転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > ITサポート経験を活かしたいが、面接落ちが続きブランク10カ月
(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2010年7月21日
五十嵐 真さん |
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大学卒業後、通信機器販売会社に入社。新規開拓営業を2年間担当した後、沖縄支社に異動し、通信機器のメンテナンス・サポート業務を4年半手がける。昨年8月に退社し、実家のある東京に戻って同職種で転職先を探すが、なかなか一次面接を突破できないでいる。 | |
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新卒で通信機器の販売会社に就職し、2年間は東京地区で新規開拓の飛び込み営業を担当。その後、沖縄支社のメンテナンス・サポート部隊に異動となり、沖縄に赴任しました。既存顧客を回り、通信機器のメンテやサポートを行う仕事はやりがいがありましたが、沖縄エリアだけに実験的に置かれた部署だったので、この仕事を続けたいのであればずっと沖縄で働き続けることになります。実家は東京ですし、さすがに「せめてもう少し親元の近くで働きたい」と思うようになり、退職しました。でも、なかなか次が見つからなくて困っています。
お辞めになったのは、昨年8月末ですか。ではもう10カ月のブランクになるのですね。
そうなんです。サポート系の仕事は、求人数自体少なくて…。ただ、以前は書類落ちが続いていたのですが、ハローワークなどに見てもらってブラッシュアップしたら、ここにきて通過率が上がってきました。以前は2〜3割の通過率でしたが、4月以降は12社に応募して11社面接に進んでいます。
それはすごい!どんなところの面接に呼ばれているのですか?
前職と近い職種、業務内容のところばかりですね。通信機器や精密機器の、メンテナンスやサポート部門です。経験をフルに活かせると思うのですが、なぜか一次面接で落ちてしまうんです…。
ご自身では、一次で落ちる理由は何だと思いますか?
私が何をしたいのか、あまり伝わっていないのかなあと。緊張してしどろもどろになってしまったときもあるのですが、落ち着いて冷静に話しているときでも、「そうですか」のひと言であっさり終わってしまうことが多くて。面接での会話があまり盛り上がらないんです。
五十嵐さんは、初めは営業をやっていたとのことですが、今後はメンテナンス、サポート業務を続けていきたいのですね?
はい。前の会社はイケイケドンドンのベンチャーで、「とにかく飛び込め、1件でも多く新規開拓しろ」という営業スタイルでした。2年間、頑張りましたが、ノルマ達成のためにゴリ押しして売ることも多く、自分には合わないなと感じていたんです。それよりも、クライアントが困っていたらすぐに駆けつけ、最善の方法で解決するというサポートの仕事のほうが、役に立っていると実感できたんです。
なるほど…。(改めて書類を見ながら)これはあくまで一つの意見ですが、「東京で新規開拓営業を2年勤めた後に、沖縄のサポート部隊に異動」という経歴だけを見ると、「飛び込み営業が嫌だから、沖縄に逃げたのかな?」とうがった見方をする人がいるかもしれませんね。
…沖縄で初めてサポート業務に携わり、顧客との信頼関係が大切な奥深い仕事だと感じて今後も続けたいと思っただけなのですが、そんな見方をされてしまうのですか。…でも、ならばなぜ、面接に呼ばれるのでしょう?
サポート担当としてのキャリアが長いうえ、営業経験も備えているからだと思います。このご時世、メンテやサポート部門は自社で持たず、アウトソーシングで賄う企業が増えていますよね?それでも自社で抱えるのであれば、「サポートだけ」の人はいりません。顧客のサポートを通して課題をつかみ、商談に発展させられる人がほしいはずなんです。五十嵐さんは経歴的にはその希望に合うため、面接に呼ばれているのだと思いますが、求められているものを伝えていないから、「欲しい人材とはちょっと違うかも」と二の足を踏まれているのだと思います。
なるほど、ではどうすれば…。
まずは書類の段階から、見直しましょう。五十嵐さんの意向は尊重しつつ、アピールする内容を採用担当者が求めているものに近づけていきませんか?
今の五十嵐さんの応募書類に足りないのは、「サポート担当として働きつつも、いかに売り上げを考え、商売につなげてきたか」という部分。五十嵐さんのキャリアだともう中堅どころですし、サポートといえど「ビジネスの視点」がないと難しい。「単なるサポート担当者ではなかった」ということを、書類の時点でアピールしておくと面接がスムーズに進みますよ。…五十嵐さんは、沖縄ではメンテ、サポート業務だけでなく、営業的なこともされていたのですよね?書類に「リプレイス月平均5件」と書いてありますが。
はい。メンテナンスのために企業に足を運ぶと、通信機器周りの不満や困りごとを聞く機会が多くて。そういうときに、新しい機器やシステムの導入を提案するなどして、地道にではありますが売り上げを上げてきました。私が足しげく通ったためか、既存顧客にはかわいがられていたので、そこから新規のお客様を紹介していただき、コンスタントにリプレイス案件の受注にも成功していました。もちろん、営業がメイン業務ではないので、数字としてはそんなに大きくはありませんが。
いいですね!ぜひそこをアピールしましょう。実績数字だけでなく、目標数字と達成率も入れられるとなおいいですね。サポート担当者として、沖縄全域を飛び回りつつも、取引先企業の課題を聞き出し、追加提案をして、着実に売り上げにつなげてきたことを、自己PRとしてアピールしましょう。採用担当者の立場に立てば、「お客様のためにサポートに徹したい」という人よりも、「ビジネスにつなげられるサポート担当者になります」とアピールされたほうが、惹かれますよね?
うーん、確かに!
サポート担当者として、顧客との信頼関係を大切にしてきたご経験は、五十嵐さんのウリであり、魅力でもあります。これに加えて、「ビジネス視点を持って売り上げにつなげる努力をしてきた」ということが伝われば、「この人にサポートを任せれば安心だし、取引拡大も期待できそう」と思ってもらえますよ。
わかりました。書き直してみます。
そうだ。面接で退職理由を聞かれること、多いでしょう?何と答えています?
確かに、よく聞かれます。…そうですね…ずっと沖縄で働き続けるイメージが沸かなかったけれど、前職では沖縄以外にサポート部門がなく、こちらに戻ってくるために退職を選んだ、と答えています。
うーん、それだけ聞くと、「転勤が嫌なのかな」「現状が不満だから辞めたのかな」とネガティブな印象をもたれてしまう恐れがあります。サポートの仕事が好きであれば、もっと前向きに伝えたほうがいいですよ。
どのように伝えれば…?
サポートという立場で顧客に価値を提供しつつ、顧客の課題をつかみ、売り上げアップに貢献してきた。今度は首都圏の企業を相手に挑戦してみたいと考え、こちらに戻ってきた…と退職理由を伝えれば、応募書類の自己PRからストーリーがつながり、一本筋が通ります。言われた側の納得感も高いはずですよ。
なるほど、そうですね!
五十嵐さんはとても穏やかな印象で、温和な笑顔が魅力です。第一印象で悪いイメージを持たれることは、そうないと思いますよ。あとは書類でも面接でも「ストーリー」を大切に、前向きにご自身の強みと思いをアピールしてくださいね。
長らくサポート業務に打ち込み、顧客1社1社との信頼関係を大切にしてきたことを、一番の強みだと思っていました。でも、それだけでは決め手に欠けるということに気付かされました。人事の立場に立ち、もう一度、書類から見直したいと思います。(五十嵐さん)
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- 伊藤理子
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