転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 応募書類は通過するのに、ほとんど一次面接で落ちてしまう
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(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2009年4月15日

![]() 小田原あかねさん |
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新卒で中堅建材メーカーに入社し、人事を務めて8年。仕事内容は給与関係がメインで、採用や研修などほかの人事業務に携われないことに不満を感じ、30歳を機に同業種転職を決意。しかし、応募書類は通過するものの、面接の段階で落ちてしまう。 | |
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新卒で、中堅の建材メーカーに入社し、ずっと人事畑を歩んできました。でも、人事の仕事の中でも、給与関係の業務にしか携われなくて…。新卒や中途採用、社員研修業務など、幅広い業務に関わりたいと思って転職活動を始めたんですが、書類は結構通過するのに一次面接でほとんど落ちてしまうんです。
なぜでしょうねえ…。小田原さんご自身は、どう分析されていますか?

人事業務の中でも、給与という一部分しか経験していないから、スキル不足と判断されているのかなあと。あと、転職エージェントを通じて面接を受けた会社に、不採用の理由を聞いてもらったところ、「おとなしそうで、自ら動かないという印象を受けた」と言われたんです。決してそんなことはないのに、第一印象で損をしているのでしょうか。
まず、前者は不採用の理由ではありません。給与分野の経験しかないことは、応募書類でわかっていますから、わざわざ面接に呼んでいるということは、そこはネックではないということです。後者の「おとなしそう」という理由ですが、どんな会社に言われたんですか?
IT関連会社の○○社です。
ほう、なかなかの大手ですね。小田原さんは、大手を中心に応募しているのですか?
はい。このご時世で中小企業の募集が少ないということもありますが、大手だと人事の仕事のスケールも大きいでしょうし、さまざまなことに関われそうだと思って。今まで20社ほどに応募しましたが、大半が名の知れた大手ですね。
(応募企業のリストを見て)こういう名だたる企業で、書類選考を通過しているということは、すごいことですね!人事は経験者の応募が多い職種ですから、競争率は高いはず。そのなかで選ばれているんですから、自信を持っていいでしょう。
でも、一次面接でことごとく落ちてしまうのはなぜなんでしょう。人事の仕事に対しては人一倍意欲を持っていますし、一生懸命自己アピールしているつもりなのですが…。
先ほどのIT関連企業が「おとなしそう」と判断したのは、わかる気がします。IT業界の技術の進化は日進月歩、スピード感が命であり、人の入れ替わりも多い。一方、小田原さんが勤めているメーカーは、堅実で安定経営という印象。面接で、改めて典型的なメーカー出身者らしい人と感心、ITならではのスピードについて来られないのではと思われたのでしょう。落ちた理由はおそらく、そこだけ。小田原さんが悪いわけではないですよ。
とはいえ、そういう印象を持たれてしまうのは悔しいです。どうにか払拭する方法はないでしょうか?
そのIT企業も、小田原さんがメーカー勤務なのは書類の段階で知っているんですから、面接で効果的にアピールすれば可能性はあったはずなんです。面接の突破方法を、一緒に考えていきましょう。
面接のときを思い出してみてください。何か困った質問や、受け答えに悩んだ場面はありませんか?
退職理由を聞かれると、いつも悩みます。「今の会社では給与業務しかできないから」というのは後ろ向きな印象だし、どこまで正直に答えていいものかと思って…。「長所と短所を教えてください」という質問も困りますね。どのように短所を伝えればプラスの印象にできるか迷ってしまいます。また、「入社してやりたいことは?」と聞かれたとき「給与業務だけでなく採用など業務領域を広げたい」と答えたら、「そう言われてもすぐにはできないよ」と返され、言葉に詰まってしまったこともたびたびあります。
なるほど。そのように、企業にどう思われるか気にしながら答えているのが、おとなしく消極的なイメージにつながっているのかもしれませんね。

そうなんですか?(驚)
一次面接に出てくるのは、だいたい人事担当者ですよね。小田原さんの場合は人事希望ですから、面接担当者=入社後の直属の上司か先輩になるわけです。そんな彼らから見て、マイナス印象を持たれまいと取り繕いながら話している応募者と、自分に自信を持って話している応募者、どちらと一緒に働きたいと思うでしょうか?
…うーん、間違いなく後者ですね。こういうことを言ったらマイナス印象かなと思って、つい歯止めをかけながら話してしまうんですが、それが逆効果だったんですね。
相手は採用のプロですから、取り繕った答えはすべて見透かされています。「なかなか心を開いてくれない人」と判断されてしまってはもったいないですよ。
では、例えば退職理由はどのように答えればいいのでしょう?私の理由の場合、どうしてもネガティブな印象を与えるのではないかと思うのですが。
今の会社では、給与以外の人事業務には絶対に関われないの?
人事部門は、部長を入れて全部で4人なのですが、私が一番下っ端なんです。小さな会社ですし、当面後輩が入ってくる予定はありません。そして先輩は2人とも40代の大ベテランで、それぞれ採用業務、研修業務をずっと担っているので私が入る隙がないんです。私ももう30歳ですし、そろそろマネジメント経験を積みたいと思うのですが、ここにいる限りは当面叶いません。だから転職しかないと思ったんです。
それって、全然ネガティブじゃないですよ。「仕事の幅を広げたいし、責任も持ちたい。でも今の環境では叶わない。だから環境を変えるために転職する」…転職理由としてしごくまっとうじゃないですか。自信を持って、ありのままの理由を伝えるべきですよ。
え?いいんですか!?
ええ。逆に、その退職理由を正直に伝えることで、「おとなしそう」「消極的」とのイメージも払拭できるはずです。「こういう環境にいたからこそ、若くて元気があり、さまざまな業務に挑戦できる会社に行きたいと思った」と話せば、先述のIT企業も「これだけの強い理由があるならば、スピード感のある仕事にもついてこられそうだ」と感じるでしょう。加えて、「メーカーで腰を据えて真面目に仕事をこなしてきたので、より強固な組織作りに尽力できます」と伝えれば、メーカー経験をプラスにアピールできますよ。
IT企業に対しても、メーカー経験を逆に強みとして伝えればいいんですね。
そうです。そして、本当に人事のいろいろな業務に関わりたいんだったら、大手狙いよりは、中小やベンチャーを狙ったほうがいいでしょう。大手は人事部の規模も大きく、分業になっている可能性が高いからです。例えばベンチャー企業ならば、企業の成長スピードが速くて、それを支える事務部門の拡大が追いつかず、組織運営が粗くなったりするもの。メーカーで培った「より強固な組織作り」を担う力が、より求められています。大手に比べれば、比較的短期間でマネージャーにもなれるでしょう。今の職場に比べれば、ぐっと忙しくなると思いますが、それを厭わないならば幅広い現場経験が積めますよ。
なるほど、今後は視野を広げて、アプローチしてみます!(にっこり)
小田原さんは笑顔が柔らかくてステキですから、面接でも緊張しすぎることなく、自信を持って臨めば大丈夫。あなたの真面目な人間性が、きっと伝わりますよ。
今まで「これを言ったらマイナスだろうか」と、相手の顔色をうかがいながら話していましたが、それが消極的な印象につながっていたんですね。これからは、飾りすぎることなく、ありのままの自分をアピールしたいと思います。(小田原さん)

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- 伊藤理子
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