転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 秘書経験を活かして事務職に就きたいが、書類通過率が低く悩む
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(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2011年7月13日

![]() 児玉由利さん |
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専門学校卒業後、専門商社に入社。社長秘書と総務を4年間兼任したが、激務により体を壊し現在は休職中。体調が戻ってきたので1カ月前から転職活動をスタートしたが、なかなか書類が通過しないうえ、面接でも緊張のあまり思うように話せないでいる。 | |
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専門商社で主に社長秘書業務を4年間任されていました。その経験を活かして、今度は一般事務や営業事務職に就きたいのですが、なかなか書類が通過せず悩んでいます。この1カ月間で45社に応募して、面接に進んだのは7社。その面接でもうまく話すことができず、手ごたえを感じぬまま落ちてしまいます。

26歳で初めての転職活動、しかもまだ在職中ですよね?もう少し書類通過率が高いかと思いましたが…。
実は今、休職中なんです。社長秘書として社長のスケジュール管理を一手に引き受けるだけでなく、総務業務も兼務していたため、激務がたたって体を壊してしまって…。体調が良くなったので心機一転、新天地で事務として再スタートを切りたいと思っているのですが、書類に休職していた事実を隠さず記しているせいか書類通過率は低いし、せっかく進んだ面接でも面接担当者の反応が気になって萎縮してしまい、頭では思い浮かんでいる言葉が、スムーズに口から出てこないんです。
なるほど、そうでしたか。でも、少なくとも面接のときに休職経験を気にすることはないですよ。なぜなら、それをわかったうえで児玉さんを面接に呼んでいるのですから。だから萎縮する必要は全くありません。加えて、「言いたいことをなかなか言葉にできない」ならば、それを応募書類に書いておくことです。書いたものは相手に伝わりますし、面接でも書いてある内容について質問されるので、たとえ緊張していても答えやすい。会話の内容をこちらの土俵に持ってくることもできます。
面接で休職を意識し過ぎる必要はない、ということはわかりました。でも言いたいことはだいたい、書類にまとめたつもりなのですが…。
うーん、私から見れば、物足りないという印象です。児玉さんは社長秘書として4年もの間、それこそ体を壊すほど忙しく仕事をこなしてきたんですよね?その割には、やってきた業務をただただ羅列しているだけで、詳しい業務内容が書かれていない。一方で、やってきた業務の中に「PC入力業務」「ファイリング」「電話応対」など新入社員でも書けそうなものまで書かれている。「社長秘書」というよりも、「アシスタント」的な印象を与えてしまうので、もったいないと思います。
自分では詳しく説明しているつもりでいました。転職しても正社員にはこだわりたいので、アシスタント的な印象を与えていたなら残念です。
正社員志望ならなおさら、やってきたことの羅列ではなく、自信がある仕事に絞ってまとめ、その理由まで具体的に書き入れたほうがいいですね。書類の内容を見直せば、書類通過率も上がるし、面接でのやり取りもガラっと変わると思いますよ。
どういう風にまとめ直せばいいでしょう?「自信があること」と言われても、すぐには思いつきません。

では一緒に考えていきましょうか。社長秘書の仕事でどんな力が付いたと思いますか?例えば兼務していた総務の仕事と比べて、どんな違いがありますか? 思ったことをざっくばらんに話してみてください。
そうですね…(しばし熟考)。社長秘書は、社長の良い面も悪い面も、すべて理解し受け入れることができないと務まらない業務だと思います。社長はすべての決断を自分で下さなければならないので、どうしてもワンマンになりますし、わがままを言うことも多いですが、そこも理解し、同じ視野に立って対応を考える必要があります。また、急な外出や来客、緊急の会議が多く、その都度スケジュール調整をしなければならないので、マニュアルでは到底対応できません。その場、その場で社長にとってのベストを考え、変化に臨機応変に対応することが求められます。社長に振り回される毎日で大変ではありましたが、4年間でこれらの力が身についたと思います。
いいですね。常に社長の視点に立って、社長にとってのベストを考え、スケジュール調整、管理に尽力してきた。こういう児玉さんならではの「仕事に対するスタンス」は、ぜひ書類に書きましょう。加えて、具体的な方法とエピソードも加えるとなおいいですね。例えば「突発的なスケジュール変更があったときに、どういう方法でベストな方法を考えて実行し、結果的にどんな効果が生まれたのか」まで説明されていると、児玉さんの働きぶりがリアルに伝わります。総務としての仕事の説明部分でも、「周りを巻き込みミスの撲滅に尽力した」とサラリと書かれていますが、これも同様です。どんな課題があり、課題解決のためにどんな手を打ち、具体的にどんな効果を挙げたのかまで記すことで、企業側に「この人は本当に力を発揮し、成果を挙げてきたんだ」と伝わり、「今までの経験をうちでも応用してくれそうだ」と思ってもらえます。

方法と、エピソードですね。なるほど…気をつけてみます。
そして児玉さん、さっきはちゃんと自分の言葉で語れたじゃないですか。自分で自分の経験を振り返り、言葉にする作業はとても大切です。頭の中が整理できていないと、今のようには話せないはず。児玉さんの中で、自分の経験が整理できているし、強みもしっかり理解できています。面接でも「休職についてどう思われているか」なんて気にせず臨めば、きっと堂々と自己アピールができますよ。
そうですか(にっこり)、ありがとうございます。
児玉さんは26歳と若い。まだまだポテンシャルが評価される年齢です。ぜひ自信を持って転職活動に臨んでください。
そうですか?社会人になって5年が経つので、もうポテンシャルなんて感じてもらえないと思っていました(苦笑)。
いえいえ、まだ大丈夫!あえて言えば、「できること」だけでなく、「今までの経験を踏まえて今後やりたいこと、さらに伸ばしていきたいこと」も書類に書いておくといいですね。社長秘書として経験・スキルを積みつつも、これからも成長しようという意欲がある…ということが伝わると、より強くポテンシャルを感じてもらえますよ。
そう言えば面接で「秘書って、どんなことをやってきたの?」とよく聞かれました。応募書類での説明が足りず、「言われてきたことだけをやってきた人」と思われていたのかと思うと残念。自分の経験に自信を持って、応募書類全体を見直します。(児玉さん)

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- 伊藤理子
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