転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 一度は営業職に転身したものの、再びエンジニアに戻りたい
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(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2009年2月18日

![]() 長谷川和彦さん |
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大手カーディーラーでサービスエンジニアとして8年間勤務した後、生命保険の営業に転身して1年半。しかし、やはりエンジニアに戻りたいとの思いが強まり、医療機器やコンプレッサーのフィールドエンジニアに応募するが、なかなか書類が通らない。 | |
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長谷川さんの前職は、カーディーラーのエンジニアだったんですね。で、またエンジニアに戻りたいと。そもそもなぜ、営業職に転身したのですか?
前の勤務先は「社歴を積んだら、エンジニアの経験を活かしてフロント業務についてほしい」という方針。私としてはずっとエンジニアを続けたかったので、その体制に不満を持っていました。そんなある日、現在勤めている生命保険会社からヘッドハンティングを受けまして。保険に対する顧客の不安を解決する仕事と聞き、今までエンジニアとして車に関する問題解決に努めてきた経験が活かせそうだと、飛び込んでみたんです。

思い切った転身でしたね。…でも、失敗だったと?
失敗とは思っていません。営業の仕事にも楽しさを感じていますし、この1年半でそれなりの実績も挙げています。しかし、私が本当にやりがいを感じるのは、目の前の問題をこの手ですぐに解決し、困っているお客様に喜んでもらう瞬間。今の仕事に就いてみて、初めてメカニックの仕事が本当に好きなんだと気付いたんです。だから今度は、エンジニアとして長く現場で活躍できそうな、医療機器やコンプレッサーなどのフィールドエンジニアを目指しています。
なるほど。筋は通っていますね。…でも、今の応募書類からは、長谷川さんのエンジニアとしてのスキルが読み取れないなあ。職務経歴を見ると、車検整備、法定点検、一般整備、クレーム対応…としか書かれていませんし。現職の営業実績は詳しく書かれていますが、営業スキルばかりをアピールされても、応募先企業はフィールドエンジニアを採用したいんだから戸惑うだけですよね。
書類のまとめ方には、苦労しています。エンジニアの仕事から1年半離れているだけに、どの経験をどうアピールすればいいのか悩んでいて…。やはり、手掛けてきた業務経験を書き連ねるだけではダメなのですね。
ブランクを気にされていますが、それはさほど問題ではないですよ。それよりも、長谷川さんがエンジニアとしてどれだけの技術を持っているのか、この応募書類からは判断できないのが問題。このご時世、経験不足の人を採用して育てるパワーは、どの企業にもありませんからね。
なるほど…。
しかも、一般論として言えば、自動車のサービスエンジニアは、「お客様から修理を請け負う」という受け身な印象があります。そのあたりも採用担当者は不安に感じているはず。そこを書類の段階で払拭すべきですよ。
…確かに、サービスエンジニアは受け身の仕事というイメージがあるかもしれません。実際にそういう人もいると思います。ただ、新車の場合など、メーカーサイドも把握していない不具合に直面することも多いんです。マニュアルもない中、配線図を見たりコンピュータプログラムをチェックしながら、今までの知識を総動員してバグを発見し、メーカー側にフィードバックした経験も、一度や二度ではありません。
なるほど!それはすごいアピールポイントですよ!マニュアルにも載っていないトラブルを、自ら発見し、解消してきた経験は、どの企業でも高く評価されるはずです。まずはそれを伝えるべきですよ。車検整備や法定点検なんて、車を運転する人ならば誰しも知っていることですから、触れなくてもいいぐらい。

目の前で困っているお客様のために、何とか早く問題を解決してあげたいという一身で取り組んできたことだったのですが…それがアピールになるのですね。
その仕事に対する姿勢も、一緒に伝えるといいでしょう。お客様のために、技術を探究してきた姿勢です。この人はエンジニア魂もあるし、顧客のために動くことができる人だと伝わりますよ。
…でも、1年半、別の職種に就いていたことは、やはりマイナスイメージになりますよね?
人生において、無駄な経験はありませんよ。エンジニアとしての1年半のブランクがマイナスだと後ろ向きにとらえている人と、少し遠回りはしたけれどその間の経験も十分活かせると胸を張っている人、あなたが採用する側ならどちらを採用しますか?
…間違いなく、後者ですね。書類があまりにも通らなかったから、つい後ろ向きに考えてしまっていました。
前述の経験を伝えたうえで、営業として外に出て顧客を新規開拓しながら、課題解決に注力してきたこともアピールしましょう。ずっとエンジニア畑にいる人とは違う強みを持っていると、自信を持って伝えるんです。
わかりました!なんだか光が見えてきたような気がします。
それはよかった(にっこり)。長谷川さんは会話のキャッチボールがうまくて、コミュニケーション能力も高い。応募書類の段階で、技術者としての経験と姿勢が伝われば、内定は近いと思いますよ。
応募書類の作成に、とても苦手意識を持っていました。でも自分の技術者としてのアピールポイントが理解できて、一気に霧が晴れたような気がします。1年半の営業経験も、胸を張って伝えたいと思います。(長谷川さん)

- EDIT
- 伊藤理子
- DESIGN
- マグスター
- ILLUST
- もりいくすお
- PHOTO
- 刑部友康