連載化! Dr.門野の転活悩み相談 あなたが受からない理由、診断します

転職活動の悩み、何でも相談してください

(株)リクルート 門野友彦

1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。
ブログ http://blogs.yahoo.co.jp/tensyokucoach

2010年1月27日

今週の相談者

出産・育児で7年のブランク。人事職に就きたいが書類落ちが続く谷さんの場合

谷 亜矢さん
(仮名・36歳)

プロフィール
大手精密機器メーカーで人事を2年、人材サービス会社で採用コンサルティングを2年経験するが、夫の海外赴任に伴い退職し米ニューヨークへ。5年半の赴任中に2回の出産を経験し2年前に帰国。育児がひと段落したことを機に再就職を目指すが、書類落ちが続く。
現状
  • ・海外赴任・出産を機にいったん家庭に入ったが、過去勤務した2社では、人材採用の第一線でバリバリ働いてきた。このたび復職を決意し、人事を中心に応募するものの書類選考に通らない。やはり7年半のブランクは大きい?
  • ・できればまた採用の現場で働きたいものの、育児をおろそかにできない。9時〜17時という限られた時間の中で一生懸命働きたい…というのはこのご時世、無謀なのだろうか。
相談者:谷さんDr.門野

診断スタート

バリバリ働きたいが9時〜17時勤務は譲れない。このご時世、無謀だろうか?

大手メーカーで採用・研修業務を2年間、人材サービス会社で企業の採用コンサルティングを2年間手がけた後に、夫の海外赴任でニューヨークにわたりました。その間、2人の子どもを出産し、2年前に帰国。下の子が2歳になったのを機に、そろそろ復職したいと思い転職活動を始めたのですが…。厳しいとは予想していましたが、なかなか書類が通らず、苦戦しています。

ブランク期間は7年間になるのですね?かなり長いな。

そうなんです。おまけに大学卒業後、留学してMBAを取ったので、就職したのは24歳。だから、36歳という年齢の割には職務経験も短いんです。

なるほど。今までにどんな企業に応募しましたか?

(リストを見せながら)一般企業の人事を中心に応募しています。TOEICスコアが940あるので、最近では英語を使う事務職などにも応募し始めていますね。人事が第一希望ではありますが、まずは現場感覚を取り戻したいので、英語力を切り口に事務系の幅広い職種を見ています。

以前勤めていたのは、2社とも大手ですね。具体的には、どんな業務を手掛けてこられたのですか?

1社目のメーカーでは、採用業務全般と、社員研修を担当していました。新卒採用業務がピークのときは、早朝出勤・終電帰りが続くほど忙しかったですね。次の人材サービス会社では、企業に対するリクルーティングアドバイスと採用コンサルティングを手掛け、採用における顧客の課題解決に努めました。

2社目の仕事もハードそうですね(笑)。

確かにそうでした(笑)。でも、1社目で長時間労働に泣かされただけに、2社目では「短時間でいかに効率よく業務を進めるか」に気を配り、実践してきました。また、立ち上げたばかりの部署だったので、メンバーのマネジメントも経験でき、自分の幅が広がりましたね。

そのころのように、またバリバリ働きたいというご希望ですか?

そういう気持ちはあるのですが、まだ小さい子どもがいるので、9時〜17時勤務で探しています。これが一番譲れない条件なのですが…厳しいですよね。応募職種を広げても、やっぱり再就職は難しいのかなあ…。

36歳で7年ものブランク、そして残業ができない状況というのは、正直言って不利ではあります。ただ、4年間ながら、採用の現場でみっちり経験を積んでおられる。MBA、英語力も強みですし、いわゆる「地頭力」を評価する企業も少なくないと思いますよ。ブランクの理由も、明確ですしね。だから、悲観しすぎることは決してありませんよ。

そうでしょうか…。

谷さんは、仕事に振り切るのではなく、家庭も大切にしつつバリバリ働きたいのですよね?それならば、不利なポイントを埋めるためにも、谷さんのウリをもっと明確化して、応募書類でアピールする必要があります

これが原因!

「育児で残業できない」という事実を、応募書類の段階ですべてさらけ出しては?
その上で、業務効率化に注力して成果を挙げた経験をアピールしよう

先ほど、業務効率化の話をされていましたよね?もう少し詳しく、教えていただけますか?

はい。1社目の仕事がかなりハードだったので、2社目では、仕事を抱えつつもなるべく早く帰る方法を模索し続けました。具体的には、与えられた業務フローをそのまま運用することはせず、必ずフローそのものから見直して、自分に合うようカスタマイズするようにしました。

それはすごいね!

