転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 42歳でブランク1年。書類は2割通過するが面接がうまくいかない
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(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2011年3月16日

![]() 木元寛治さん |
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大学卒業後、2つの金融機関で一貫して中小企業向けの融資を担当。1年前に人員整理の一環で退職を余儀なくされ転職活動をスタート。「中小企業相手」「営業」をキーワードにさまざまな企業に応募するが、なかなか内定につながらず、ブランク期間は1年を超えてしまった。 | |
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2つの金融機関で一貫して、中小企業向けの融資渉外を担当してきました。その経験を活かして、金融はもちろん、他業界でも「中小企業を相手にする営業職」をキーワードに転職先を探しています。でもなかなか決まらなくて…。ブランク期間が1年になってしまったので、一刻も早く転職先を決めたいんです。

書類通過率は、だいたいどれぐらいですか?
2割程度ですね。もっと書類通過率を上げたいというのもありますが、面接まで行った企業がいくつもあるのに落ちてしまうのが何とも残念で。一次で落ちる場合もあれば、最終まで行ったのに不採用になるケースもあり、いったい何が原因なのか測りかねています。
書類通過率が2割というのはかなり高いですね。20代でも、3割通過すればかなりのレベルですから、42歳という年齢を考えると2割はすごい!書類は今のままでも十分なのだと思いますよ。
そうですか…ではやはり面接の内容が問題なのですね。
なぜ面接で落ちていると思いますか?
うーん…年齢や経歴はわかったうえで面接に呼んでいただいていると思うので、なかなか予想がつかないのですが…。あえて言うなら、前の会社を辞めた理由を、正直に話しすぎているせいでしょうか。業績不振による人員整理の一環で、40歳以上の社員全員が子会社に転籍となり、嘱託扱いにされたんです。そのため、給与は激減。子どももいるし、家のローンも残っているので、このまま残っても生活していけないと考え、退職して次の職場を探す道を選びました。退職理由はどこの面接でも聞かれるので、できるだけ不満や悪口に聞こえないように、淡々と事実を伝えるようにしていますが、そういう内容自体がネガティブな印象を与えてしまうのかな。もっとうまく、前向きに言い換えたほうがいいのでしょうか。
うーん、一概には言えないのですが…。(職務経歴書を見ながら)前の会社をお辞めになってから、丸1年経ったのですか。結構長引いていますね。
はい。実は前職を辞めてから半年間は、社会保険労務士の勉強に専念していたんです。

なんでまた社労士の勉強を?
中小企業の経営者から受ける相談の内容は、「売り上げ」「不動産」「人事労務」の3分野にほぼ集約されます。売り上げについては、長年、何百社もの中小企業に接してきた経験からアドバイスすることができますし、宅地建物取引主任者(宅建)の資格を持っているので不動産関連についても対応可能です。唯一手薄なのが、人事労務面。その知識を強化したくて、退職を機に勉強を始めたんです。残念ながら、昨年の試験は不合格でしたが…。
木元さん、なんでそれを応募書類に書かないんですか?
合格したら書こうと思っていたのですが、結局落ちてしまったので、アピール材料にならないと思ったんです。
いえいえ、それこそ立派なアピール材料ですよ。退職理由にも、1年のブランクの説明にもなります。絶対に書くべきですよ。
そ、そうですか…?

結果的には試験に落ちてしまったとはいえ、社労士を勉強しようと思われた理由は、「顧客のあらゆる相談に乗れるようになりたい」という思いからですよね。木元さんの、「中小企業という顧客に対する思い」と「根っからの営業魂」が伝わります。リストラに遭い、これからの人生を考えたときに、木元さんの頭に浮かんだのは「中小企業の経営者のためにもっと役に立てる存在になりたい」という思いだった。だから社労士の勉強をして「武器」を揃えた。そのため少々ブランクは生じたものの、中小企業向けの営業に関して絶対の自信を持てるようになった。…すごく筋が通っていますよね?
確かにそのとおりです。そう説明されたら、すごく納得感がありますね。自分のことなのに、なぜこのように伝えられなかったんだろう…。
「リストラ」は事実の一つに過ぎません。それを機に、自分のキャリアをこのように考えたから、御社に応募した…という「全体のストーリー」を意識しましょう。応募書類の始めに、志望動機として数行程度でまとめると効果的ですよ。加えて、面接の確率を上げるために、職務経歴部分も一部、手直ししたほうがよさそうですね。
どのあたりですか?
営業職採用の場合、採用担当者が一番知りたいのは「この人にどれぐらいの営業力があるか」ということ。木元さんの職務経歴書を見ると、営業プロセスや担当企業数、代表的な実績は書かれていますが、トータルの業績やその規模感、達成状況がわからない。トータルの業績数字を挙げたうえで、目標数字に比べてどうだったのか、社内での順位はどれぐらいだったのかなど、判断材料となるものを入れるといいでしょう。また、マネジメント経験に関する記述も、修正したほうがいいですね。「営業課長として、部下5名に対するマネジメント経験を積んだ」とありますが、これだけではマネジメント能力がある人かどうか判断できません。部下を育成する上でのスタンス、心がけたこと、その結果、部下の成績やチームの成績はどうなったのか…まで説明しましょう。
確かに…。私の年齢だと、マネジメント力は必須ですものね。マネジメント方法にはこだわりを持っていたし、実際に私が課長になってから部下の業績は上がったので、もう少し補足説明します。
ぜひ。「マネジメント経験を積んだ」という言葉だけで終わらせると、「まだマネジメントを勉強中」「ただ役割を与えられただけ」という印象を受けてしまい、もったいないですよ。言葉選び一つで、受け手の印象はがらりと変わります。ぜひ人事の視点に立って、書類を読み直してみてください。
今までの経験と退職理由、志望動機を一つのストーリーにする。言われてみて初めて、ちゃんとつなげて話せることに気付きました。自分のことなのに…恥ずかしいです。今までやってきたことに自信を持って、改めて転職活動に臨みたいと思います。(木元さん)

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