転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 最終面接まで行くのに内定には至らない、エンジニア歴10年
![]() |
(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2010年1月13日

![]() 今井晴江さん |
![]() |
---|---|
新卒でソフト開発会社に入社し、組み込み系ソフトの開発に携わる。その後プロジェクトごと他社に買収され、2社に転籍。2年前に開発ツールのメーカーに転職するが、業績不振で昨年5月に退職。以降、転職活動を続けるが、最終面接がどうしても突破できないでいる。 | |
![]() |
|
|
今までに何社に応募して、どれぐらい最終に進んだのですか?
組み込み系ばかり15社に応募し、12社の面接を受けました。そのうち7社は最終面接まで進んだのですが、すべて落ちてしまったんです。特に致命的な失敗などはしていないと思うのですが…。どうしていいかわからなくて、落ち込んでいます。

しかし書類通過率8割というのは素晴らしいですね!今井さんの経歴が、高く評価されているのでしょう。今までどのような仕事に携わってこられたのですか?
新卒でソフトウェア開発会社に入社し、組み込み系ソフトの開発を3年間手掛けました。その後、プロジェクトごと大手電機メーカーに買収されて転籍し、液晶テレビのGPUの開発などに4年間関わりましたが、またもやチームごと自動車メーカーの子会社に買い取られることに。最新のカーナビゲーションなどの組み込み系ソフトを手掛けつつ、チームリーダーとしてプロジェクトを束ね、組み込み系の経験が浅いメンバーへの教育も担当しました。
へー!それはすごい。転職歴なしで、2回もガラリと職場が変わったんですね。
そうなんです(笑)。おかげでいろいろな組織を見られましたし、最新の技術にも触れることができましたけどね。…で、2年前に初めて自分の意志で、開発ツールのメーカーに転職したんです。ずっと開発現場にいて、「日本の技術力を上げるには、技術者がもっと開発ツールを使いこなすべきだ」と感じたので、一度ツールメーカーを経験してみたいと思ったんです。セールスエンジニアとして、自社製品の導入やカスタマイズ開発などを担当し、顧客と直接やり取りできることにやりがいを感じていたのですが、自動車業界の不振を受けて事業が急激に縮小し、退職を余儀なくされまして…それが昨年の5月です。
なるほど。というと、ブランク期間はもう半年以上になるのですね。
そうなんですよ。最終面接を受けるたびに、こんどこそ!と思うのですが、すべて落ちてしまって…。
ご自身で思い当たる理由はあります?
うーん…どうなんでしょう。そういえば、転職エージェント経由で応募した企業からは、「オーバースペックだ」と言われました。そんなことないと思うのに…。
いや、確かに企業によっては、そう感じるかもしれませんね。2回もプロジェクトごと引き抜かれ、最先端分野でずっと頑張ってこられたんですからね。しかも、今井さんは論理的に、ハキハキと話すタイプ。頭の回転が速そうだなと感じます。例えば、規模が小さめの企業などの場合、「この人が活躍できる場をうちで用意できるだろうか」「こんなにバリバリ仕事する人を採用したら周りから浮いてしまうのではないか」と心配するかもしれませんね。
そんな…。まだまだ自分では成長途中だと思っているんですが…。
では、今井さんは、ご自身の強みは何だと分析されていますか?
強みとしては、前々職で組み込み系ソフトの教育担当として、100人近いメンバーを鍛え上げたことが挙げられます。ずっと組み込み系をやってきたので、この分野においてメンバーをレベルアップさせることには自信がありますね。これを面接でも伝えています。
なるほど。…こうやって話をうかがっていても、今井さんから致命的なマイナスは感じ取ることはできません。最終面接まで7社も進んでいるならば、応募書類を改善する必要もないし、経験やスキル面に問題があるとも思えない。そうなると…面接の場で与える印象をちょっと変えれば、早晩内定が得られるのではないかな?
え?印象ですか?

今井さんの場合、最終面接に通らないのは、ほんのちょっとした理由なんだと思いますよ。経験やスキルは、書類や一次面接の段階で十分にわかっているはずなのに、最終面接の段階でオーバースペックだと感じさせてしまうのは、あえて言うなら今井さんの「話し方」と「話しの聞き方」が原因なのかも。
ええ?!何か気になる部分、ありますか?
面接のときに同じ対応をされているのかはわかりませんが、私が話をしているとき、「ふんふんふん…」と軽い相槌を打ちながら聞いているのが少し気になりました。話を聞き流されているような印象を受けたんです。
そうですか…気付かなかった。
あえて言うなら、というレベルですけどね。でも、一方で話すときは立て板に水のごとくパキパキッ!と話すから、「聞く耳はあまり持たず、言いたいことは主張するタイプでは?」とうがった見方をされてしまうかもしれませんよ。とても勝気な印象も受けます。
決してそんなことはないのですが…。
一次面接、二次面接では主にスキルや経験をチェックされますが、最終面接で一番見られるのは、その人の人間性と会社との相性。「この人は当社のカラーに合うかな?」「あの部長の下で、あのメンバーとうまくやっていけるかな?」なんてところを確認しているんです。このご時世ですし、どの企業も新規採用には慎重ですから、ほんの些細なことが採否を分けることがある。話し方、聞き方一つであっても、不安を感じたら内定を出すのは躊躇するでしょうね。でも、応募者側からすれば、小さな誤解で不採用にされてしまうのはもったいない!不安要因をできるだけ潰すことで、内定の可能性を上げていきましょう。
なるほど…では、どこを改善すればいいでしょうか?
聞く姿勢にもう少し気を配れば、印象はがらりと変わりますよ。まずは、相手の話をじっくり聞きましょう。相槌を打つときも、先ほどのように急かすような感じではなく、ゆったりと。そして、それに対してできるだけ端的に答えることです。そうすれば、相手に「一方通行感」を感じさせずにすみますよ。今井さんは興が乗ると早口になる傾向があるので、話すペースも相手に合わせられるとなおいいでしょう。話すペースは、少し気を配るだけでかなり改善されるはずです。…スキルや経験のアピールは当然重要ですが、最後の最後は「好かれる」人が採用されます。そこを理解して面接に臨みましょう。
わかりました!普段の会話から気をつけてみます。
あとは、応募先のすそ野をもう少し広げてみては?指導力を活かしてITコンサルタントや、組み込み系以外の技術マネージャー候補などにも目を向けてはどうでしょう。話し方に気を配り、応募の範囲を広げれば、最終面接突破の確率はさらに上がるはず。気負いすぎることなく、頑張ってください!
コミュニケーションの仕方に問題があったのですね。会話のキャッチボールが大切だとは思いつつも、こちらからどんどん話さなければ面接に通らないと思っていました。これからは社風や面接担当者の雰囲気を見極め、合わせるよう努力したいと思います。(今井さん)

- EDIT
- 伊藤理子
- DESIGN
- マグスター
- ILLUST
- もりいくすお
- PHOTO
- TAKE