転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 一次面接は盛り上がるのに、二次面接以降で必ず落ちてしまう
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(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2009年7月15日

![]() 水島敏広さん |
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情報サイトのマーケティング職としてスキルを積んできたが、別の環境でステップアップしたいと同職種転職を目指す。書類通過率は高く、一次面接もとても盛り上がるのに、二次面接以降で必ず落ちてしまうのが悩み。 | |
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マーケティング職としてステップアップしたいと考え、同業種転職を目指しています。経験者なので書類選考はたいてい通過するし、一次面接に出て来る30歳前後の現場担当者とはとても盛り上がるのですが、それ以降の面接がダメなんです。話がかみ合わないし、そもそも向こうが私のことをよく思っていない感じで…一体何が悪いんでしょうか?
なぜでしょうねえ…。例えばどんな会話をしたときに、「反応悪いな、盛り上がらないな」って感じましたか?
前職では、企画を考えるために土日に出社したり残業するのが当たり前でした。次の環境でもそれができるのかどうか確かめたくて、「土日出勤、残業は可能ですか?」と聞くと「ちゃんと制度を整えているからそんなことは心配しないで」と言われたり、真面目に「御社が今後目指す方向性を教えてください」と言うと、途端に嫌な顔をされたりしましたね。どれもそんなに変な質問じゃないと思うんですけれど…。どうも私の発言がすべてマイナスに取られているようなんです。

うーん、聞き方にもよると思いますけれどね…。水島さんはハキハキテキパキ話すタイプだから、まるで批判しているように聞こえてしまうのかもね。
前職では、サイトに対する顧客の課題を聞き出すのが仕事の一環でしたから、躊躇なくズバッと切り込んで聞いてしまうクセがついているのかも。でも一次では、総じて好印象を与えていると思うのですがね…。
一次面接と、それ以降の面接では、確認することが違うんですよ。
えっ?そうなんですか?
ええ、一次面接は、採用担当者か現場の担当者が受け持つことが多いですよね。彼らは主に、募集職種に関するスキルを持っているか、当社の仕事をきちんとこなせそうかどうかをチェックしています。そういう意味では、水島さんは申し分のないスキルだったのでしょう。だからこそ、会話が盛り上がったんだと思います。
そうですね。一次の段階では「早くうちに来てほしい」なんて言われたりもしました。
でも二次以降に出てくるのは、現場責任者や役員になります。彼らが面接で見ているのは、主に「人柄」と「キャリアの方向性」です。一次面接の段階でスキルは確認済みですから、今度は自社の風土や目指す方向性に合う人かどうかを見たいと考えています。…二次以降で落ちてしまうということは、自分のカラーの出し方を少し間違えているのかもしれませんね。
使いにくいタイプだと思われてしまうんでしょうか。「御社が目指す方向性は?」と聞いたときは、「生意気なことを聞くな」という雰囲気を感じました。「面接でこう聞かれたらこう返そう」と、想定されるやりとりのシナリオを作って、万全の態勢で臨んでいるのですが。
シナリオを作って臨むのは、すぐに止めたほうがいいでしょう。面接の場で緊張してしまい、何を話していいかわからなくなる人には必要かもしれませんが、水島さんはそういうタイプではないですよね?どんな場面でも動じずに、ポンポン調子よくやり取りできちゃうでしょう?
はい。全く緊張はしないですね。だから相手の顔色のちょっとした変化も察してしまい、どうにか相手に合わせようと努力するのですが、盛り上がらずに終わってしまうんですよね。人間性という部分で、誤解されがちなタイプなのでしょうか?実際に入社して、働きぶりを見てもらえれば、気に入ってもらえると思うんですけどねぇ。
うーん…(熟考)。その質問に答える前に、二次以降でチェックされるもう一つのポイント、「水島さんが目指すキャリア」を聞かせていただけますか?
やりたいのは、補佐的な仕事ですね。自らビジネスを引っ張るリーダーというよりは、その右腕としてともにビジネスを動かす立場が僕には向いていると思うんですよ。
うーむ、それって「キャリアの軸」とは違うでしょ。マーケティングの経験があって、マーケティング職に応募しているんだから、その道をどのように極めたいのか、もしくは今の経験をステップとしていずれは違う道を歩みたいのか、そこが具体的に知りたいんですよ。そもそも、28歳で「補佐がやりたい」という人を、積極的に採用する企業は少ないでしょう。30歳前後の経験者採用ならば、スキルはもちろん、リーダーとして全体を引っ張っていく気概のある人にこそ来てほしいと思うものですよ。
そ、そうなんですね…。
水島さんの軽妙でこなれた会話力と、一方でキャリアの軸を「補佐」と言い切ってしまうあたりに、変なギャップを感じてしまいますね。その違和感を、役員クラスは感じ取り、敬遠しているのかも。面接での会話の中身を、少し再考してみる必要がありそうですね。
改めてうかがいますが、水島さんはマーケティング職としてステップアップしたいんですよね?どんな場面でやりがいを感じ、どんな業務をこれからも手がけたいと考えますか?
それでいうと、今までにないサービスを新たに生み出し、世に貢献したいという思いが強いですね。実際にマーケティング担当として新しいサイトの構築に関わった経験もありますし、こういうクリエイティブな業務に最もやりがいを感じます。

なるほど、そういう答えならば納得できます。企業は、今までの業務経験の中でこれからも手がけたい業務は何か、そして仕事を通じて何を実現していきたいのか、具体的に知りたいと思っているからです。少し意地悪を言えば、自身の業務経験を踏まえた「キャリアの軸」がないと、応募したい企業かどうかそもそも判断できないと思いますよ。そのあたりの揺らぎが、二次面接以降でマイナスに働いてしまったのでしょう。――考えてみれば、「御社が目指す方向性は?」という質問に、面接担当者がむっとしたのもわかります。そもそも「企業のビジョン」をわかったうえで、応募しているはずですからね。例えば「御社のホームページで経営ビジョンを拝見し、○○○と理解したのですが…」など、自身の見解を伝えたうえでさらに突っ込んで聞くならばいいと思いますが。
確かに…。
どんな仕事にやりがいを感じているか、なぜその企業に応募したのか、そしてその企業にどう貢献できるのか。面接の際は、この3点をしっかりと自分の腹に落としておくこと。そのうえで、水島さんの場合は面接のシナリオを作らずに臨めば、自身の軸を中心に会話がスムーズ進められるはずですよ。少なくとも、今までよりはずっと自然に。
うまく答えようと考えすぎて、自爆していたのかもしれませんね。
だと思います。話がとてもうまいということを、自分で認識しましょう。がっちりシナリオを作ってしまっては、ただでさえ話し上手なのに必要以上に調子よく聞こえてしまう。そのうえキャリアの軸も見えないとなれば、「口先ばかりで信用できなさそう」との印象を与えてしまい、「口ベタだけど、朴訥としていて真面目そうなBさんを採用しようか」となってしまう。今のままでは絶対に損ですよ。「ここに入社してやりたいこと」をベースに会話ができれば、話の筋が一本ピシッと通るから、話し上手であることが当然ながらプラスに活きてきます。
わかりました。もう一度やり直してみます!
せっかくのキャリアを正当に評価してもらうためにも、自分を武装しすぎることなく、ぜひ自然体で臨んでくださいね。
落ちている原因にうすうす気付いていながらも、確信が持てずにいました。今日は、ビジネス会話の根本を理解できた気がします。仕切り直しのいいチャンスをもらったので、気持ちを切り替えて一から頑張ります。(水島さん)

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- 伊藤理子
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