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(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2012年3月14日

![]() 田代正芳さん |
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システム開発会社に入社し、顧客企業のデータセンターでサーバー、ネットワーク機器の保守運用、監視業務を担当。しかし、夜勤の多さに疲れ、入社7カ月目の昨年9月に退職。インフラ系の職種中心に応募しているものの、一次面接の段階で落ちてしまう。 | |
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大学卒業後、エンジニアを目指して新卒者就職応援プロジェクトに参加し、半年間CCNA、LPICの資格取得講座やサーバー構築の研修を受けました。その後、システム開発会社に入社し、顧客企業のデータセンターに常駐してサーバー、ネットワーク機器の保守運用、監視業務を担当しました。でも、夜間勤務が多く、疲れ果ててしまって…。1週間連続夜勤を任されることもあり、体がついていかずに昨年9月に退職。2カ月ほど休養し、その後、転職活動を始めたのですが、書類は通るものの一次面接で落ちてしまうんです。
ご自身では、なぜ面接で落ちているのだと思いますか?

不満を抱えたままで前職を辞めたので、「次もIT業界でいいのか?」という迷いがあるせいだと思います。転職活動を始めた当初は、別の仕事に挑戦しようと思って業界を選ばず応募してみたのですが、書類通過率がいまいちだったので、多少なりとも経験が活かせるIT業界に戻したという経緯があります。そのあたりの気持ちのブレが、面接官に伝わっているのではないかなと…。
なるほど、その可能性は高いですね。では、そもそもなぜ田代さんは大学卒業後、エンジニアの道を志したのですか?大学の専攻は、経済学部ですよね?
父がインフラエンジニアなんです。父の背中を見ているうちに、いつしかエンジニアに憧れるようになって、「この道に進もう」と決意しました。研修を受ける過程でネットワーク構築に興味を持ち、「もっとこの世界を知りたい!」とも思うようになりました。でも、前職を経験したことで、本当にやりたいことだったのかわからなくなってしまって…。
では、角度を変えて考えてみましょうか。「やりたい仕事がわからない」のであれば、「やりたくない仕事」を挙げてみるといいでしょう。いやだと思うことを列挙し終わったあとで、「挙がってないもの」を洗い出せば、「やってもいい仕事」が浮かび上がるはずです。例えば、営業職とか販売職はどうですか?
うーん…営業はちょっと想像がつかないですね…。販売は、学生時代にアルバイトをした経験があるのですが、笑顔をつくるのが苦手です。
ではサービス系の職種も難しいかな?
そうですね…(熟考)…うーんそうやって改めて考えると、やっぱりIT系が一番しっくりきます。ただ、サーバーの保守運用や監視ではなく、できればやはりネットワークの構築に関わる仕事に挑戦してみたいです。
IT業界は、どんな仕事でも「昼夜なく働かねばならない」場面がありますよ。夜通しバグを潰したり、カットオーバー前は徹夜続きだったりします。それでもいいのですか?
そう考えると、前職は夜寝られないことが辛かったというよりは、「時間を忘れるほどに没頭できる仕事」ではなかったのが辛くて。出向先で同じ仕事に就いている先輩社員の話を聞くと、もう勤務して5年になるのに実機に触れたことがない人がいて、「ここにいてもネットワークの設計構築スキルなんて身に着かないだろうな」と思ったんです。そうなると、もう仕事がとことんイヤになってしまって…。
田代さんは本当は、IT業界が好きだし頑張りたいという気持ちもあるんですよ。でも、「前職が辛かった」という事実にとらわれ過ぎてしまって、本当の気持ちが見えなくなっているのではないかな。ご自身の気持ちを今一度整理し、アピールし直せば、状況は変わってくると思いますよ。
本当ですか??
先ほど、「時間を忘れるほどに没頭できる仕事ではなかった」、「ここにいてもネットワークの設計構築スキルなんて身につかない」とおっしゃっていましたね。それは裏を返せば、「スキルアップできる環境に移って仕事に没頭できるのであれば、たとえ昼夜なく働くことになっても厭わない」ということではないですか?

確かに、その通りです。研修でLinuxについて学んだとき、なんて汎用性が高いんだと感動して(笑)、新しい技術をもっと知りたい、身につけたい!って思いました。そういう環境であれば、頑張れたと思います。前職では、トラブルの原因追及は別の人の仕事だったのですが、エラー内容とログは見ることができたので、自分なりに原因を分析したりして…でも物足りなかったですけどね。もともと物事の原理を考えるのが大好きで。IT業界に惹かれたのも父親のせいだけでなく、そういう自分の「突き詰めて考える性格」も起因しているのかなって。
田代さんらしい言葉がようやく出てきましたね!「物事の原理を考えるのが好き」なんて、すごく「らしい」ですよ。個性が伝わるし、ITを究めたいという意欲を示すこともできます。
確かにそういう気持ちはあります。中でもネットワーク構築の分野を突き詰めたいですね。
ではそれを前提に、応募先も考えましょう。「ネットワーク構築に関する技術が身につけられる環境かどうか」で応募先を選び、応募するんです。今までは、インフラ系の職種に幅広く応募していたのですよね?そこをまず改めれば、面接でも自信を持って自分の思いを伝えられますよ。
ただ、前職はわずか7カ月で辞めています。一度はこの世界から離れようとしたことは、マイナス評価ではないですか?志望動機も、「物事の原理を考えるのが好きで、ネットワーク構築に興味を持った」という内容では、説得力がないですよね…。
そこは「若さ」がモノを言います。田代さんはまだ25歳とお若いうえに、エンジニアとしての素地もある。「思い」と「覚悟」が伝われば、ポテンシャルを感じてもらえます。そもそもネットワーク構築の分野は若手が足りませんからね。「腹をくくって一から学びたい」と伝えれば、それだけで好印象を与えられますよ。
具体的には、どのように伝えればいいでしょう?

私だったら、このように伝えるかな。「もともと私は、物事の原理から考えるのが好きで、IT業界に惹かれました。前職のサーバー、ネットワーク機器の保守運用、監視業務では、例えばこんな障害に対応し、自分なりに原因を追究する努力をしました。しかし、私が最も興味を覚えたネットワーク構築に関して学べることは少なく、夜勤の多さも響いて悪循環に陥ってしまい、退職して自分自身を見つめ直そうと思ったんです。しかし、一度離れて熟考した結果、やっぱりネットワーク構築について知りたい、学びたいという思いの強さに気づきました。今度こそはどんなに大変でも頑張り抜き、技術を身につける覚悟です」…どうでしょう?しっくりきますか?
しっくりきます!改めて、夜勤が嫌だったのではなくスキルを身につけられない環境が辛かったんだと再確認できました。
もう迷うことはなさそうですね。これを数行程度にまとめて、応募書類の冒頭に入れておくと、さらに書類通過率が上がるはずですよ。そして、本当の気持ちに気づけたのですから、面接での話がぶれることもなくなるでしょう。
「前職が辛かった」ことに気を取られ過ぎて後ろ向きになっていたのですね。ITの仕事に対する自分の思いを、改めて見直すことができました。これからは自信を持って、面接に臨めそうです。応募先も、ネットワーク構築が学べる会社に絞ります。(田代さん)

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- 伊藤理子
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