転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > SEとして5回目の転職を志すが、書類落ちが続いている
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(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2012年1月25日

![]() 益田佳樹さん |
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CADオペレーターからSEに転身し、現在5社目。このほど子会社への出向が決まり、業務内容や待遇が大幅に変わることから5回目の転職を決意。社内SEや自社製品の開発など、自社内で腰を据えて働ける環境を探しているが、書類がなかなか通過しない。 | |
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SEとしてスキルアップを目指して転職を重ねてきました。前回の転職は昨年の夏。客先に常駐するのではなく、もっと自社に紐づいた仕事をしたいと考え、自社のシステムや自社の製品やサービスの開発に携わるために転職しました。自社で運営するWebサイトの開発に関わり、充実した日々を過ごしていたのですが、このほど子会社に出向することが決まり、仕事内容も待遇も大幅に変わることが判明して…。5回目の転職活動を始めています。ただ、今までに20社ほどに応募したのですが、面接に至ったのは5社。もっと通過率を上げたいのですが、どうすればいいでしょうか?

20社中5社はまずまずの通過率ですよ。自信を持ってください。
そうですか…。でも、書類通過した会社は社員数10人ぐらいの小規模のベンチャーばかり。自社SEの募集ということで応募したのですが、いずれも客先に派遣されることも多いようなんです。社内SEや自社製品の開発担当者として腰を据えて働きたいという思いがあるので、できればもう少し規模の大きな会社を狙いたいと思っています。でもそういうところには、書類が通らないんですよね。携わった業務ごとに表にして整理し、見やすくまとめているつもりなのですが…。
ええ、とても見やすいと思いますよ。会社名を太字にしてあったり、概要や役割、役職の項目もわかりやすいですね。書類作成能力の高さを感じます。
では、どうすれば希望の会社の面接に呼ばれるようになるのでしょうか?
もし益田さんが採用する側だったら、応募者のどんな情報が知りたいと思いますか?
そうですね…。まずは技術力ですね。どれぐらいのレベルの仕事を任せられるかは知りたいです。あとは、できるだけ長く働いてほしいから、入社してからどのように活躍したいのか、どんなことを目指しているのかも知りたいですね。あとは転職の理由でしょうか。
大きく3つのことが知りたいのですね。では、今の益田さんの書類には、その3つの情報がすべて入っていますか?
あ…。2つ目、3つ目は入っていないですね…。でも、応募書類に転職の理由なんて書いてもいいんですか?
益田さんが採用側だったら、知りたいと思ったんですよね?ならばその気持ちに素直になりましょう。私も入れたほうがいいと思いますよ。
転職回数の多さは、どの企業もどうしても気になるポイントです。ステップアップを目指して転職を重ねてきたのですから、それを書類の段階で説明しておくべきです。また、現在お勤めの会社の勤務期間が短いのが気になります。昨年の夏に入社したばかりなのに、なぜまた転職活動しているのか?飽きっぽい人なのかな…などと不安に思う採用担当者が多いはず。すぐに転職活動せざるを得なくなった理由にも、言える範囲で触れておいたほうがいいですよ。
確かにそうですね…。

また、先ほど益田さんが挙げた2つ目のポイントである「キャリアプラン」も書いておきましょう。なぜ社内SEや自社製品の開発など社内の仕事に関わりたいのか、そし今後何を目指したいのかという部分が判断できないから、書類で落ちているケースは多いと思います。
うーん、それでいうと、社内SEや自社製品の開発に関わりたい理由は、少し弱いのかも。今まで客先のシステム開発に関わって、顧客の要望に振り回され続けてきたので少々疲れたというのと、自社のシステムを守ったり、自社の製品を開発することで、会社に帰属意識を持って仕事がしたいという思いからなんです。
では、「この人に自社のシステムや製品を任せても大丈夫!」と思ってもらうことが大切ですね。…益田さんが仕事において大切にしてきたこと、こだわっていたことは何ですか?
開発の際にはいつも、すべて順調に進んだパターンと、最悪のパターンを想定してのスケジュールの2つを組んで、メンバーに共有するようにしています。客先の要望に振り回され、徹夜で対応するなど痛い目を見たのがきっかけなのですが(笑)。こうすることで、開発途中で何かトラブルがあったときにすぐ軌道修正ができるので、メンバーに負担をかけることがないですし、納期遅れもなくなり余計なコストもかかりません。みんながハッピーになれるので、この習慣は続けています。
なるほど、いいお話ですね!メンバー、顧客、会社、みんなをハッピーにするためにスケジュール管理を行い、ひいては品質管理やコスト管理にもつなげてきたということですよね。これは益田さんならではの「強み」を示せるエピソードですし、志望理由にもつなげられますから、ぜひ書類に書き加えましょう。このエピソードとともに、「今度は会社の顔となる自社製品の開発に挑戦したい。ユーザーに安心して使っていただけるクオリティーの高い製品を開発できる自信がある」と伝えれば、「この人なら任せられそうだ。一度会ってみたい」と思ってもらえますよ。社内SEに応募する場合も同様。会社の事業活動そのものを守る社内SEの仕事は、トラブルを起こさないことが何より重要。さきほどのエピソードが活きるでしょう。

これらのアピールは、書類のどこに組み入れたらいいですか?
1枚目の冒頭に持ってきてください。まずは、過去の職歴のサマリーと今後の方向性をまとめ、ステップアップのために転職して来たことを伝え、その次に今教えていただいた強みを志望理由とともに書き入れてください。初めにこのサマリーを読んでもらうことで、「単なる転職回数が多い人」というイメージは軽減され、「こんなステップを踏み、こんなこだわりをもって仕事に取り組んできた人なんだ」という益田さんならではの個性や強みをより強く印象づけることができます。
わかりました。応募書類を書き直してみます。
中小企業ではなく、益田さんが志望している従業員数百名規模の会社だと、書類選考は現場の開発担当者ではなく、人事担当者が行うケースが多いはず。技術のことばかりが書いてあってもピンと来ず、転職回数の多さや直近の勤務期間の短さなどに目が行ってしまい、落とされたケースも多かったと思います。冒頭にサマリーを入れることで、技術に明るくない人事担当者の心にも残る書類に変わりますよ。
一人で物事を考え取り組むタイプなのですが、Dr.門野と話し合う中で伝えるべきポイントが見えてきたのが収穫でした。システムのプレゼンは得意ですが、自分のプレゼンは難しいですね。アドバイスをもとに自分の売りを見直し、書類を書き直してみます。(益田さん)

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- 伊藤理子
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