転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 正社員になりたくて事務職に応募するが、なかなか内定が出ない
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(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2009年3月18日

![]() 百田範子さん |
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契約社員や派遣社員、短期アルバイトとして、旅行会社3社で旅行手続きの事務を担当。その後、別の旅行会社で富裕層向け旅行手配担当の契約社員となるが、業績悪化で契約更新が行われず、1年半の任期を満了し昨年末に退職。正社員になるため事務職に応募するが、書類落ちが続く。 | |
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今まで旅行会社を4社経験しましたが、いずれも契約社員や派遣社員、短期アルバイトなどの雇用形態でした。直近に勤めていた旅行会社も契約社員だったため、この経済情勢を受けて契約更新が叶わず、任期満了で辞めることになってしまったんです。富裕層向けの旅行手配の担当で、忙しくもやりがいある仕事だったので、すごく残念で…。だから今度は絶対に、正社員になりたいんです。
応募しているのは、旅行業界以外の事務職なんですね。

はい。本当は旅行業界がいいのですが、求人件数が少なくて…。だから、別の業界に移ろうと思っています。ただ、応募書類の段階で落ちてしまうんです。まだ数社にしか応募していないのですが、未経験の業界に行くのは厳しいのでしょうか?
その前に、事務職を目指しているのはなぜ?
今まで事務手続きなどアシスト業務が多かったので、その経験を活かせるかなと。数字を1つ間違えたら大トラブルになる仕事なので、細かいところまで気を配るようになりましたし、数字にも強くなりました。PCの操作にも自信があります。
なるほど。でも直近の仕事は、事務ではないんですよね?その「やりがいがあった」という仕事。
はい。旅行会社の中の、富裕層向けチームに所属し、カスタマー対応をしていました。お客様からの旅行申し込みや問い合わせの電話を受け、それに対応する仕事です。それまでは事務作業ばかりだったので、お客様と直接やり取りできる仕事がしてみたくて…。難しい要望も多かったですし、言葉遣いややり取りにも細心の注意を払わねばならず、とても苦労しましたが、それだけやりがいも大きかったですね。
ならば、事務ではなく、その経験を活かして別の職種に転身したほうがいいんじゃないのかなあ?
ええ?事務以外の職種ですか?
そもそもこの経済環境を受けて、事務職の正社員の募集は減っています。一方で、百田さんのように契約満了などで転職を考える人は多く、事務職の求人は高倍率になってしまっているのです。その中で、正社員経験がなく、職務経歴上は転職回数が多く見えてしまう百田さんは、どうしても不利。本当に事務の仕事に就きたいならば別ですが、前職でのやりがいを聞いていると、もっと別の選択肢を考えたほうがいいと思ったんです。
…どうしても事務がやりたいわけではなくて、事務の経験ならば別業界でも活かせるんじゃないかと思ったからなんです。前職の仕事は、ほかの業界には応用しにくいと思って…。
いやいや、応用は可能ですよ。応募書類の書き方も含め、百田さんのキャリアをもう一度見直してみましょう。
富裕層向けの仕事はなかなか大変そうですね。厳しい要望や意見、無理難題を言う人も多かったのではないですか?
はい。しかし「どのような要求にもノーとは言わない」がチームの方針だったので、最大限こたえられるよう努力しましたね。ただ、掛かってくる電話の本数が多いので、すべてに対応しきれず、どうしても電話をお待たせしてしまうことが多いんです。目の前のお客様の要望に丁寧に対応しつつも、次のお客様を待たせないように迅速に行動しなければならない。サービスの質は落とせないので、いつも緊張感を持って仕事に臨んでいました。多いときは、1日30人のお客様の対応をしました。

それだけ大変な仕事なのに、1年半の契約期間を満了したのは立派ですね。途中で投げ出したくなることはなかったのですか?
確かにしんどかったですが…負けず嫌いな性格なんです(笑)。難しい仕事をやり遂げたときは、気分がいいですしね。一緒に契約社員として入社した人は、みんな半年以内に辞めてしまいましたが、私だけ任期を満了しました。
それ、カスタマー対応のプロですよ。その仕事にやりがいを持っていたならば、その方向で転職を考えたほうがいいと思います。この1年半の業務経験が、百田さんのビジネスパーソンとしての最大の強みだと自覚し、ここを強くアピールしましょう。
どんな職種ならば、スキルの応用が可能でしょうか?
まずは、メーカーなどのカスタマーサポートが挙げられますね。富裕層向けという、最上級のサービスやホスピタリティが求められる仕事に就いていたんですから、顧客対応能力の高さを評価されるはず。また、営業職という道もあると思います。例えば不動産会社のカウンター営業など、百田さんの力を発揮できると思いますよ。
なるほど!意外な道が開けました。営業は特に意外でしたが…そういえば前職では成約額の高さで表彰されたりしたんです。頑張った分、成果を感じられる仕事でもあったので、すごくやりがいを感じましたね。
ほう、すごいじゃないですか!忙しい中、サービスのクオリティを維持しながら、業績を挙げていた経験は貴重ですよ。百田さんはやはり、事務などの裏方的な仕事より、ご自身が前面に出る仕事のほうが向いているのではないかなあ。
確かにそうかもしれません。
たとえ一般事務に応募するにしても、前職での経験を最大限アピールすべきです。ここまで責任を持って業務に臨んできたということが伝われば、ほかの事務経験者と一線を画すことができますからね。職務経歴書のトップに、前職で得たスキルの要約を数行入れるといいでしょう。富裕層顧客の対応で、どんな難しい要望にもノーと言わず、ハイクオリティのサービスを提供してきたことを伝え、カスタマー対応には自信があると伝えるんです。そして、職務経歴の説明は、1〜3社目はあっさりでOK。4社目である前職の説明を厚くして、強くアピールしましょう。
わかりました。早速まとめ直してみます!
自分のビジネススキルに、もっと自信を持って。面接にも胸を張って臨めば、きっといい結果につながりますよ。
未経験職種への転身は無理だろうと思い込んでいましたが、今回いろいろな職種への可能性を指摘されたので嬉しかったですね。少し自信が出てきました。本当にやりたいのはどんな仕事なのか、もう一度じっくり考えてみます。(百田さん)

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- 伊藤理子
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