転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 一次・二次面接には通るのに、役員面接で玉砕するWeb開発担当
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(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2010年10月20日

![]() 三宅啓一さん |
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SE、Web開発エンジニアとして7社を経験、現在は契約社員として電機メーカーに勤務。ECサイトの構築・運営を手掛けていたが、不況により営業サポート部門に異動になったのを機に転職を決意。書類通過率はそこそこ高いが、最終面接で必ず落ちてしまう。 | |
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Web開発エンジニアとして、数々の会社でキャリアを積んできました。現在勤めている電機メーカーでも、自社のECサイトの企画・構築、開発、運用までをすべて手掛けてきましたが、不況による業績不振を受けて部署の人員が減らされ、この春より営業サポート部門に異動となってしまいました。手がける仕事は、営業用プレゼン用の資料作成や、営業数字の集計など、今までのキャリアとは全く異なるものなので、モチベーションが全く上がりません。一刻も早く、元のWeb開発に戻りたいと思い、頑張って転職活動しているのですが…。
でも、どうしても最終面接が通らない、と。
そうなんです。書類は3割がた通るし、その後の面接もいい雰囲気で通るんです。でも、今まで進んだ最終面接は5社とも不採用。最終なので多少緊張してしまった面はあるのですが、言いたいことは言えたと思うし、なぜここまで連続して落ちてしまうのかわからないんです。
なるほど。三宅さんは人当たりが良くおだやかな印象なので、人柄が不採用の理由ではなさそうですね。何が原因なのか、一緒に考えていきましょう。…そうですね、最終面接では主にどんなことを聞かれますか?

今までにやってきたこと、技術面の話が多いですね。そんなに変なことは言っていないつもりなんですけど、何か盛り上がらないですねぇ…。
具体的には、どんなことを答えましたか?
Web開発の企画段階から関わり、開発、運用までの一連を手掛けてきたことですね。最近まで関わっていたECサイトはたった2人で立ち上げ、キャンペーンを企画して実行し、その後の運用も手掛けてきましたから。
では、転職して三宅さんが一番やりたい業務は、どんなことですか?
まさに今お話ししたことです。開発過程の一部分ではなく、Webに関する企画から開発、運用と一連の業務に関わりたい。どれか一工程だけで、前後が見られない立場は、何か物足りなくて。それに加えて、ユーザーの声を最大限活かしたサイトを作りたいですね。ユーザーの声を反映することが、さらにクオリティの高いサイト構築につながると思うからです。
仕事の中で一番喜びを感じるときは?
ユーザー数が増えたときですね。私自身は、たとえ仕様がイマイチであっても、ユーザーが面白いと喜び、集まってくれるならばいいサイトだと思うんです。だからユーザーの意見は最大限拾い、サイトに反映したいと思っています。
なるほど。でも、ユーザーの意見ばかりを反映はできないよね?そういうときはどうしているの?
アンケートなどで挙がってきた声をまとめ、上司に修正の必要を訴えたりしているのですが、「売り上げに直結しないならば必要ない」などの理由で受け入れてもらえないケースが多いですね。負け戦がほとんどというか…。
…だとしたら「ユーザーの声を活かしている」とは言えないよね?
そう言われれば、確かにそうですね。思いはあるんですけどね…。
こだわりや思いがあるのはいいのです。でも結局、その思いが実現できていないならば意味はないですよね?自ら実行し、その結果を見て、改善していく…というPCDA(plan-do-check-act)が回せていない以上、一連の開発業務に関わっているといっても「いち作業者」に見えてしまいます。おそらくそのあたりに、最終で落ちる原因があるんじゃないかな。
ええっ、そうですか…。

Web開発エンジニアとして、さまざまな環境で経験を積んでいるから、一次面接や二次面接ではその経験値と守備範囲の広さが評価されたのでしょう。その段階の面接に出てくる人は、現場の人が多いですからね。でも、最終面接となると話は別。技術的なことは二次面接までで確認できているので、見るポイントは「この人にうちの業務を任せられるかどうか」に変わります。30代ならば、「仕事に対する責任ある姿勢」「マネジメント能力」「予算、収支を管理して事業を成り立たせる力」なども当然チェックされます。この点を考慮して三宅さんの発言を聞いていると、なんだか非常に弱く、浅い印象を受けてしまうんです。この人には大事なビジネスを任せられないな、と。
そうですか…。そういう印象を持たれているのではと、思ったことはありますが…。
先ほどおっしゃっていた、「ユーザー視点で、面白くて楽しいものを追求してユーザーを集めたい」という話。これって、クリエイターとして生きていくならばアリな答えだと思います。でも、三宅さんは、企画から運用まで、すべてに関わりたいんですよね?一つのビジネスを、ご自身の手で回したいという思いがあるんですよね?
ハイ、その通りです。
ならば、それを軸にして伝えないと!
ユーザーの声を活かしていけば、いつか売り上げにつながると思っていたんですが…。でも、確かにビジネス視点は足りなかったかもしれません。
今までの話を聞いていると、ビジネス視点ではなく、ユーザー視点に寄り過ぎている印象なんです。ましてや、三宅さんは34歳。ビジネス全体を率いてほしい年齢です。ユーザーの意見は最大限取り入れたい、でもビジネスは自分の手で回したい。ここのバランスの悪さが敬遠されているのだと、僕は思いますね。
なるほど…。
三宅さんは、穏やかでやさしい話し方をするから、必要以上にそういう印象を与えるのかもしれません。発言内容にブレがあり、スタンスが明らかに定まっていないと、余計に浅さを感じてしまう。ましてや、リーダークラスを任せようなどとは、思ってもらえないでしょう。
うーん厳しい!でもその通りだと思います。
ご本人のスタンスがまだ定まっていないから、あくまで一例として言いますが、例えば私だったら、「企画から開発、運用まで、Webサイトに関することはすべて手掛けてきた。リアルなユーザーの声を拾うことにも自信がある。サイトに対するユーザーの意見を正確にとらえつつ、事業方針も認識し、会社として一番いい方向を探っていくことができる」などとアピールするでしょうね。ユーザー、ビジネスのどちらかに寄りすぎるのではなく、間を取って調整し、利益につなげる…と伝えられれば、納得感があるでしょう。

確かに…。
自分は何ができて、何をしたいのか。そしてその内容はつじつまが合っているか。まずはそこを掘り下げ、自問自答してください。とはいえ三宅さんはもう34歳で、現在は納得のいく仕事に関われていないんですから、今後のキャリアを考えても一刻も早く次を見つけるべき。「自問自答」の一方で、とにかく数を当たりましょう。面接には進めているんだし、面接でのやり取りの中で、自分の軸が定まっていくこともあるでしょうからね。
わかりました。
何が原因で最終で落ちているのか、ようやく理由がわかりました。厳しい指摘もありましたが、34歳のエンジニアとして、足りなかった点が見えてきました。ぶれない軸を作るべく、もっと自分自身のキャリアをしっかり見つめ直したいと思います。(三宅さん)

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- 伊藤理子
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