少しでもラクしたくて(笑)。日々の行動も、常に効率化を意識していましたね。例えばコピー一つ取っても、コピーの必要があるものがいくつかまとまってから取りに行ったり、ほかの用事のついでに取ったりと、徹底していました。おかげで、「忙しい」ことで有名な前社において、私は遅くとも19時には退社していました。同僚は終電帰りも多かったようですが。

ほほー、素晴らしい。このエピソードは使えますよ。譲れないポイントとともに、応募書類で伝えるといいでしょう。

譲れないポイントと一緒に、ですか?

そうです。現状の応募書類を拝見すると、勤務時間の希望があることには触れていませんよね?あえて、応募書類の頭で、それらをさらけ出しておくんです。海外で長らく暮らしていたこと、ブランクが長いので年齢の割には経験が短いこと、そして幼い子どもがいるので9時〜17時勤務を希望していること。ただ、限られた時間の中で効率的に行動して、最大限のパフォーマンスを上げる努力は続けていて、御社でもそれを実践したいということ。――これらをレジュメ内で語っておくことで、谷さんがどういう人で、何をしたいのかをわかってもらうんです

でも、書類通過率、ますます下がりませんか?

おっしゃるとおり、書類通過率は下がるかもしれません。でも、そのうえで面接に呼んでくれる企業は、あなたの現状と要望を理解し、活躍の場を用意しようとしてくれる企業…ということになります。逆に、希望を隠して面接に進んだところで、理解されなかったら時間の無駄ですよね。

確かに…。あ、でも転職サイトの応募フォーマットだと、希望を書き込む欄がありませんが、どうすればいいですか?

初めの「送信メッセージ」欄や、最後のほうにある「備考」欄など、ほかの事を書いても支障がない欄を使うといいですよ。

わかりました!文章を考えてみます。

今まで応募した企業のリストを見ると、大手が多いようですが、大手志向なのかな?

いえ、過去の2社が大手だったので、無意識に知名度のある企業ばかり選んでいたようなのですが、実際はそんなにこだわりはないです。

託児所など、福利厚生が整っている大手でバリバリ働く手もあるでしょうが、谷さんの志向を考えた場合、小さめの企業のほうが自由が利くと思いますよ。大手に比べると応募数が少ないから、谷さんの経験やポテンシャルを評価してくれる可能性が高いでしょう。あとは、メーカーとかメーカー系商社など、形あるものを扱っていて、かつ設立してある程度年数が経ち、業務フローが固まっている会社がいいでしょうね。そのフローをベースに、谷さんの業務改善力を活かして、勤務時間内に自分の裁量でオペレーションすることが可能でしょう。逆に、ITベンチャーなど、業務フローが固まっていない会社だと、ベースがないからいくらでも仕事が発生する可能性がありますからね。

なるほど、確かにそうですね。応募企業も再考してみます。

もし志向があれば、営業も視野に入れてもいいかもしれませんね。新規開拓ではなく、自宅をベースに直行直帰できるルートセールス系など、時間の融通が利くものもありますよ。

営業か〜!今まで人事か事務しか見ていなかったけれど、試しに求人検索してみようかな。

そうですね。…こうやってお話ししていても、谷さんは会話のキャッチボールができてコミュニケーション力の高い方という印象を受けます。面接にさえ進めれば、きっと内定は近いでしょう。応募書類の段階で、現状を明らかにして希望をすり合わせておくことで、最終的には確度が高まるはずです。頑張ってくださいね!

診断を終えて…

確かに人事の立場に立てば、初めに私の人となりが書いてあったほうが効率的に選考できますよね。「勤務時間」という一番譲れないことを後回しにしていましたが、業務効率化には自信を持っているので、一緒に応募書類に盛り込んでいきたいと思います。(谷さん)

EDIT
伊藤理子
DESIGN
マグスター
ILLUST
もりいくすお
PHOTO
TAKE

会員登録がまだの方

会員登録(無料)

会員登録がお済みの方

「今すぐ転職」にも「いつかは転職」にも即・お役立ち!リクナビNEXTの会員限定サービスに今すぐ登録しておこう!

1転職に役立つノウハウ、年収・給与相場、有望業界などの市場動向レポートがメールで届きます

2転職活動をスムーズにする会員限定の便利な機能

・新着求人をメールでお届け

・希望の検索条件を保存

・企業とのやりとりを一元管理など

3匿名レジュメを登録しておくとあなたのスキル・経験を評価した企業からスカウトオファーが届きます

会員登録し、限定サービスを利用する

※このページへのリンクは、原則として自由です。(営利・勧誘目的やフレームつきなどの場合はリンクをお断りすることがあります)