転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 経験を活かし総務人事職に転職を目指すが、面接で落ちてしまう
(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2009年10月14日
道上将人さん |
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レンタカー会社の店舗営業職、居酒屋チェーンの総務人事職を、それぞれ8年間務める。2社目の経験を活かし、業界を問わず総務人事系の求人に応募している。しかし、書類はそこそこ通過するものの、一次面接の段階ですべて落ちてしまうのが悩み。 | |
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前職の居酒屋チェーンでは、本部スタッフとして総務人事業務全般に携わってきました。この経験を活かして同じく総務人事職に就きたいのですが、なかなか一次面接より先に進めないんです。ライバルに比べて、経験が浅いのが敗因でしょうか?
なるほど、まずは道上さんの経歴を拝見しましょう。…今までに2社を経験されているのですね。1社目は、レンタカー会社の店舗に8年間おられて、次は居酒屋チェーンで8年…。ほう、このタイミングで店舗営業職から、総務人事業務に転身されたのですね。これはなぜですか?
人と接するのが好きで、人の喜ぶ顔が見たい、困っていたら助けてあげたいという志向があるんです。居酒屋に応募したのもそういう理由からだったのですが、PCに強いことから面接の場で「総務人事として給与システムの立ち上げを担当してくれないか」と言われて。そう頼まれると嫌とは言えず、これも何かの縁だと思って入社したんです。
ということは、居酒屋チェーンには、初めは店長候補など店舗での接客業務に応募されたのですね?
あ、そうです。総務人事は未経験分野ではありましたが、手がけるうちにどんどん楽しくなって。システムの立ち上げのほか、皆を先導して作業効率のアップを図って残業時間の大幅削減を成功させるなど、効果を挙げました。
1社目と2社目の間に、1年間ブランクがありますね?2社目を辞めてからも、約1年経っていますが、これはなぜですか?
補足として記してありますが、その間は保険代理業をしている父を手伝っていたのです。
長く勤めていた仕事を辞めてまで、二度もお父様の仕事の手伝いを選んだのはなぜ?
1回目は、新規顧客が増えた時期で、どうしても人手が足りず、父に「お願いだから手伝ってくれ」と頼み込まれたんです。親に頭を下げて頼まれたら、断れません。1年経って、新規顧客との取引が軌道に乗ったころを見計らって転職活動を始め、2社目の居酒屋チェーンに入社したんです。
2回目は?
父も年をとり、体力的にも精神的にも、一人で仕事を回すのが難しくなってきまして。今回ばかりは腹をくくり、この仕事を継ぐ気持ちで戻ってきたのですが、折からの不況で顧客ががくんと減り、業績が悪化…今年6月に事業を畳むに至りました。
そうなのですね。ならば書類で、しっかり説明すべきですね。現状では「○年○月〜 家業の保険代理業を手伝う」と記しているだけでしょ。それが二度にわたっているから、人によっては「仕事が辛くなったら家業に逃げる人」と捉えるかもしれませんよ。採用してもまた「家業の都合で」と辞めてしまうのでは…と不安に思う人もいるでしょう。
そんなつもりは全くなかったのですが…。
しっかり家業を支え、最終的には自ら畳んでいるのですから、補足的ではなく、一つの職歴として組み込んで説明しましょう。そうすれば、書類通過率がもっと上がるはずです。…現在の書類通過率は、どれぐらいですか?
業界を問わず、20社の総務人事職に応募して、面接に進んだのは10社です。でもすべて一次面接で落ちてしまいました。
それはすごい!書類通過率5割は、このご時世かなりの高確率といって間違いありません。家業の部分を修正すれば、さらに上がるはずですよ。面接で落ちているのは経験の浅さではなく、ズバリいえば「面接時の印象」で落ちているのです。そこを改善していきましょう。
面接時の印象、ですか…。
そうです。書類は通過しているから、スキル的には問題ないはずです。面接では、人柄や、自社の雰囲気に合うかどうかを見られます。そこで落とされている可能性が高いですね。
どこが問題なのでしょう。
私が感じたのは、質問に対する答えが、少しずれているということ。そして、余分な回答が多いということです。質問には、「特定質問」と「拡大質問」があるのをご存じですか?
いえ…。
特定質問とは、「イエス」「ノー」のどちらかで答えられるもの、拡大質問はそれ以外です。こうやってお話ししていると、おそらく道上さんは、特定質問にイエスノーで答えず、だらだらと説明してしまっているのではないかな。こういうところで、コミュニケーション力が測られるんです。
気にしたこともありませんでした。
日常のやりとりにおいても、質問に対して正しい答えになっているのか、常に考えるクセをつければ、このスキルは鍛えられます。もし面接の場で、答えている内容に不安があったら、「今の回答で答えになっていますでしょうか?」などと確認すると、軌道修正できますよ。
なるほど…。
質問には的確に、端的に答えること。言い足りないと思うかもしれませんが、もっと突っ込んで聞きたければ、人事はさらに質問を重ねてきます。またそれに同じように答えればいいのです。あとは、対峙中の表情にも気を配りましょう。道上さんは笑顔が素敵なのに、すぐ目線を外す癖があるでしょう。あと、目線が下を向きがち。
面接のような場だと、緊張してしまって…。
背筋を伸ばし、前をしっかり見るだけでも、印象はがらりと変わりますよ。もともと接客をされていたのですから、意識すれば改善できますよ。
わかりました(にっこり)。
そうそう。その笑顔を、会話の合間にはさみ込むことを忘れないでね(笑)。あとは応募業界を少し絞ってはどうかな?今は幅広く応募されているようですが、道上さんの「人と接する仕事が好き」という志向を活かして業界を選んだほうが、志望動機に筋が通る。だからまずは、経験もある「サービス業の総務人事」に絞って応募してみては?「過去にこういう仕事を経験し、こういう志向があるからこそ、御社なんです!」という軸を持つと、より熱意が伝わるはずですよ。
面接が一向に突破できないので、自分の中ですごく課題感がありました。経験の浅さが原因だと思っていたので、客観的にズバリ指摘してもらってようやく欠点に気づけました。自身の頭も整理できたので、また新たな一歩を踏み出せそうです。(道上さん)
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