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(株)リクルート 門野友彦

1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。

2012年2月29日

今週の相談者

経験を活かしてヘルプデスク業務に就きたいが面接で落ちてしまう矢部さんの場合

矢部遼一さん
(仮名・30歳)

プロフィール
ITソリューション会社で業務アプリケーションの管理とヘルプデスクを4年間担当。その後、人材派遣会社でメーカー試作品の品質管理や動作確認などを担当。昨年7月に退職し、ヘルプデスク業務を中心に応募しているが、一次面接の段階で落ちてしまうことが多い。
現状
  • ・転職回数は1回。1社目で経験したヘルプデスク業務にやりがいを感じていたため、その仕事に戻りたい。しかし、書類はある程度通過するものの、一次面接で落ちてしまう。
  • ・ヘルプデスク業務は、初めの会社で経験していた業務。少しブランクがあるうえ、「なぜそれがやりたいのか」を明確に説明できない。どのようにアピールすればいいのだろうか。
相談者:矢部さんDr.門野

診断スタート

書類選考通過率は4割。しかし一次面接通過はゼロ…

1社目のIT企業には4年間勤務し、客先に常駐して業務アプリケーションの管理とヘルプデスクを担当しました。その後、2社目の人材派遣会社に転職し、メーカーの試作品の品質管理や動作確認などのテストを4年間担当。しかし、不況で受注が減り、先行き不安から昨年7月に退職しました。以前担当していたヘルプデスク業務にやりがいを感じていたので、またその仕事に戻りたいと思い転職活動を続けていますが、書類は通るのですが一次面接を突破できません。

今までに何社ぐらいに応募しているのですか?

60社以上に応募して、書類通過率は4割程度です。しかし、一次面接通過はゼロです…。

書類通過率は高いのにねえ…。ご自身では、何が原因だと思う?

一番感じているのは、学歴の部分です。アニメやゲームの専門学校を出ているのですが、部長クラスの人が面接官の場合、必ず「何でこの専門学校を出たのにIT系に進んだの?」と聞かれることが多いですね。「勉強する中で、アニメやゲームは趣味にとどめ、一般企業に進もうという気持ちに変わった」と伝えているのですが…。あとは、「4年単位で会社を辞めているけれど、うちに入っても4年で辞めてしまうのでは?」と聞かれることもあります。そんなことはありませんと答えていますが、「書類からはそう見えるよ」と言われて…。

なるほど。矢部さんはヘルプデスクの仕事に就きたいんですね?

はい。1社目でメーカーに常駐してヘルプデスクを担当していたのですが、その仕事にとてもやりがいを感じていました。顧客の疑問や質問に対応し、感謝される。こんな仕事に就きたいです。

ほかにも業務アプリケーションの管理や、試作品のテストなどにも関わっていたとのことですが、その中でもなぜヘルプデスクの仕事が好きなの?

単純に、人と関わるのが好きなんです。ほかの仕事は、あまり他人とは関わらない仕事なので。

うーん。「人と関わるのが好き」というのは、就活生みたいな動機ですね。それを面接の場でも言っているとすれば、面接官の立場に立てば、先ほどのような質問をした理由もなんとなくわかります。

え?だめですか…?

これが原因!

仕事に直接関係ない自己アピールは「仕事を任せられない」印象を与え逆効果。仕事へのこだわり、スタンスを示すことで志望職種への真剣度をアピールしよう。

職務経歴書の自己PR欄を拝見すると、業務経験のアピール以外に、趣味のアピールもしていますね。「プライベートでゲーム関係のレクリエーションを企画し、100人規模の参加者を集めて無事に成功させたこと」など。これらは仕事には直接つながらないPRですよね。

確かにそうです。…でも、自分としては一つの大きな事を成し遂げたという経験だったし、「人との関わりを大切にする」というアピールにつながると思ったのですが。

とはいえ、「人との関わりを大切にする」こととヘルプデスク業務とは、直接的には結びつきませんよね。企業としては、矢部さんが仕事に対してどう向き合い、どんなスキルを身につけてきたのかが知りたいのです。仕事にプラスになる内容ならいいのですが、関係ないことをアピールされても仕事ができそうな印象は受けません。そういう視点で卒業した学校名を見ると、「この人は、仕事よりも趣味を大事にする人なのでは?」という印象が強まってしまう。だから突っ込まれたんだと思います。加えて、「人と関わるのが好きだから、ヘルプデスク業務に就きたい」と学生のようにアピールされても、仕事を任せられるイメージが湧きません。

