転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 未経験からウェディングプランナーを目指すも面接で不採用になる
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(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2009年9月2日

![]() 溝口洋子さん |
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健康食品会社で営業、フード系フリーペーパー発行会社で新規媒体の立ち上げ業務、ケータリング会社でパーティープランニングなどを担当。3社目でウェディングプランナーの仕事に触れたことを機に転身を志すが、面接の段階で落ち続けている。 | |
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未経験ながら、ウェディングプランナーの仕事に就きたいと思って、今までに8社応募しました。そのうち7社は書類が通過し、面接を受けたのですが、ほとんどが一次面接どまりなんです。31歳で未経験というのは、やはり不利なのでしょうか?
いや、書類は通っているのですから、そこが問題ではないはずですよ。…そもそも、なぜ溝口さんはウェディングプランナーに転身したいと思ったのですか?
前職のケータリング会社時代に、ウェディングパーティーに何度か関わったんです。そのときに、ウェディングプランナーの仕事ぶりを見て、とてもやりがいのある仕事だと感じまして。30歳を過ぎて、「これから一生携われる仕事って何だろう?」と考えたときに、「この仕事しかない」と思ったんです。

うーん、それって、面接のときに実際に話している内容ですか?
はい、そうです。
ウェディングプランナーが一生続けていける仕事かというと、ピンとこないなあ。結婚式は一生に一度の舞台。絶対に失敗できない、責任は重いし体力的にも大変な仕事ですよね。だから、「やりがいがありそう、一生携われそう」と言われると、ウェディング業界に憧れ、夢を見ているだけのような印象を受けるんですよね。
決してそんなことはないのですが…。今までの職務経歴と、ウェディングプランナーへの志望動機が、どうもうまく結び付けられなくて。
企業が面接の場で知りたいのは、溝口さんがどういう人で、どんなことを考えているのか。そして、どんな想いを持って新しい職種に挑戦しようとしているのか、です。そういう意味では、先ほどのような志望動機だと「たまたまウェディングプランナーの仕事に触れる機会があって、いいなと思ったから応募してみた…ぐらいなのかな?」と受け取る人が少なくないでしょう。本気でこの仕事に就きたいんだろうか?本当にやり切れるのだろうか?と疑問を持たれてしまい、不採用になっているのかもしれません。まずは、志望動機を練り直すべきですね。
そうなんですか…。
ときに、若手ではなく30歳の人を採るときの企業側の心理って、どんなものだと思う?
統率力を発揮してメンバーをまとめてほしい、でしょうか?
そうですね。あと、社会人経験の浅い若い人は、ベテラン層に比べるとどうしても仕事に抜けやムラがあったりする。また、冠婚葬祭におけるしきたりや微妙な人間関係の大切さなどは、ピンとこない人が多いでしょう。このあたりを押さえたうえで、力を発揮してほしいという期待もあるでしょうね。
なるほど、そうですね。
だから、若い人が持っていないこういう知識や経験をアピールできると、ライバルに差をつけられるでしょう。溝口さんは今まで、ハードで責任ある仕事を手掛けてこられたようですし、そのあたりをもっと掘り下げていきましょう。
改めて、今までの仕事内容についてお聞かせいただけますか?
はい。1社目の健康食品会社では、主にドラッグストアや量販店向けの営業に従事していました。2社目で携わったのは、新しいフード系フリーペーパーの立ち上げ。飲食店への広告営業、取材、執筆、撮影と、ほぼすべてをこなし、創刊に結び付けました。新規開拓営業はなかなかうまくいかず苦労の連続でしたが、おかげで相当タフになりましたね(苦笑)。
かなりハードな仕事でしたね。何人ぐらいのスタッフが関わっていたのですか?

私のほかに2人が立ち上げメンバーとして入社したのですが、2人とも3カ月で辞めてしまって。ほぼ1人で創刊までやり切りました。しかし、あまりに激務だったので、とても長く続けられないと思い、3社目である前職のケータリング会社に転職したんです。お客さんのニーズを聞いて、ピッタリのパーティーメニューやテーブルコーディネートを提案し、当日はスタッフを取りまとめて滞りなく運営するという役割を担っていました。…営業的な側面も強い仕事でしたね。急に予約がキャンセルになることも何度かあったのですが、どこが悪かったのか、どこが希望に沿わなかったのか必ずヒアリングして、よりよいプランを再提案していました。
なるほど。バラエティに富んだ経歴ですね。この3つの仕事、一見バラバラのように見えますが、キーワードは「食」なのですね。さまざまな形で、食に関わっていらっしゃった。これは何か理由があるのですか?
いえ、単純に、食べることが大好きで(笑)。死ぬまでにあと何回食事の機会がある?と考えると、一回一回の食事を大切に、楽しみたいと思いませんか?自分が「楽しい」と感じることをみんなに広く伝えたい、食べ物そのものだけでなく食の環境や空間も含めて提供したい…と思っていたら、いつの間にかこういうキャリアを歩んでいたんです。
溝口さん、それを志望動機として伝えましょうよ!すごく自然に、溝口さんの想いが伝わってきたし、納得感もありましたよ。
でも、食へのこだわりをウェディングにうまくつなげられないんです。「ハレの舞台の食事シーンを盛り上げたい」などと考えてはみたのですが、これでは志望動機として弱くないですか?
そんなことないですよ。結婚式って、人生の中で一番幸せな場面。そこでの食事は非常に大切な要素だし、一生思い出に残るものです。「食に関わった経験を活かして、そんな幸せの場面をこの手で盛り上げたい!」という、正直な気持ちを伝えましょう。そもそも、うまく話そうと考えすぎると、どうしても不自然になります。心からの言葉には魂が乗りますから、イキイキと、しかも強く相手に伝わるものですよ。
うまく伝えようとばかり思うから、肝心の熱意が伝わり切らなかったんですね…。
そのうえで、特に2社目、3社目で培ったタフさと仕事へのスタンスをアピールしましょう。難しいお客様、わがままを言うお客様にも、あきらめることなく真摯に向き合い、丁寧に対応して次につなげてきたこと。激務の中、一人で立ち上げ業務をやりきったこと。若い人を束ねて仕事を成功に導いたこと。そして肉体的にも精神的にもタフであること…。これらのことを、自身の経験を交えて伝えれば、「20代前半のポテンシャルよりも、溝口さんの豊富な経験と熱意に賭けたい」と思う採用担当者が出てくるはずですよ。
わかりました。これからはもっと、面接で自分の想いを押し出していこうと思います。
ぜひ!今の溝口さんの表情や言葉、初めとは打って変わってイキイキしていますよ。取り繕った言葉やきれいごとは、面接担当者は敏感に感じ取ります。「耳障りはよかったけれど、人柄がわからなかったね」と思われてしまっては損。肩の力を抜いて、自然体で面接に臨んでくださいね。
今までの経歴を、ウェディング業界を目指す理由にどうにかつなげないと…とばかり考えていました。へたにつなげようとするから不自然になり、想いが伝わらなかったのですね。相手に届く軸、届く言葉が整理できました。(溝口さん)

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