして、松島さんが本番に向けて努力を惜しまない人だということもわかります。ちなみにヒアリングって、何人ぐらいの人に行うのですか?

イベントの規模にもよりますが、多くて10人程度でしょうか。音楽業界には100人以上の人脈があるので、「このジャンルならば○○さんに聞こう」とパッと顔が思い浮かぶんです。みんな本当に頼りになります。

100人以上の人脈ですか、それはすごい。松島さんがそれだけ皆さんに信頼されているということですよ。信頼していない人から「ヒアリングさせて」と言われても、断るでしょ(笑)。立派なPR材料になりますよ。

そうですか…?

そもそも、松島さんは立派な経験をお持ちです。事前準備を入念に行って、たくさんの演出方法を考え、最良の方法に絞り込んでいく。この経験は、どのジャンルのイベントにも応用できます。そして、音楽や映像は、どんなイベントでも必要です。松島さんの知識やスキルは、どこに行っても十分に活かせるはずです。実際、そのように思ったからこそ、企業は松島さんを面接に呼んだのでしょう。なのに、「イベントに興味があるしゼロから頑張りたい」など、まるで全くの未経験者が言うような志望動機を聞かされたら、「単なる興味でうちに来られても困るし、たとえ入社してもやっぱり音楽業界に戻りたいなどと言い出すのではないか」と思われてしまいますよ。

うーん、言われてみれば、今まで自分の強みはほとんどアピールしてきませんでした。音楽や映像分野しか知らないので、ゼロから学ぼうという謙虚な姿勢を示すのがベストだと思い込んでいました。

大切なのは、「今まで何をやってきて、それを踏まえて次の環境では何をやりたいのか」を伝えること。音楽イベントの制作であれば、実績も持っているし人脈もあるし、成功させる自信もあるのでしょう?ならば胸を張ってアピールすべきです。そして、音楽イベントの制作経験を積んで、たくさんの人を笑顔にしてきたからこそ、「もっとさまざまな人を笑顔にしたい」と思ったんですよね?こう言われれば、話に一本筋が通りますし、新しいジャンルに挑戦したいという松島さんの本気度の高さが伝わります。

なるほど、そう伝えればいいのか…。

松島さんはあまり自分の感情を表に出さないタイプだし、ちょっと口下手な所もあるので、応募書類に書いておくとなおいいでしょう。今の書類のままでもいいのですが、書いておくことで面接でのやり取りがよりスムーズになります。

わかりました。書類の段階から、改めて見直してみます!

診断を終えて…

イベント制作への強い想いはあったものの、自分の言葉にまとめきれていませんでした。だから通り一遍の志望動機なり、自己PRになってしまっていたのですね。Dr.門野とのやりとりで想いが整理できました。これからは自信を持って面接に臨めそうです。(松島さん)

EDIT
伊藤理子
DESIGN
マグスター
ILLUST
もりいくすお
PHOTO
TAKE

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