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(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2009年9月16日

![]() 三浦則之さん |
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新卒で大手SIerに入社し、CAD系のパッケージソフト開発、携帯電話のファームウェア開発に携わりエンジニアとして着実に経験を積む。3月末に退職し、技術系プレーイングマネージャーかITコンサルタントを目指して転職活動を続けるが、一次面接で落ちてしまうことが多い。 | |
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今回が初めての転職活動なのですね。
ええ、前職のSIerには丸7年勤めていました。長く関わっていたのは、CAD系のパッケージソフト開発です。途中、携帯電話のファームウェア開発にも携わったのですが、あまりの激務に体を壊してしまって。でも、会社がこの分野に注力する方針を打ち出したために、このままだとまた倒れてしまう!と今年3月に退職しました。それからずっと転職活動を続けているのですが…予想以上に情勢が厳しいですね。
どれぐらい面接まで進んでいます?
人材紹介会社経由なども含め70社ほどに応募し、そのうち2割は面接に進みました。でも、そこから先にいけないんです。一次面接の段階でほとんど落ちてしまって…。どこが悪いのか全然わからないんです。

2割も面接に進めているなんて、なかなかの高確率ですね!それだけ経験が評価されているのでしょう。どういう企業、職種に応募しているのですか?
職種はSEですが、将来的に技術系プレーイングマネージャーかITコンサルタントになれそうなところを選んでいます。エンドユーザーの顔が見える位置で仕事がしたいので、それができそうな企業だったら業種や専門分野を選ばず、どこでも応募していますね。
へえ、プレーイングマネージャーを目指しているのですか?それはなぜ?
年齢的に、そろそろマネジメントも覚えなければいけない時期じゃないですか。とはいえ、現場が大好きなので、ヒト・モノ・カネだけを動かすのはつまらないし、私の性に合わない。一方で、エンジニアとして技術を究めたい気持ちはあるのですが、最先端の技術を追っている一部のスーパーエンジニアには到底かなわない。これらを総合して、「自分で手を動かしながらマネジメントにも関わるプレーイングマネージャーを目指そう」という結論に至ったんです。
なるほど…。面接では志望動機をどう伝えているのですか?
エンドユーザーの顔が見える仕事がしたいということ、近い将来にプレーイングマネージャーを目指したいということ、CADだけでなくネット系の知識も強いので即戦力として貢献できるということ…これらをまとめて、志望動機として話しています。
うーん、その志望動機では「その会社じゃなければならない理由」に欠けていますね。応募先企業で何をしたいのかも、あいまいな感じ。
かなり広範囲に応募しているので、どうしてもそうなっちゃうんですよね。
この人は何ができて、それを武器に当社で何をしたいのか。これが見えない人を、企業は採用しようとは思いませんよ。「ユーザーの顔が見える」ひとつを取っても、該当する企業はかなり多いはず。だから企業は、三浦さんが自社に合うかどうかの判断ができず、採用を見送っているのでは?

あいまいな伝え方をしているつもりはなかったのですが。
あと、少し気になるのが三浦さんの「話し方」です。なんだか、人の話を聞いていないように見えるんですよね。
ええ?そうですか?ちゃんと聞いていますけど…。
三浦さんは頭の回転が速い人なのでしょう。私が質問している間にも、「なんと答えようか」と頭をフル回転させていることが、目線や表情からわかるんです。つまり、話しかけられたそばから自身の思考に集中してしまって、目の前の人に心が向いていない。それって、あまりいい印象とは言えません。
確かに、質問されている間に、もう答えを考え始めてしまいますね…。でも、それが面接でマイナスに働くとは…。
面接は、コミュニケーション力を見られる場でもあるんですよ。話し方のコントロール方法を、もっと考えていきましょう。
三浦さんは、かなりの早口ですね。そして会話のテンションも高め。いつもそんな感じで面接に臨んでいるのですか?
はい、いつもこんな感じです。…実は、転職活動を始めたばかりのころに人材紹介会社経由で受けた会社の面接で、自分を抑えすぎてダメだったことがあるんです。落ちた理由を聞いてみたら、「おとなしすぎて客先でコミュニケーションが取れなさそう」とのこと。それだったら無理に自分を抑えず、個性を出していこうと。
個性を出すのはいいと思いますよ。ではもう少し、話し方をコントロールすることを心がけましょう。まずは一旦、相手の質問を一通り聞く習慣をつけて。話の途中で答えを考えたくなる気持ちはわかりますが、まずはすべてを受け止めましょう。そして、一拍間を空けることを心がければ、スピードがある程度調整できます。
なかなか難しいなあ…。
面接は、企業と応募者、双方が理解し合う場です。こちらからアウトプットしても、相手の話をきちんと聞いたうえでの答えだということが理解してもらえなければ、意味はありません。「この人は人の意見を聞けるだろうか?クライアントやユーザーとコミュニケーションが取れるだろうか?」と、不安に思われてしまいます。きちんと相手の話を聞き、「理解しているという姿勢を示す」ことも、コミュニケーションにおいては重要なのですよ。これは日頃の努力で鍛えることができます。まずは日常の会話から、練習してみてはどうですか?

なるほど、やってみます。
…お話ししていると、三浦さんはプレーイングマネージャー的じゃない気がするんだけどなあ。個性を活かして技術を追求したり、新しいものを生み出していくタイプに見えます。本当にマネジメントがやりたいの?先ほどは、「年齢的にそろそろマネジメントを経験しなければ」と言っていたけれど…。
一般的に将来のキャリアを考えたら、マネジメントの方向がいいのかなと。
面接で落ちているのは、企業にそのあいまいな気持ちが伝わっているのも一因かも。「本当にプレーイングマネージャーをやりたいというわけではなさそうだ」と感じ取り、ギャップを覚えたのかもしれません。…こうなったら自身の気持ちに正直に、技術を究める方向で行くのはどうですか?自分の中でそちらに振り切ったら、応募先も絞られるし、志望動機の内容も伝わり方も、がらりと変わってくると思うんですが。
今後のキャリアや市場価値を考えたら、もっとゼネラリストになるべきだと思っていました。
「マネジメントに関わりたい」と言われたら、面接では当然、コミュニケーション力や周囲との調和性をチェックされます。でも技術を究めたいとなれば、個性もある程度認められます。面接の場が、三浦さんが勝てる土俵になると思いますよ。
そうですね、もう一度自身の志向と向き合ってみます。
三浦さんの個性が活かされる場所が、必ずありますよ。ただ、コミュニケーションの幅を広げる努力は続けてくださいね。話し方を少し工夫するだけで、相手の印象はがらっと変わります。三浦さんの想いを、ぜひ効果的に伝えてください。
技術が好きなのに、無理にゼネラリストの道を歩もうとして、キャリアプランが中途半端だったようです。それがマイナス印象になっていたのは残念。コミュニケーションについてのクセも、これから注意していきたいと思います。(三浦さん)

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