転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > コンサル経験を活かし管理部門系の職種を志すが、面接落ちが続く
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(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2011年6月29日

![]() 筑紫 敦さん |
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大学卒業後、食品メーカーに入社し1年半営業を経験。その後大学院でリスクマネジメントを学び、修了後に同分野のコンサルタント職に就く。3年勤務したが、業績不振による業務縮小で2010年7月に退職。以来、1年近く転職活動を続けているが、一次面接で落ちるケースが多い。 | |
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筑紫さんは、大学卒業後に食品メーカーに入社したあとに、大学院に進まれたのですね?そしてコンサルティング会社に転職されたと…。

はい。食品メーカーで1年半、営業をしていたのですが、そのとき取引先の中小メーカーが賞味期限切れ商品を流通させたことで、あっけなく倒産に追い込まれてしまい、「企業はもっとリスクマネジメントを強化すべきだ」と痛感したんです。そこで会社を辞め、大学院でリスクマネジメントを学び、修了後にコンサルティング会社に入ってリスクマネジメント分野のコンサルタントになりました。3年間、企業のIT統制運用の支援や情報セキュリティ強化などに関わり、最終的にはプロジェクトリーダーになったのですが、1年前に業績不振による業務縮小で退職を余儀なくされまして…。以来、1年近く転職活動を続けているのですが、なかなか決まらず悩んでいます。
どういうところに応募しているのですか?
実は、もうコンサルタントの仕事には就きたくなくて、一般企業の管理部門系の仕事に応募しています。でも、ブランク期間が長くなってきたので、家族のためにも早く就職先を決めたくて、最近では営業職などにも幅を広げています。
せっかくコンサルタントになったのに、なぜ別の道へ?面接でも聞かれるでしょう?
コンサルタントとしてキャリアを積もうと思うと、どうしても「転職ありき」になってしまうのです。いろいろな会社を渡り歩き、さまざまなジャンルの案件を手掛けることで、コンサルタントとしてのスキルを高めていくという。実際、私の周りのコンサルタントはみんなそうですし、コンサルティング会社側もそういう意識だと感じます。私としては、1社に腰を据えて働き、会社のために価値を発揮し続けたいんです。
なるほど、わかりました。書類通過率はどれぐらいですか?
だいたい3割ぐらいのペースが続いていますね。そこそこ面接の機会はあるのですが、一次から先に進めないんです…。やはり、リスクマネジメント・コンサルタントの経験だけではスキル不足だと思われているのでしょうか。
書類通過率3割ですか!それはいいペースですね。書類がそこまで通っているのだから、「スキル不足」が落ちている原因ではありませんよ。やはり、面接に何らかの理由があるのでしょう。…面接では、主にどんなことを聞かれますか?
先ほどの、「なぜコンサルタントの道を捨てキャリアチェンジしたいのか」はよく聞かれますね。あとはやはり、離職期間について。「なぜここまで長引いているの?」と聞かれることが増えましたね。
その質問には、どのように答えているのですか?
離職期間については、このように話しています。「そもそも景気停滞期にあるため、ある程度離職期間が長引くだろうということは想定していました。その中で活動を始め、コンサル経験を活かせる管理部門系の求人が意外に少ない…と感じたことが大きな要因のひとつだと思います。ただ、転職活動を行う中で、自身のスキルが活かせる場面は多いと気付いたので、最近では幅広い職種に応募しています」…こんな感じです。
うーん、非常にコンサル的な答え方ですね(苦笑)。筑紫さんの受け答えを聞いていると、「コンサルに戻ったほうがいいのでは?」と言いたくなります。
ええ?そうですか?
筑紫さんは、リスクマネジメントにこだわりを持って大学院まで進んで学び、実際にその道で実績も挙げている。加えて、話し方も非常にコンサル的です。先ほどの「離職期間が長引いている理由」などは特に、少々理屈っぽくてコンサルっぽい。一度は希望して進んだコンサルの道を離れる以上は、「新しい仕事を一から頑張りたい!」という覚悟を企業は見たい。でも、筑紫さんの言葉からそれが感じられないのではないかな。「うちのような一般企業には、彼はなじめないのではないか。やっぱりコンサルが向いているのでは」と思われ、不採用になってしまっているのだと思いますよ。
そんなつもりは全くないのですが…。

