転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 激務の映像関係の仕事から事務職に転身したい
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(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2009年1月7日

![]() 前田みどりさん |
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大学卒業後、企業のPRビデオ制作会社に入社し、現在3年目。ディレクター業務を任され、やりがいを感じてはいるが、勤務時間が不規則で終電帰りも多い。将来結婚、出産することを考え、事務職など残業の少ない職種への転身を考えるが、書類選考で落ちてしまう。 | |
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事務職への転身を目指しているのですが、なかなか面接に至りません。PCスキルやクライアント対応などは、これまでの経験を十分に活かせると思うのですが、やはり経験がないことがネックなのでしょうか? それとも書類のまとめ方が悪いのでしょうか?
その前に、前田さんはなぜ事務職にキャリアチェンジしたいの? 今の仕事が合わないわけじゃないんですよね?
はい。大手クライアントの担当として、さまざまな企業ビデオパッケージの制作に関わっています。でも、とにかく忙しくて…。朝9時に出社し、帰りは終電なんてこともざら。仕事自体にはやりがいを感じていますが、将来結婚し、出産することを考えると、とても続けられないなと思って、長く続けられそうな事務職を目指すことにしたんです。
前田さんは今、具体的にはどんな業務を手掛けているんですか?
新製品やサービスの宣伝用や広報用ビデオパッケージのほか、株主総会や社員教育、新卒採用向けのビデオなど、ありとあらゆる映像物の制作ですね。最近ではディレクター業務を任されるようになりました。クライアントの要望のヒアリングから、企画立案、構成、撮影、編集、スケジュール管理などを一手に引き受けています。
ほぉ〜!それはすごい。3年目でディレクターですか。なかなかいい経験を積んでいますね。3年で辞めてしまうのはもったいない。もう少し続けてみては?

でも、キャリアチェンジするならば、25歳ぐらいまでにしないと厳しいんですよね?
いや、必ずしもそうとは言えないですよ。逆に、今動くのはまだ早いんじゃないかと僕は思いますけどね。「事務職」とひと口に言っても、広報や人事、経理などの事務系スペシャリストと、アシスタント的な業務を手掛けるいわゆる一般事務と2つありますが、どちらを目指しているの?
どちらかというと、時間に融通の利く一般事務でしょうか。
連日報道されているように、雇用環境は今、厳しさを増しています。専門性を持たないルーティン業務は、人員削減される傾向にありますよね。そこにあえて今、飛び込みますか?
うーん…。そう言われると、今じゃない気も…。
現在の仕事が嫌いなのであれば、もちろん転身を考えたほうがいいと思いますが、やりがいを感じておられるならば、少なくともあと2年頑張ってみては?そうすれば、前田さんの市場価値はさらに上がりますよ。
今の前田さんは、まだ自分の方向性がつかめていない印象です。一般事務だって、「やりたいから転身する」わけじゃないでしょう?やみくもに転職活動するよりは、今の仕事でさらにスキルを積む中で、自身の将来を見つめ直したほうが得策だと思いますね。
そうでしょうか。今の仕事は映像関係なので、あまりつぶしが利かないと思うんです。だから少しでも若いうちにキャリアチェンジしなければと焦っていたんですが…。
いえいえ、前田さんが積んでいるのは立派な「プロジェクトマネジメントスキル」ですよ。クライアントと折衝して、完成までのスケジューリングをして、メンバーの調整をして、しっかりアウトプットする。これはどんなビジネスにおいても高く評価されるスキルです。
そのご意見は嬉しいのですが、ではなぜ書類選考で落ちてしまうのでしょうか。職務経歴欄には、ディレクターとして幅広い業務に関わっていること、たくさんの制作を担当して現場経験を積んでいると書いたのですが、一般事務でも落ちてしまうんだったら、事務系スペシャリストならばなおさら無理なのでは?一体どのように書けば、評価されるものなのでしょう。

「どう書くか」ではなく、「何を見てもらいたいか」が大切ですよ。今の書き方だと、ただ手掛けている業務量を「あれもやっています、これもやっています」とアピールしているだけに見えてしまい、ステップアップしてきたという印象を受けないのがもったいない。
なるほど…。そう言われれば、現在の業務をだらだら羅列しているだけかも…。
この3年間の経験を、1年ごと3つのブロックぐらいに分けて、それぞれをまとめてみては?そして、どれぐらいの規模のどんなプロジェクトに、どんな立場で関わってきたのか、アピールポイントをまとめるんです。そうすれば、年々任される仕事の規模も範囲も責任も、大きくなってきたということが伝わります。プロジェクトマネジメントができるぐらいに成長したんだということも、アピールできますよね。可能であれば、クライアントからの評価も入れられるとなおいいですよ。
関わった業務を全部書くんですか?かなりの量になるのですが…。
全部書いても仕方ないので、規模も内容も自身の責任も大きい、代表的な仕事に絞って書きましょう。「見てもらいたいもの、評価されたいもの」を書けばいいんです。SEなど、プロジェクトを抱えている職種の職務経歴書見本を参考にするといいですよ。
まだ志望職種が固まっていないのですが、どの職種にも、同じようにまとめればいいのでしょうか。
前田さんは、企業のさまざまなビデオを制作していますよね?それは大きな武器。広報職に応募するならば、より広報やPR業務に近い映像物の実績を中心にまとめればいいし、人事を目指すならば、新卒採用や社員教育ビデオの実績をまとめればいい。そして、「その制作過程で○○職に興味を持った」とまとめれば、志望動機にもつなげられます。
なるほど!少し視界が晴れた気がします。今の仕事でもっとスキルを積む過程で、自分が本当に就きたい仕事を探りたいと思います。
前田さんのような経験を積んだ人は、企業がほしい人材。焦る必要はありませんよ。プロジェクトマネジメントスキルを意識して、さらにステップアップを目指してくださいね。
今の仕事はつぶしが利かないと思い込み、自分で自分の範囲を狭めていましたね。今日、思ってもみなかった可能性に気づき、視野が広がりました。今の会社で、よりスキルアップできる働き方を考え、実践しながら、将来につなげたいと思います。(前田さん)

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- 伊藤理子
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