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(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2011年12月21日

![]() 重森あかねさん |
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派遣社員として営業事務を担当した後、食料品輸入会社に転職。3年間営業アシスタントを経験した後に営業職に異動して2年が経つが、なかなか実績が挙げられない。営業スキルに自信がないため応募書類で自己アピールができず、書類選考で落ちてしまう。 | |
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派遣社員として営業事務を経験した後に、今の勤め先である食料品の輸入会社に入社しました。3年間営業アシスタントをしていたのですが、2年前に営業職に異動し、現在は百貨店がメイン顧客の問屋に対して営業しています。でも、なかなか成果を挙げられなくて…。環境を変えたくて転職活動を始めたのですが、書類選考を突破できないんです。営業になってまだ日が浅いこともあり、自分の経験に自信が持てず、書類でも、面接でも、自己アピールが消極的になってしまうんです。
重森さんが扱っている食品ブランドは、私も耳にしたことがありますよ。売り上げ状況、厳しいのですか?
スーパー向けは比較的好調なのですが、百貨店向けは厳しくて…。また、社員数70人ほどの小規模な会社なので営業への異動後も研修らしいものはなく、周りの仕事ぶりを盗み見ながら走ってきたので、自分の営業手法が正しいのかどうかわからないのも、自信を持てない理由の一つです。アプローチ方法を変えて相手の反応を見てみたり、提案書のまとめ方を工夫してみるなど、自分なりに努力はしているのですが、なかなか成果につながりません。営業事務、営業アシスタント歴は長いので、そちらだったら自信を持ってアピールできるんですけどね。

今の勤務先には、営業アシスタントとしてお入りになったのですね。どんな仕事をしていたのですか?
営業サポート業務全般です。プレゼン資料や見積書の作成など何でも担当していました。営業担当者に営業活動に専念してもらいたいので、顧客である問屋さんからの問い合わせにはなるべく自分で答えられるよう、商品知識や顧客知識、営業アプローチの進捗状況などを最大限把握するよう心がけました。また、電話にはすぐに出る、早くメールを返す、明るくハキハキと対応する…など、基本的なことではありますが、顧客にいい印象を与えることを意識しました。
素晴らしい心がけですね。「顧客に対して何ができるか」にこだわり続けていたのですね。
はい。当社の商品を買ってくれる問屋さんの存在があるから、会社が成り立っているのだと日々思っています。当社にとって顧客とは、消費者であり、小売店でありますが、直接やり取りするのはそこに商品を売り込んでくれる問屋さん。問屋さんを大切にすればするほど、当社の売り上げにもつながると考えています。
なるほど。きっと、そういう思いと行動が評価されて、営業に異動になったのでしょうね。
そうかもしれません。営業アシスタントから営業に抜擢された例は、過去にありませんし、女性が営業に就いたのも初めて。きっと大きな期待を寄せて営業に抜擢してくれたのでしょうが…その期待にこたえることができていません。
でも、2年間も続けているのだし、ご自身なりに努力や工夫もされている。「営業アシスタントに戻れ」と言われたこともないのでしょう?
ええ、一応…。何度も「辞めたい」と思い、そのたびに抜擢してくれた取締役に相談したのですが、「もう少し頑張れ!」と励まされてきました。
それは「期待されている」ということです。重森さんは、営業成績が挙がらない中で、アプローチを変えたり提案書の中身を見直すなど、自分なりに工夫しています。すなわち、今は「自分ならではの営業の勝ちパターン」を探している最中。そして、重森さんの根底には、「顧客を大事にしたい、顧客の要望にこたえたい」という強い思いもある。試行錯誤を繰り返し、「勝ちパターン」にたどり着いたら、営業成績は一気に上がるでしょう。それを知っているから、会社は重森さんに期待しているのです。もっと自分に自信を持ったほうがいいですよ。
そ、そうですか…。
でも、売り上げにつながっていないのですから、転職の際のアピール材料にするにはちょっと弱いですよね…。
営業ですから、数字の裏づけがあるに越したことはありません。しかし、それがアピールできない以上、「勝ちパターンを見つけるために、○○や△△などさまざまな方法に挑戦している最中。トライ&エラーを繰り返す中で、営業として経験値を上げてきた」と表現するのが、今のベストだと思いますよ。

確かに、トライ&エラーは繰り返してきました。でも、2年間で一通りやってきたつもりで…いまだに成果につながっていないことに焦りを覚えます。いくら努力したところで今の環境では成果が上がらないのではないか…などと考えてしまいます。
まだまだ今の会社でやれることはありますよ。今は自分で知恵を絞って、自己努力している段階ですよね?次は、周りの人に改善ポイントを聞いて、改善を繰り返すといいでしょう。例えば、「この前の提案書はわかりやすかったですか?もっとこういう情報が欲しい、などの要望があったらおっしゃってください」などと顧客に直接聞き、フィードバック内容を直ちに改善する。その改善が受注につながったなど、いい結果を生みだしたら、それがアピール材料になりますし、営業としての強みにもなる。「ヒアリング→改善→提案」を繰り返す過程で、重森さんの提案スキルも磨かれ、改善をひたすらやり切ることで自分にもっと自信が持てるようになるはず。
なるほど!顧客に直接聞いてしまうというのは、いい方法ですね。営業としての前向きな姿勢もアピールできそう。さっそく試してみます。
重森さんの場合は、ヒアリング→改善→提案を繰り返して、ある程度自分に自信が持てるようになってから、転職活動をしたほうがいい結果につながるのではないかな。…そもそも重森さんは、転職で何を得たいの?

得たいもの、ですか。特に思いつきませんね。今よりも成長力のある会社や分野に移ることができれば、もっとスムーズに営業スキルを磨けるのではないかと思ったんです。
うーん、「逃げ」に聞こえてしまいますね。「転職で得たいもの」は、一人ひとり異なります。給料なのか地位なのか、裁量権なのか責任なのか、仲間なのか、顧客からの「ありがとう」の言葉なのか…。そしてそれを今の会社で得る努力はしたのか。ここを明確にしないことには、どうしても志望動機はあいまいになります。書類も面接も、当然ながら通過は難しいでしょう。今はまだ、転職する時期ではないと思いますね。
そうですか…。
まずは、自分に自信が持てるよう、やれる改善をやり尽くしましょう。その過程で、自分ならではの勝ちパターンが見つかれば、仕事が楽しくなるし、営業成績も上がります。営業としてさらにステップアップするための目標も見つかるでしょう。そうなれば、「転職で得たいもの」は明確です。
なるほど!
重森さんは36歳。「転職するならそろそろタイムリミット」と焦る年齢だと思いますが、例えばあと1〜2年、今の会社でヒアリング→改善→提案を続けて、営業力と自信をつけたうえで活動したほうが高く評価されるはず。焦らず今の環境で頑張ってみてください。
顧客からの改善要望には、成長のきっかけがたくさん詰まっていそうですね。今の仕事に対してなかなか明るい展望を抱けずにいましたが、少しワクワクしてきました。できることからどんどん挑戦して、胸を張って転職活動できるようになりたいです。(重森さん)

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