「話し方が理屈っぽい」というのは、妻にも言われたことがあります(苦笑)。でも自分では、どこがどう悪いのか、わからなくて。
筑紫さんを面接に呼んだ3割の企業は、「応募書類に書かれていることは事実かどうか、本当にリスクマネジメント・コンサルタントの経験が当社の管理部門で活かせるのか」を見たいと思っています。それを判断するための材料はいくつかありますが、大きなポイントは、仕事内容や職務経歴に対する質問に的確に答えを返しているかどうか、そしてうちの会社になじめそうかどうか。…ここまでのやり取りを見ると、会話のキャッチボールに問題はなさそうですが、話しぶりから筑紫さんの個性が見えてこないんです。個性が見えないと、「彼のことがいまいちつかめなかったから、採用は止めておこうか」というジャッジになってしまいます。
うーん…。今までの面接でのQ&Aをリスト化して、ブラッシュアップしたうえで面接に臨んでいるのですが…準備しすぎているのがよくないのかなあ…。
一概に悪いとは言えませんが、面接中は準備してきた答えばかりを意識しすぎると、筑紫さんらしさが失われ、固い印象になりがちです。集中すべきは、目の前にいる面接担当者です。相手の反応にできるだけ、臨機応変に対応していくことが肝心ですよ。
なるほど…。
先ほどのキャリアチェンジの理由ですが、なぜ、1つの会社に腰を据えて働きたいのですか?そもそも、コンサルの世界は転職が多いということは、事前にわかっていたのでは?

ハイ。実は大学院卒業後も、本当は一般企業に行きたかったんです。食品メーカー時代に、身近な取引先の倒産を目の当たりにして、「リスクマネジメントを学んで自社を守りたい」という思いがわき起こり、大学院にまで進んだので。でも、当時は2年間の学生生活をブランクととらえる企業が大半で、プラスに見てくれたのがコンサルティング業界だったんです。前職は、コンサルの中でも長く働ける雰囲気があったので入社したのですが、現場はやっぱり違っていて…。退職の直接のきっかけは業績不振ですが、この機会に初心に戻り、「ここなら一生働きたい!」と思える企業を探し、その会社を守り続ける仕事がしたいと思ったんです。
とてもイイ話じゃないですか!すごく説得力があるし、話し方も今までのものとは全然違う。「心の底から湧き出た思い」という印象を受けましたよ。この話、面接でしたことはありますか?
いや、ないですね。ここまでの深い説明は必要はないと思ったので…。
それはもったいないな。コンサル業界を捨て、事業会社に行きたい理由が明確じゃないですか。「コンサルは転職が多くなりがちだから、事業会社で腰を据えて長く働きたい」というだけでは筑紫さんの思いが伝わらないし、「単に会社にぶら下がりたい人」という印象すら受けてしまいます。今おっしゃった一連の思いを伝えたうえで、「企業は、気付かずに経営リスクを冒しているケースがとても多い。さまざまな企業でリスクマネジメントに関わってきた私が管理部門の業務に就けば、御社の安全に貢献することができる。末永く働くことで、御社の発展のために尽力したい」などと志望動機を伝えられたらどうでしょう?もし採用担当者だったら、「この人に管理部門を任せたい」と思いませんか?
確かに、言われてみれば…。
心から出た言葉には力があり、思いが乗ります。一方で、好感をもたれようと取り繕った言葉にはどうしても違和感を覚えるものです。筑紫さんは会話ベタではなく、コミュニケーション力があるのですから、小細工せず、思いをストレートにぶつけたほうがいいですよ。
面接の前には必ず想定質問集に目を通し準備していましたが、「この言葉、信用してもらえるのかな」という不安を抱いていたんです。そこをズバリと指摘され、すっきりしました。ブランクは長くなりましたが、前向きな気持ちで熱意を伝えていきたいです。(筑紫さん)

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- 伊藤理子
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