そうなんですか…。

矢部さんはまだ30歳だし、転職回数は1回のみ。それぞれ4年以上勤めていますし、経歴的には問題ありません。だから書類通過率が高いんです。しかし面接で落ちてしまうのは、「本当にヘルプデスクの仕事がしたいのか」が不明瞭だから。この仕事を志望する理由を、もっと明確にすべきです。…自己PRのところに書いてある、「40人のヘルプデスクメンバーの年間平均作業数が約150件であるのに対し、私は308件の結果を出した」とありますね。趣味の記述に埋もれていましたが、これをもっとアピールすべきでは?なぜ、周りの人の2倍も作業をこなせたの?

作業要請が来たら、電話対応だけでなく、率先して現場に足を運んでいたからだと思います。

それはなぜ?

単純に、仕事が楽しかったんです。自分が持っている業務アプリケーションの知識やPCスキルで問題を解決すると、皆が喜んでくれることが嬉しかったし、「前回すぐに対応していたから矢部さんにお願いしたい」と名指しで頼ってくれる人もいて、とてもやりがいを感じました。

ほう、それはすごいですね。指名が来るということは、矢部さんの仕事は早いだけでなく、精度も高かったのでは?

確かに、精度にも自信を持っていました。サポート後に別のトラブルを誘発することは避けたかったので、オペレーションミスの排除は徹底しました。自分で手順書を作り、迅速にトラブルに対応しつつも作業を三度、四度と見返して確認するようにしました。新人時代に上司に、「作業中は自分自身を常に疑え。疑う部分がなくなったときに、初めてEnterキーを押せ」と言われたことが心に残っていて、ずっとそれを実践しています。

矢部さん、いい仕事をしてきているじゃないですか!自分に慢心せず、常に疑う。だからこそミスが再発しないし、結果的に迅速に仕事ができる。だから感謝されるし、仕事が楽しくて、仕事の依頼がどんどん集まるようになった。…ヘルプデスクの仕事にとってとても大事なことであり、矢部さんの「強み」と「らしさ」が同時に伝えられるエピソードです。ここでの経験が、品質とスピードへのこだわりにつながっているとアピールすることもできます。

なるほど…。

2社目では、PLも経験しているのですね。ほう、30人ぐらいのプロジェクトを束ねた経験もあるのですね。PLとして、こだわってきたことはありますか?

試作品の動作確認などテスト業務がメインなのですが、メンバー全員が全く同じ手順でテストをするとは限りません。試作品によってどこにどんな機能や情報があるのかもバラバラです。過去に携帯端末の試験を担当したときに、機能の一つを見落としてしまい、テストをせずにOKを出してしまったことがあり、大問題になったことがあるので、私が初めにすべての機能を確認して、テストのフローチャートを作るようにしました。それにより、メンバー全員が機能を理解し、同じ目線で作業ができるので、ミスがなくなりテストのクオリティーも上がりました。

これもいいエピソードじゃないですか。1社目でのご経験が、品質維持、ミス防止の徹底という姿勢につながっているのですね。…これらを書類に書かずして、何を書くというのです!(笑)

PLの話はともかく、1社目の話は少し古いかなと思って…。

でも、その1社目の仕事に就きたいわけでしょ?そしてそこでの経験が仕事の原点になっている。ならば迷わず、自信を持って書類に記してください。そのうえで、「1社目での経験が、私が仕事をするうえでのすべてのベースになっています」とアピールされたら、安心して仕事を任せられそうですよね?

確かに…おっしゃる通りですね。さっそく書き直します。

診断を終えて…

仕事において努力は続けてきましたが、資格はないしブランクもあるしで、自分を低く見ていました。でも、Dr.門野と話す中で仕事にこだわり、真剣に向き合ってきたことを再確認できました。もっと自分に自信を持って、業務経験をアピールしたいと思います。(矢部さん)

EDIT
伊藤理子
DESIGN
マグスター
ILLUST
もりいくすお
PHOTO
TAKE

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