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(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2009年12月9日

![]() 白戸千尋さん |
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システム開発会社2社を経験し、SE、PL、PMとして活躍。2年前、現在の外資系IT企業に転職し、ブリッジSEとして多数のプロジェクトに関わるが、専門分野を持ちたいと3度目の転職を決意。しかし書類が通過しても一次面接ですべて落ちてしまう。 | |
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システムエンジニアとして、3社で主にJavaの開発案件に携わってきました。キャリアは一貫していると思うのですが、書類選考がなかなか通らなくて。面接に進んでもすぐに落ちてしまうので、力不足のせいだとすっかり気落ちしています。
書類通過率はどれぐらいなの?
3分の1程度でしょうか。大手IT企業のA社や、シンクタンクのB社などは面接に進んだのですが、すべて一次落ちでした。
今のご時世、3分の1ならば通過率はかなり高いほうですよ。しかも、A社もB社も大手企業じゃないですか。自信を持っていいですよ。
とはいえ、二次面接以降に進めていないのは事実だし…。
白戸さんはエンジニアとして10年経験を積んできたんですよね。今後、どういう方向性を目指しているのですか?
実は、そこが私の課題でして…。今までどんな仕事にも一生懸命取り組んではきたのですが、与えられたミッションをこなし続けてきたという感じで、「自分の軸」を定められないでいるんです…。

なるほど。まずは、それを定めるのが先決ですね。では、今までのキャリアを一緒に振り返ってみましょうか。新卒で入社した会社では、何をやっていたのですか?
大手メーカーグループのシステム開発会社で、顧客向けビジネスソリューションをメインに扱っていました。しかし3年後、所属していた部署がなくなり、親会社向けホストの保守担当という全然違う部署に異動になったんです。ようやくSEの仕事の面白さがわかってきて、クライアントともうまくやり取りができるようになったところだったので、迷わず転職しました。
なるほど、では2社目について教えてください。
知り合いの紹介で、大手コンピュータメーカー系のシステム開発会社に入りました。5年間勤務し、PL、PMまで任されるようになったのですが、会社の方針ががらりと変わって、いきなりユーザー向けの研修講師をやらされることになって。あまりの畑違いの業務に戸惑い、2度目の転職に踏み切ったんです。
…話をうかがっていると、ちゃんと軸を持って転職しているじゃないですか。要は、現場で顧客とやり取りしながら、開発に携わり続けたかったのでしょう?そこから離れるのが嫌だったから、転職に踏み切ったという印象ですよ。
うーん、言われてみればそうなのかな…。そのときは、「軌道を大きく外すのが嫌だ」という思いだったんですが。
3社目である今の会社を選んだ理由は?
オフショア開発で業績を伸ばしている会社だったし、年収など条件面もまずまずでした。何より、私の経験を評価し、採用してくれたので。
でもまた、転職しようとしていますね。それはなぜ?
派遣エンジニアのように、とにかく人手の足りないプロジェクトにどんどん入らされるんです。業界、分野も規模もバラバラ。いろいろな分野のクライアントと触れ合えるのはいいのですが、あまりに多方面すぎて「なんでも屋」みたいで…。もう33歳ですし、そろそろ専門領域を決めたいと思ったんです。
わかりました。今までの話を整理しましょう。「クライアントと直接やり取りできる仕事であること」「運用や保守などではなく、システム開発の現場で頑張りたいということ」。この2つを大切に仕事をしてきたという印象を受けました。白戸さん自身の方向性は、定まっていますよ。それが叶えられて、かつ専門領域を持っている開発会社に応募すれば、ご自身の志向とフィットするからいい結果につながるんじゃないかな。特に、プライム案件(直接顧客と契約を結ぶ案件)に携われる環境を狙うのが、白戸さんの志向に合っていると思います。そこでJava経験やPL、PM経験をアピールすれば、書類通過率も面接突破率も上がるはずですよ。
でも実は…私、そもそも自分の技術力にも自信が持てなくて。一次面接で落ちるのは、そのせいじゃないかと思うんです。経験年数は長いけれど、最先端技術を扱ってきたわけではないし、大規模案件でもないし。
「最先端の大規模案件」に関わっているエンジニアなんて、ほんのひとにぎりです。その人たちと競っても仕方ありません。そもそも、技術力が足りないならば面接には呼びませんよ。それぐらい、人事ならば書類でわかりますからね。
でも、現に面接で落ちていますし…。せめて専門分野があればいいのですが、それもない。
うーん、自己評価がえらく低いようですが、PL、PMも任されているし、そこまでネガティブにならなくてもいいと思うんですがね…。では、なぜ面接で落ちてしまうのか、探ってみましょうか。
面接で聞かれたり、つっこまれて困った質問はありますか?
どの業界の知識があるのかと問われて、返答に窮したことはありますね。先ほど、専門領域がないとお話ししましたが、関わってきたプロジェクトがあまりに多岐にわたるので、「この業界の知識ならばあります」と言えるものすらないんです。これが私の最大の弱点かと…。
確かに、一業界、一分野に長けているわけではないようですが、知識が全くないはずはないでしょう。「いろいろな業界を見てきたからこそ、どんな案件が来ても素早くキャッチアップできます」というアピールが可能ではないですか?そう考えると、一つの専門領域を極めているエンジニアよりも、より幅広い、たくさんの企業に応募ができるといえます。ご自身の経験を、もっと前向きに捉えましょうよ!

確かにそうですね…。
「入社してすぐ活躍できます、即戦力になれます」とまでは言えとはいいません。でも、「1プロジェクト経験させてもらえればキャッチアップできる」ぐらいならば言えるのでは?どうかな?
はい、それならば言えると思います。
もっと詳しく言えば「PL、PMの経験があるので、入社後、何らかのプロジェクトにサブリーダー的な立場で入ることができれば、次からはリーダーとしてプロジェクトをまとめる自信があります」などと伝えてはどうでしょう。
なるほど、それも臆せず言えそうです。
ほかに面接で困った質問はある?
「印象に残っているプロジェクトと、失敗したプロジェクトを教えてください」というものですね。これは結構よく聞かれます。
何と答えたんですか?
いずれも、社会人になって一番初めに携わったプロジェクトと答えています。何もかもが初めてのことばかりでとても印象に残っているのですが、納期が遅れてしまったので…。
失敗の例はいいけれど、印象に残っているのが一番初めのプロジェクトという答えは、お勧めできませんね。10年ものエンジニア経験があって、たくさんのプロジェクトに関わっているはずなのに、10年前の初プロジェクトが一番の思い出?それ以降は何をしていたの?と企業は不安に感じてしまいますよ。

そうなんですか!?考えもしなかった…。
30代なのですから、「いろいろな現場を経験して、着実にスキルを積み上げている」という印象を相手に与えないと、「この人に仕事を任せたい」とは思ってもらえません。できるだけ最近のプロジェクトで印象に残っているものをピックアップしてください。可能であれば、応募企業ごとに、その企業の得意領域と少しでも関連性がありそうなプロジェクトを挙げられるといいですね。そうすれば、「このプロジェクトでの経験を活かして、○○分野を私の専門領域にしたい」という志望動機につながり、1本スジが通ります。
確かに!関わったプロジェクトを、もう一度見直してみます。
今までの経験を、どうか否定しすぎないで。場数の多さを「対応力がある」と強みに捉えて、ぜひ自信を持ってアピールしてくださいね。
環境の変化に流されるがままに転職してきたと思っていましたが、言われてみて初めて自分の志向に気づきました。弱点だと思っていた多岐にわたる経験も、次へのアピールにつなげられるとわかり、少し自信が持てました。(白戸さん)

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